いざ書くとなってみると、それまで簡単にみえていたことができなかったり、複雑そうにみえていたものが意外に簡単に書けてしまったりするのが小説の不思議さというものです。
素直なつくりに見えるのに実際にやってみると難しいお話のひとつに、長距離を移動し続ける形のものがあります。
なんといっても、移動は単調になりがちです。地名を並べていくだけでは書き手も読み手も飽きてきます。偶然の出会いばかりが続くとうんざりしますし、使える場面展開の手法は限られています。
出来事を最初から順に全て書き上げていっても退屈なものができるだけです。連続する事象から何を切り取り、どこを強調することで、単調さを回避しながらも長い移動を感じさせるお話をつくることができるのか、挑戦してみて下さい。
そのあとで、何か既存の、長距離を移動し続ける小説を実際に読んでみて下さい。そこに注がれている技術が以前とは違った風に見えてくるはずです。
(円城塔)
課題提出者一覧
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天王丸景虎 ビーヨンの"お友達"リスト -
稲田一声 移動症候群 -
ひろきち -
吾妻 三郎太 -
今野明広 √チョコレート16 -
藤 琉 勝利する銃弾 -
中倉大輔 あんたはそれでいいのか? -
夢想 真 サイレント・ウォーキング -
宮間營司 -
古川桃流(とうる) 聖火と蛍 -
榛見あきる マスティクスにもう一度 -
よよ 銀河巡礼 -
品川必需 ネムとサラ -
広木 素数一 -
岩森 応 座礁するシテンズ -
伊藤屋 イトウ -
大塚次郎 -
門出 冷 -
一色 -
武見 倉森 RETINA -
比佐国あおい 碧(みどり)の雪は聖母の腐爛 -
村木 言 -
渡邉 清文 爆音オルフェウス冥界からの帰還 -
木玉 文亀 -
黒田 渚 エレクトリカル・ジャーニー -
九きゅあ ダイバーの堕落日和 -
宇露 倫 さくら咲くまで -
中野 伶理 二人の世界図絵 -
西宮四光(ニシミヤ・ヨンコウ) 涙が雨に消える前に -
小島 夏葵 -
泉遼平 ライフ イズ インフィニティ -
安斉 樹 -
almost surely -
藤田 青 火種 -
泡海 陽宇 -
宿禰 ふたつの船 -
井上 翼 -
松山 徳子 -
一徳 元就 虚仮の一念、為せば成る、か? -
宇部詠一 重力崩壊と私掠船、その船医と強欲な商人 -
源 給水塔 -
揚羽はな シエラのオアシス -
内田ゆうや