第2期では「場面(空間)」を制約したので、今度は時間にします。
作品内で経過する時間をあらかじめ設定してから、その中で展開するプロットを作り、梗概としていただきます。
時間は、1日でもよいし、百億年でもよいし、(昨年の八島游舷さんのように)0.5秒でもよいです。11:00から13:00、のように時刻で表記してもよいです。
これを制約ととるか、アイディアの源泉ととるか、いずれにせよこの条件ならではの面白さを追求してください。
お話は、その時間経過に沿って進行すること。ループものは不可ではないですが、ひどく不利になると思っておいてください。
「時間」にトリックを入れるのはありです。1日が地球の100年分くらいある惑星とか。それで面白くなるのであれば。
梗概の冒頭には設定した時間を明示すること。
講義では課題からは少し離れて、野尻抱介著「大風呂敷と蜘蛛の糸」(『沈黙のフライバイ』ハヤカワ文庫JA所収)の構成分析を行います。可能ならば読んでおいてください。
作中の時間の流れ、空間の移動、アイディアや主題など作品の核となる要素、そのすべてを具体物の上に見事に配置・構成した、一個のオブジェのような逸品です。
(飛浩隆)