梗 概
トウソウせよ!
未来のどこかの話。
相原アカネと室井アキラは、Y国の研究機関の実験施設で時空操作の実験をしている。その実験は失敗して異次元の扉が開いてしまう。施設は闇に包まれて、異次元から邪悪な生物が侵入してくる。アカネとアキラは闇の中に捕らわれてしまう。そして、異次元生物は、アカネとアキラに偽の記憶を植えつける。二人はバーチャル世界の中で生きている。
AIから相原アカネに指令がくる。
『トウソウせよ!』
簡潔というより、ぶっきらぼうな命令文書だ。まぁ、いつものことだから仕方ないか、とアカネは思う。それにしても、誰と闘争すればいいんだろう?アカネはY国のスパイ。戦争相手のZ国に潜入して機密情報を探っている。両国はAIに完全支配されている。何をするにしても国民はAIの指示に従うしかない。そもそもAIどうしが始めた戦争だ。なぜ戦争状態に陥ったのか国民は知らない。両国の国民は戦争には反対だ。戦争反対の声を上げたいけれど、AIに反抗することは死を意味する。
アカネは、言葉足らずの命令文書を「闘争相手はZ国のことだろう。今の任務を続行しろ、ということだな」と判断して何も行動しない。
翌日、AIからの追加の指令が届く。
『Z国のアキラとトウソウして殺害せよ!』
過激な命令にアカネは臆する。しかし、AI命令に逆らうことはできない。アカネは命令を遂行することにする。
Y国の実験施設の田中主任は二人を救出するようAIに指示を出している。AIはアカネと連絡はとれている、と言っているが信用できなかった。なにしろ旧式のオンボロAIだ。
アカネは指令通りアキラなる人物を殺害しようと、Z国の国家中枢に忍び込もうと計画を立てる。しかし、アカネは大きな違和感に襲われる。「私は間違いなくY国のスパイだ。ここZ国に潜入して機密情報入手のミッションをしている。そういう記憶が確かにある。でも、ミッションをした記憶がない。私はずっとこの部屋にいて自分がスパイだという妄想世界に浸っていただけなのか?」アカネは混乱した。そこへ、一人の若い男がアカネの部屋に乱入してくる。アキラだった。
アキラは、自分はアカネと共同で時空の実験をしていたこと、そして、実験を失敗して自分たち二人は異次元の闇に捕らわれてしまったことを思い出していた。アカネに伝えると、アカネは驚いた顔をしたが、自分も違和感を感じていたので納得してアキラの言うことを信じる。
アカネはAIから受け取った指令書をアキラに見せる。すると、アキラは「あのオンボロAIが出したものだろ。トウソウせよ!は逃走せよ!だよ」
アカネは理解した。「追加の指令書は、Z国のアキラと一緒に逃走して異次元生物を殺害せよ!ってことか。あのオンボロAI、楽しようとして省略しすぎ」
記憶を取り戻したアカネとアキラは異次元生物を退治して異次元の扉を閉じる
田中主任はオンボロ旧式AIをお払い箱にする。
文字数:1200
内容に関するアピール
今までの課題の中で一番難しかったです。課題にあうタイトルをどうしても思いつかず、同じ読みで意味が反転する「闘争と逃走」で何かできないかと、必死に考えて出来たのがこのタイトルと梗概です。最低の出来だと自覚しています。実作は、間抜けなオンボロAIと、不気味で怖い異次元生物に翻弄されるアカネとアキラを書けるようにしたいと思います。タイトルも再考します。
文字数:174