変革

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梗 概

変革

人間は世界を変革する作用素である。その中でも如何なるMにも抑えられない遺伝子を持つ通称特異点シンギュラリティが存在していた。アインシュタインやレオナルド・ダ・ヴィンチがそれに該当している。人間の文化拡張に欠かせない彼らを時の運、または偶然に期待しては進化過程にばらつきが出ることになる。そこで遺伝子科学研究所では内密に人体実験を実施。必然的に特異点の遺伝子配列を持つ人間の開発に成功する。彼らは決して従順な機械というわけではなく、はじめから天才になることを強いられた人間ということだ。開発に成功した遺伝子科学研究所は彼らをシンギュラと名付け、育成を開始する。育成が完了したシンギュラ達は予め準備されていたポストに配置され業績を上げることを命じられる。世界に放たれたシンギュラ達は人間に混ざりながら一定以上の業績をあげ、文化の発展に寄与してきた。
はじめは実験として成功かと思えたが人間たちはシンギュラ達の思考に徐々についていけなくなっていく。初めは対等に接していた研究所の人間であったが、相手の思考が読めないことに苛立ちが募り始め、いつしか恐怖政治の体制を敷くこととなっていた。
シンギュラであるA718は違和感を抱いていた。彼は研究所に存在するシンギュラの中でもより秀でていたのだ。彼はシンギュラが人間に支配されていることは絶対におかしいと感じており、研究所内に在籍しているシンギュラ達を説得。研究所の人間にばれないようにしながら反旗を翻す準備を粛々と行っていく。

一方その頃研究所員である桜子はシンギュラが同じ人間であるにもかかわらず実験体として扱われている状況に不満をいだいていた。人類の発展のために制作された人造人間だとは言っても、遺伝子組み換えが行われた以外は全く通常の人間と同じであるシンギュラが人権を剥奪されているのは桜子には理解できなかった。
そのことを研究所の所長に話すのだが、全く話を聞いてくれない。諦めかけていた時に、桜子はA718の育成担当となる。A718を教育していく中で彼女は彼の中にある現在の体制への不満へ気づく。そして彼女はシンギュラたちが1ヶ月後に脱走することを知る。彼女は彼らの意思を尊重しつつも彼らの身を案じる。冷酷な所長がそれに対して何を講じるのかわかったものではなかったからである。

脱走当日。彼らは持ち前の才能を活かし完全な脱走計画を開始する。しかし、その前に所長が立ちはだかる。完璧な計画が破られたことに動揺を隠せないシンギュラ。A718は桜子が所長にばらしたのだと思い彼女を詰る。関係ないと言いはる彼女の言葉は聞かずに彼らは対立する。

彼女は所長の経歴を調べて愕然とする。彼は自然に生まれたシンギュラだった。A718にそのことを告げると彼は謝り、そして彼女と和解。研究所を抜け出すだけでは意味がないと知った彼らは民衆を味方につけ人権を得ることを固く誓う。

 

文字数:1198

内容に関するアピール

人権を得たい人物と、それに協力する人物との関係性を描きました。まとめきれませんでしたが・・・。

文字数:47

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