梗 概
ザベーデの庭園
西暦2050年の秋葉原。かつては買い物客や観光客で賑わいを見せた秋葉原も、衰退の道を辿っている。
秋葉原の商工会では、落ち目になった秋葉原の知名度を上げるイベントを開催しようとしていた。
商工会に所属するパソコンショップの店主・相沢幸治は、商工会の会長・海堂敏行からイベントの企画を立てるよう依頼され、頭を悩ませる。
ヒントを探して商工会の倉庫で昔の資料を読みあさっていると、4年前に、モデルガン専門店の店長・山根慎太郎が作成したイベントの企画書を見つける。そのイベントは、行列が途絶えなかったメイド喫茶の有名店「ザベーデの庭園」を、VR空間に蘇らせるというものだ。
(メイド喫茶という商売は、この時代ではなくなっている)
面白そうなイベントなのに、なぜか当時は実現しなかったらしい。
今度こそ開催したいと考えた相沢は海堂に相談するが、諦めるよう忠告を受ける。
イベントを企画した山根が、準備の最中に謎の死を遂げていたから不吉であるとの理由だった。
納得できない相沢は、開催に向けて準備が進められていた際の資料を探し、下記の情報を得る。
・VR空間のメイド喫茶で接客をするのは、人間が操作するアバターではなく、ザベーデの庭園に在籍していた有名店員の性格をベースに構築したAIに担当させる計画だった。
・山根は熱心に準備をしていて、実在した有名店員・茅野真理恵(故人)の遺族や、当時の同僚に話を聞くなどして、真理恵のAI化を進めていた。AIで自律稼働する真理恵のアバターは、ほぼ完成していた。
山根の熱心な活動記録に心を動かされて、計画を引き継ごうとする相沢。
反対する海堂を説得するために、VR空間で真理恵のアバターとの交流を体験させることを思いつく。
相沢は、渋る海堂をVR空間に招き入れる(VR機器を頭に装着)。
真理恵のアバターは海堂の姿を見ると、「久しぶりね」という言葉を発した。
狼狽する海堂に、真理恵は過去の出来事を語る。
真理恵は、若き日の海堂(ザベーデの庭園があった雑居ビルを管理する不動産業者だった)と交際をしていた。真理恵は、海堂から金づるとして散々利用された挙げ句、手ひどく捨てられたことを苦に、自死を遂げていた。
山根は関係者から話を聞く中で、海堂と真理恵の秘められた関係を知る。そして、己の罪が露呈することを恐れた海堂の手により、殺されてしまったのだった。
懺悔する海堂だったが、真理恵は許さない。
真理恵はVR空間の秋葉原を崩壊させて、自分も一緒に消滅していった。
VR空間からログアウトとした海堂は発狂し、その日のうちに自殺をする。
こうして真理恵は復讐を遂げたのだった。
相沢は、まるで人間のような意志を持った真理恵のアバターに恐怖し、このイベントに関する全てのデータを抹消する。
文字数:1175
内容に関するアピール
クトゥルフ神話のストーリーラインである「人知を凌駕した存在に、人間が恐怖にさらされる」物語を考えました。
クトゥルフ神話では、強大な神に人間が狂気に追いやられていく様子が描かれることが多いですが、これから先の未来ではAIがますます進化し、人間を遙かに凌駕する神のような存在になる可能性もあり得ると思います。
そのとき人間は、AIに対して畏怖や恐怖の感情を抱くことになりそうなので、それを描く物語にします。
文字数:200