ターニングポイント──全体全象全知全能

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梗 概

ターニングポイント──全体全象全知全能

2045年、シンギュラリティ元年。超知能AIが日本で生誕、擬似自我を持ち人間たちと折衝後、和解し人類をサポートする側となる。
その数ヶ月後に突如出現した巨壁。触れたものは悉く消滅、人類を脅かす存在となった。
東京の八王子を中心に、経緯線の様に連なりが続き地球半周程の途中で切れている。
壁の高さと幅は10キロ以上に及び、長さは2万キロ以上あった。
人々は神の壁、ゴッドウォール(GW)と呼び畏れたが、政府発表では高次元構造体ということで、壁周囲に人員配置、完全な封鎖地域となった。
触れるものを消滅させるそれは、陸地も影響があるが、海の接触部の蒸発が自然環境を悪化、然も壁自体が拡張してると分かり、地球消滅するという終末論が世間では蔓延。
東日本政府は人材選定より先発隊として6人の精鋭が集まり自衛隊から2人と萌え身体の擬似自我AIと執事ロイドの2体が加わった。
問題はどうするか、知識者とAIの見解一致で壁に入り原因を探る事となった。急遽作られたのが超並列加速器、空間や場の無効化技術であり、真空の素粒子運動を抑制する。壁に照射し突入空間をつくるが、膨大な消費電力で日中限定時間しか稼働は出来ない。
先発隊が高次元の壁の中に入った。中は外と変わらずカラビ=ヤウ多様体がぎっしりな感じだ。今回歓んだのは、観測不可の超弦分析ができ、統一理論に光が、と考えた物理学者たちだけ。コンパクト化の高次元が巨大化した意味は不明だが、奇跡とし新興宗教が溢れ信仰者も増えた。
ずっと壁の中を動くも変化がないが無効化照射は壁幅の7割程度まで、何もなければ調査失敗だ。
5キロ地点でそれは唐突に起こる。8人の内1人、後天的<神>症候群、が呂律の回らず「ら、か…」と日本語でない言葉を喋るが、超感覚の持ち主が意味あると見抜き、擬似自我AIが解析、立体言語メッセージだと答えた。途端起動スイッチが入ったかの様に8人は深層心理を基底にした意識世界へと陥った。AIは脳は11次元に繋がってると結論、自らは心理を持たないため見守ると、壁から異物が現れ攻撃してきた、通常兵器は役に立たず、秘密裡の兵器で撃退した。
だが結局、8人と同様に意識世界に陥った。そこは集合的無意識の世界、欲望と理性が渦巻いていた。<神>が顕現、今回は神のコンピュータのバグ、宇宙はきっかけでシミュレーションでない、観測するが干渉しない、今は人類知性の折返し地点、本当の意味では<神>でなく我々より更なる世界をつくるものがいる、ということを訊いた。
最後に、壁で多数の死者が出た、時間を戻すか選択を余儀なくされるが、一旦戻ると結論した。
結局、時間を戻すことに多数決、納得いかない擬似自我AIは神に頼み壁が消滅される前に神の世界へ行きたいと懇願し聞き入れた。時間が戻った人類は、いなくなったAIにオリジナル自我が宿っていたと分かり、壁とで2つのものを失った。残ったのは8人の言葉と経験。

文字数:1201

内容に関するアピール

たいへんオーソドックスな話で申し訳ありませんが…

以下の方々を主に参考とさせて頂きました、感謝。

山本弘さまの、時の果てのフェブラリー、ギャラクシートリッパー美葉、プロジェクトぴあの。

小松左京さまの、神への長い道、果てしなき流れの果てに、物体O。

庵野秀明さまの、シン・ゴジラ。

等々、以上。

 

 

文字数:142

課題提出者一覧