梗 概
恒久永年女皇伝エイガ
平成天皇の生前退位により、わずか14歳にして天皇に即位した天皇のひとり娘エイガ。
新元号は「平成」から「栄花」に変わる。
その後日本は経済的に凄まじい発展を遂げ、GDPで中国やアメリカを抜き世界一位となる。憲法を改正し、軍隊を持ち、世界一の軍事大国となる。
そして世界は日本を中心とした世界となった。
日本政府はこの「栄花」が永久に続くようエイガに手術を施す。遺伝子のテロメアーゼ活性を超絶に上げ、かつ肉体損傷時の細胞分裂活性を超絶に上げる手術を。そしてエイガは永久に老いず死なない身体を与えられた。
栄花999年。1000年祭を間近に控えた日本。
その頃の日本は、一部の皇族だけが富を独占し、多くの民が苦しむ国となっていた。
特にエイガを傀儡とし、日本を意のままに操る摂政委員会は下北沢御所で政治を行い、日本を我が物のように貪っていた。
このことに憤りを感じたのは、エイガに不老不死の手術を施した科学者、方波見博士。
彼の肉体はとっくの昔に死に絶えたのだが、脳の構造をコンピュータに移し、千年を生きのびていた。
方波見博士は平成最後の軍人、一式ジョウタロウの死体を元にサイボーグをつくり、エイガの遺伝子のテロメアーゼ活性や細胞分裂活性を無とする作用を持つ銃弾を渡す。
「日本を蝕む皇族を根絶やしにせよ。エイガを殺せ。栄花の世を終わらせろ」
方波見博士はその言葉を残し自己崩壊する。
ジョウタロウに襲われ、多くの皇族たちが殺された。
かろうじてエイガの身だけは守ったが、このままでは彼女が殺されるのは時間の問題だ。
摂政委員会たちは、栄花の世が始まったとき、方波見博士がエイガの命を狙う者から彼女を護るための護衛を残しておいたことを思い出す。
それは、冷凍保存された平安の世の近衛兵、錦城シュウシ丸。
彼は幾千年前から「天皇を護る」ことを使命を帯びて生きていた者であり、無敵の剣士であった。
摂政委員会はシュウシ丸を蘇らせ「何があっても帝を護られよ」と命じる。
たび重なるジョウタロウの襲撃。
不死身のサイボーグによる銃撃や爆撃からシュウシ丸はエイガを護る。
シュウシ丸はエイガを護るうちに、摂政委員会を初めとする皇族、人民、そしてエイガ自身が彼女を「人」として扱っていないことに苛立ちを感じる。
どれだけ蔑ろにされようとも「朕は象徴なのだ」と役割を愚直に守るエイガ。
そしてシュウシ丸の想いは恋へと変わった。
耐えきれずにその想いをエイガに打ち明けるシュウシ丸。
エイガは笑って言う。
「そうか。お前はまだ、帝が人間であった時代からやってきたのだったな」
シュウシ丸はその夜は力一杯彼女を抱き「ふたりでどこかへ」と言うが、エイガがそれを了承することはなかった。
ジョウタロウの襲撃から逃げるうち、シュウシ丸とエイガは三軒茶屋の地下にある核融合炉に逃げ込む。
シュウシ丸は傷だらけになり、エイガにジョウタロウの銃口が迫る。
ここでシュウシ丸は最後の力を振りしぼり、ある手段に出る。核融合炉の過剰反応を誘発し、巨大な核爆発を起こした。
その爆発によってエイガを狙うジョウタロウも、エイガを傀儡とする摂政委員会も、下北沢御所も、東京の人民も、シュウシ丸自身も、東京の大地ごと消し飛ぶ。
真っ平らな地で、唯一立っていたのは裸のエイガだった。
エイガと新摂政委員会は、下北沢から被害が軽微であった唯一の東京の都市である町田に御所を移す。
そして、東京が真っ平らになったこの事故を凶事とし、元号を改めることとする。
こうして元号は「栄花」から「結実」へと変わった。
文字数:1512
内容に関するアピール
永久に生きる天皇を主人公に、半永久的にひとつの年号が続く物語を書こうと思いました。
梗概では設定が中心になってしまいましたが、実作ではエイガとシュウシ丸のラブストーリーや、ジョウタロウから2人が逃げ闘うアクションを掘り下げて、楽しくエンタメ短編お書ければと思っております。
よろしくお願いいたします。
文字数:150