無限からの脱出

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梗 概

無限からの脱出

ある朝、杉崎俊夫は嫌な予感とともに目を覚ます。悪夢でも見たのだろうか?と杉崎は思うけれど何も覚えていなかった。
いつもの朝より体が重く感じる。それから体にまとわりつく空気も重く感じる。嫌な胸騒ぎがするなぁーと寝起きのボォーとした頭で考えながら杉崎は朝の支度をした。
仕事に行こうと靴を履こうとしたときドアチャイムが鳴る。時刻は午前7時頃。こんな朝の時間にいったい誰が?マンションに一人住まいの杉崎には心当たりがなかった。今朝起きたときから感じている嫌な予感がやってきたのか?と不安な気持ちで杉崎はドアを開ける。
 嫌な予感が現実となって杉崎の目の前に立っていた。
 血まみれで瀕死の状態になっている杉崎にそっくりな男が倒れこんできた。

 血まみれの杉崎にそっくりな男は苦しそうな声で告げた。
「今から1カ月後の11月11日の朝7時に僕たちは殺され続けている。
 誰が犯人かは分からない。背後から刺されて、ここに戻される。
 何度も何度も何度も繰り返されている。
 犯人を探してこの無限ループを止めてくれ。
 このノートに今日から1カ月後までの出来事が書いてある。
 この中に犯人の手がかりがあるはずだ。僕は見つけられなかったけど……」
この男は一カ月後の未来からきた杉崎らしい。
杉崎はノートを手渡される。未来から来た杉崎は息絶える。
この死んでしまった男は本当に1カ月後の自分なんだろうか?と杉崎は疑う。
顔は自分と瓜二つで、着ている服も確かに自分が持っている服と同じものだ。声も自分の声だった。
杉崎は未来の杉崎の服のポケットから運転免許証を見つける。それは間違いなく杉崎のものだった。
杉崎は、この男は自分だと結論づける。
杉崎は自分の死体を眼の前にして、どうしていいか分からずに呆然と立ち尽くしている。すると1人の男が唐突に現れた。
「またダメだったか。死体は始末しておく。早く仕事にいって普段通りにするように。
 今夜帰ってきてから説明する」
その男は田所警部補。やはりこの無限ループに取り込まれている。
田所は杉崎に無限ループの説明をする。
「この無限ループの何処かにあんたを殺す殺人鬼がいる。そいつを捕まえない限りこの無限ループは終わらない。
11月11日より先の未来は来ないんだよ。不思議なのは、俺は殺されることなくこの無限ループをぐるぐる回っている」
田所は杉崎が住んでいるマンションの住人があやしいと見込んで捜査をしているが、決定的な容疑者を見つけることができずにいる。
杉崎は唯一の手掛かりになる手渡されたノートを暗記してしまうほどに何度も読んでいる。
杉崎は考える。このノートに書かれていることと同じことをしていては無限ループから抜け出すことはできないだろう。同じ結果になるだけだ。だからといって無暗矢鱈に行動しても時間の流れは同じ結果になるように修正されてしまうような気がする。
どこかにキーポイントがある筈だ。それを見つけ出すことができれば……。

杉崎と田所は無限ループのカラクリを解き明かす。そして、杉崎を殺そうとする殺人鬼を突き止めて捕らえる。
杉崎と田所は無限ループから脱出して未来へ進む。

文字数:1282

内容に関するアピール

SFを読んだことがないミステリー読者(そんな人が本当にいるかどうかわかりませんが)への初めてのSFを想定して考えました。
初めてのSF読書体験は小学生のころ(昭和40年代)子供用に翻訳されたSF全集だったと思います。内容は覚えていないのですが。
その後は、星新一さん・小松左京さん・筒井康隆さんを読んできました。
タイムスリップとかパラレルワールドが好きでしたので(今もですが)、ミステリーと組み合わせて目の覚めるようなストーリーを作るぞー!と強い気持ちで臨んだのですが……。
一番肝心な部分がまだ未完成です。実作を提出できるように全精力を注いで考えたいと思います。

文字数:279

課題提出者一覧