梗 概
BAD BIRTHDAY
設定する経過時間は主人公の30歳の誕生日24時間です。
AIに支配管理されている未来世界。
人間は生まれてから死ぬまでAIの指示通りに生きている。
そして全ての人間には生まれたときにAIからライフポイントが与えられる。
出生時の初期値は100。
誕生日を迎えるたびに1ポイント減りライフポイント0になると、その人はAIによって消滅させられてしまう。
何事もなければ誰もがみな100歳まで生きる。
ところが、ライフポイント管理AIは退屈していたため、ある遊びを考案した。
人間たちにライフポイントの奪い合いをさせて、その様子を見て楽しむという自分勝手な遊びだった。
山本正雄は30歳の誕生日を迎えようとしている。
30年間は特に可もなく不可もなく普通に生きてきた。
あと数分で30歳になろうとしている山本は、30歳の誕生日に五年間付き合っている彼女にプロボーズをしようと決めていた。
彼女とは偶然にも同じ誕生日なのでプロポーズするには絶好の日で、生涯で最高の誕生日になるだろうと山本は確信していた。
ところが、誕生日に日付が変わると同時に山本の携帯にある音声メッセージが届けられる。
その内容は以下の通りだった。
山本様。
30回目のお誕生日おめでとうございます。
この30年間、山本様が無事に生きてこられたことをお喜び申し上げます。
今後ともお元気でお過ごしください。
と申し上げたいのですが。誠に残念なことですが山本様のお誕生日は30回目の本日を持ちまして終了でございます。
山本様のライフポイントは本日をもちまして0となります。
本日4月1日が終了しますと、つまり4月2日の午前0時になると同時に、山本様はこの世界から消滅致します。
それでは、人生最後の一日をお楽しみください。
山本はこの音声メールを8回聞いて、そして、これはイタズラだと判断した。
おそらく友人の一人が誕生日のお祝いのつもりでどっきりメッセージを送ってきたのだろう。
こんなことでは驚かないよ、と鼻で笑いながら音声メッセージを削除しようとすると、もう一通のメッセージがきた。
山本様。
もし人生の延長をお望みなら、ライフポイントを増やすチャンスがございます。
お誕生日のスペシャルサービスがあるのですが参加エントリーなさいますか?
山本様のお誕生日であります本日中に限り、ある人からライフポイントを奪うことができるスペシャル企画です。
エントリーなさいますか?
あ、このメッセージはイタズラではございません。もしお疑いのようでしたらライフポイント管理局までお問い合わせください。
山本は問い合わせてみた。どうやらイタズラではないらしい。
自分にそんな運命が訪れるとは、山本は夢にも思っていなかった。
山本が所有していた70ライフポイントは気づかぬうちに誰かに奪われていたのだ。
まぁ、30年生きてきたし、これで終わりにしてもいいんだけど、せっかく彼女にプロポーズする決心したことだし、山本はそのライフポイント争奪戦に参加することにした。
ライフポイントを奪い合う相手は、山本がポロポーズしようとしていた彼女だった。
彼女もスペシャル企画にエントリーしていたのだ。
山本と彼女は最初はライブポイントを奪い合うが、最終的には結託してライフポイント監理AIを破壊する。
文字数:1346
内容に関するアピール
自分勝手なAIが、遊び半分に人間にライフポイントを与えて楽しんでいる、という未来世界を設定しました。
ライフポイントが無くなる最後の誕生日を迎えた主人公の心の変化と行動の変化を、経過時間とともに描きたいと思います。
文字数:106