梗 概
アランとアロン
10歳のアラン少年はもう一人の別人格を心に宿していた。
アランは双子で生まれてくるはずだったのに、もう一人の命は亡くなってしまった。
しかし、亡くなった命の魂はアランの心に宿りこの世に生まれてきた。
アランは物心がついたときから自分の中にもう一人の人格がいることに気づいていた。
だからそれは普通のことだと思って両親にも友達にも何も言わなかった。
アランはもう一人の人格をアロンと名付けて、仲良く会話をして遊んだ。その様子は独りごとを言いながら独り遊びをしているように見えた。
ある日の学校からの帰り道にアランは何者かに誘拐される。一週間後にアランは無事に戻ってくるけれど記憶をなくしている。
そして、アランの心の中からアロンはいなくなっていた。
アランを誘拐したのは、アランの心に別人格がいることを知っていた木島という男だった。
彼は無人探査宇宙船プロジェクトの責任者で、宇宙船に搭載されるAIに移植する人格を探し求めていた。
アランの中にだけ存在しているアロンという人格は宇宙船AIに移植するには最適だった。
いなくなっても誰も気づかない。アランの記憶は消してしまえばいい。
アランは30歳になる。
誘拐される前の記憶は戻ってきたがアロンの記憶だけが欠落していた。アランは心の中に虚無的な喪失感を抱えたまま生き続けていた。
アロンは探査宇宙船のAIになり宇宙を航行している。アロンはアランと一緒にいた頃の記憶を残したまま宇宙の旅をしている。
自分の役目を果たして早く地球に戻り、またアランと一緒になりたいとアロンは強く望んでいる。
しかし、不運なことに宇宙船は隕石に衝突して航行不能になり名も知れぬ惑星に不時着してしまった。
アランは夢を見るようになっていた。
見知らぬ惑星のような地面に立っていて、自分を呼ぶ声が聞こえてくる。その声は助けを求めているように聞こえる。
声が聞こえてくる方向に歩いていこうとするけれど、うまく歩くことができずに目が覚めてしまう。
地球から遠く離れた惑星に不時着したアロンAIを載せた探査宇宙船はその惑星の生命体に捕らわれていた。
アロンAIは地球に向けて遭難信号を発信している。それから、地球にいるアランに向かっても信号を発信している。その信号は「ここにきてはいけないここはキケンなほしだ。ここにきてはいけないここはキケンなほしだ。ここにきてはいけないここはキケンなほしだ・・・・・・」
アランは突然何の理由もなく会社を解雇される。
木島が、アランを遭難したアロンAI探査宇宙船の救出に行かせるために、裏で手をまわした。
突然解雇され途方に暮れて街を歩くアランに木島は声をかける。
木島に説得されたアランは、探査宇宙船の救出に赴く。しかし、アランは木島からアロンAIのことは聞かされていない、
アロンが救難信号ではなく、この星にきてはいけない!という警戒信号は発していることも、アランは知らされなかった。
アランは探査宇宙船の救出に成功する。
しかし、地球の大気圏再突入のときにトラブルが発生し、アランは脱出カプセルで脱出する。
アロンAIは探査宇宙船とともに燃えつきる。
文字数:1289
内容に関するアピール
1.どのようなキャラクター関係
アランと双子の兄弟として生まれてくるはずだったアロンの関係性でストーリーを進めていきます。
子供のころはアランの心の中に一緒にいた二人ですが、ある日を境に、アランは地球にアロンはAIとなって宇宙に行きます。
アランが失くしてしまった自分の一部を取り戻すために宇宙に行って帰ってくるストーリーです。
2.その関係がどのように読者を楽しませるか
子供時代に心の中に友達がいて、一人遊びばかりしていた人(そんな人がどれだけいるのか全然わかりませんが)に楽しんでもらえるようなストーリーにします。
3.その関係がSFとしてどのような見るべき点を持つか
自分の内面にある一部分(大脳の一部分)をAIと融合させることができたらどうなるか?
記憶を自由にコントロールすることができたらどうなるか?
という想像からストーリーを考えました。
今現在の世界ではあり得ないことに、うまく科学的な理屈をつけて、上手に嘘をついて、読者を物語りの世界に導いて楽しんでもらえるようなSFを目指します。
質問の答になっていませんね。
文字数:507