いざ書くとなってみると、それまで簡単にみえていたことができなかったり、複雑そうにみえていたものが意外に簡単に書けてしまったりするのが小説の不思議さというものです。
素直なつくりに見えるのに実際にやってみると難しいお話のひとつに、長距離を移動し続ける形のものがあります。
なんといっても、移動は単調になりがちです。地名を並べていくだけでは書き手も読み手も飽きてきます。偶然の出会いばかりが続くとうんざりしますし、使える場面展開の手法は限られています。
出来事を最初から順に全て書き上げていっても退屈なものができるだけです。連続する事象から何を切り取り、どこを強調することで、単調さを回避しながらも長い移動を感じさせるお話をつくることができるのか、挑戦してみて下さい。
そのあとで、何か既存の、長距離を移動し続ける小説を実際に読んでみて下さい。そこに注がれている技術が以前とは違った風に見えてくるはずです。
(円城塔)
テーマ
「長距離を移動し続けるお話を書いてください」
- 課題提示、梗概講評:円城塔
- 梗概講評:伊藤靖(河出書房新社)
- 実作講評:小川哲
- 実作講評:奥村勝也(早川書房)
- 梗概講評、実作講評:大森望
梗概提出締切| 2019年11月14日(木)
梗概講評会| 2019年11月21日(木)
実作提出締切| 2019年12月19日(木)
実作講評会| 2019年12月26日(木)