梗 概
立花葵の未知なる一夜
立花葵は、砂浜のゴミ拾いを趣味としている。その日もゴミを拾っていると、不思議な形状をした部品を発見する。
部品の穴から声が聞こえ、よく観察しようとすると目眩がして、意識を失う。
目を覚ますと、葵は巨大な水槽の中にいた。
息ができず溺死しかけているところを、星間治安局員のミミに助けられるが、葵は約10cmに縮んでいた。
ミミは治安を守るため、無許可かつ違反した手段で惑星環境を改造し指名手配されているギャング団「カイソウ屋」を捕縛するため、カイソウ屋の宇宙船に潜入中だと話してくれる。
実は、砂浜に飢えて倒れていたミミを葵が助けており、その恩を返すためにも、葵を元の姿に戻すと意気込む。
葵はミミを信頼し宇宙船からの脱出に協力する。
ミミは、船内の「カイソウ屋」の仲間を追跡し、ボスの部屋を発見する。ボスの部屋に潜入し、葵は砂浜で見つけた不思議な形状をした部品を再発見する。
穴から聞こえた声を思い出し、今度はその穴の中に入る。穴の中には、人語を解するスライムがいる。
スライムは「おなかすいた」と葵に泣きつく。
葵はチョコレートを与えると、スライムは葵の手をまるごと体のなかに取り込むと葵の皮膚へと吸い込まれていく。
スライムは葵の中に入ると、自分の記憶を共有する。砂浜に設置していた改造装置に葵が触れてしまった為、改造対象が地球から葵に変更され、それが原因で葵の体は小さくなってしまった。
葵はどうすれば良いのか分からず、ミミに助けを乞う。
ミミは、葵の声を聞きつけ、穴の中から葵とスライムを引っ張り上げる。
葵は今あった出来事をミミに説明していると、瞬間、大音量のサイレンが鳴り響く。
葵とミミは、「カイソウ屋」のメンバーに、あっという間に囲まれてしまい、退路を塞がれてしまう。
カイソウ屋のボスは、ミミを始末しようと銃の引き金に指をかける。ミミはカイソウ屋と交渉するため、ボスに近づく。
ミミの前髪の房に捕まっている葵は、ボスが銃を隠し持っていることに気づく。
葵はスライムに頼み、ボスをタコに変身させる。
スライムは葵からもらったチョコレートによって強化され、いつも以上に力を発揮してしまい、ボスだけではなくカイソウ屋一味までもタコにして、さらには巨大化させる。
巨大化によって混乱するカイソウ屋の一味は宇宙船を破壊。
ミミと葵は、破壊される宇宙船から命からがら脱出を果たす。
ミミは、騒ぎに乗じて奪った銃を暴れるカイソウ屋の一味にむけて照射して一時的に動きを止める。
葵はタコの体に取りつき、スライムに今度は縮めるようにお願いする。
スライムは、今度は上手くボスたちの大きさを縮めることに成功する。
ボスの体から抜け出たスライムは、再び葵のところに帰り、葵を元の大きさに戻す。
ミミ、スライムは葵に再会を約束し、地球から宇宙へと帰っていった。
文字数:1151
内容に関するアピール
私にとってSFは「未知との遭遇」という印象を持っているため、葵にとって日常の一部である砂浜で未知と遭遇し、事件に巻き込まれる話にしてみました。
あくまでもプロットなのでストーリー構造に厚みを出そうと、葵とカイソウ屋が好きでしていることに対比をつけました。
葵にとってゴミ拾いは、定期的にする部屋の掃除と同じ感覚で日常の一部であり、葵自身も周囲も快適な環境を手に入れています。かたやカイソウ屋は、許可なくゲーム感覚で惑星改造をしているせいで指名手配されています。
惑星改造を知った時に日常で言う部屋の片付けだなと印象を抱いたので、部屋の掃除を日常の一部として行っている葵をフィルターに、カイソウ屋に対して「自分と同じように当たり前のことをしているのに、それが怖い。未知だ」と思ってほしくて選びました。
文字数:346