梗 概
砂漠のゲーマー村
主人公卓は対戦ゲーム「アーバネーション」のプロゲーマー。優秀だが極めて傲慢。
ある日、ヨーロッパで行われる世界大会に向かう飛行機が砂漠地帯で墜落。生き残ったのは卓ただ一人。スマートフォンも圏外。助けを求めてさまよい、渓谷のゲーマー村にたどり着く。
その村では、すべての子どもたちがゲーマーとして育てられていた。撮ったプレイ動画は先進国の配信者たちに販売される。自己顕示欲の強い配信者は、さも自分のプレイであるかのように実況をつけてYouTubeに投稿しているのだ。卓は自分が憧れていた有名配信者が影武者を使っていたことを知り怒りを覚える。
村は都市から遠く離れた辺境にあるが、電子機器などは充実している。外貨が稼げるため運びやすい物資は豊富だ。しかし生鮮食品など輸送に難があるものは不足している。土木インフラも未発達。ショベルカーを買うのが村の夢だそうだ。
老村長は「村の命綱である道路が飛行機のせいで壊れた」と怒り、卓に修復を命じる。卓が反発すると、村長は「ではアーバネーションで勝負ろ」と提案。卓はこれに応じ、コテンパンにされる。
仕方なく道路修復作業に加わる。そこには、ゲーマーとして挫折した子どもたちが働いていた。この村におけるゲームスパルタ教育の現状を聞く。成績に応じた厳しいヒエラルキーが存在し、食料の配給すらレーティングで決まる。
作業中、アミールという少年と親しくなる。アミールは最近見知らぬ少女の霊に取り憑かれていると話す。卓には見えないが、彼の周囲を常に歩き回っているという。
卓が調査を進めると、ゴルローズという幽霊の伝説が村に伝わっていた。ゴルローズに連れ去られた者は肉体を食われ、魂だけが永遠に彷徨うという。アミールの話から少女の容姿をスケッチし、村人に聞き込みをすると、それはエルナズという少女の霊だとわかる。エルナズは村史上最強のゲーマーで、性格が悪く周囲に嫌われていた。三年前に失踪している。
村人の話では「アミールはゲーマーとして才能がなく、教育対象から外された。だからエルナズのことを知らなくても不思議ではない」という。
そのことを伝えると、アミールは記憶を取り戻す。実はエルナズとは大の親友だったのだ。ゲーマーとしての過酷な訓練に疲弊していたエルナズにとって、弱いけど自由にプレイするアミールとの対戦だけが心の支えだった。ゴルローズに連れ去られるエルナズを、自分は助けられなかった——アミールは泣き出した。
卓がこの話を村長にすると「いや、アミールもエルナズと同じ日にいなくなっている」と告げられる。では、今まで一緒にいたアミールも幽霊だったのか?
その瞬間、卓は病院のベッドで目を覚ます。墜落以降、すべては夢だった。
しかし、世界大会の会場に向かうと、観客席にはアミールを三歳大人にしたような少年がいた。そして、対戦相手のプレイヤーはスケッチブックのエルナズによく似ていた。
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内容に関するアピール
このお題を見て、「よし、カーズをパクろう」と思いました。
勝つことしか考えてなくて性格の悪いプロゲーマーが、冒険を通じて新たな価値観にたどり着く、という話にしました。
ただ、ゲームは勝ちに徹するプレーこそ見ていて面白いので、最後のシーンをカーズと添えるかはまだ悩んでいます。
スプラトゥーンの実況動画を毎日見ているので、界隈の雰囲気は細かく書けると思います。
この村の経済についてですが、インターネットで外貨が獲得できるが、市場へのアクセス性が悪い村のことを考えました。こういう設定です。
- 一番信頼のおける人にお買い物を頼むんだろう
- 時々、金を持って逃げちゃうこともあるはず
- 模倣犯が出ないように、いなくなった人は幽霊に食べられたことにする
- この村にとって一番怖いのは(自力で食べていける)トッププロゲーマーが脱走すること
きっとエルナズはアミールを連れて逃げ出したんだろうと思います。
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