梗 概
不協和音の囁き
未来世界はAIに支配されている。そのAIに与えられた目標は全人類が平和に暮らすことだった。AIは、どうすれば全人類に平和をもたらすことができるかを予測した。その結果、人間の心の中に様々な欲があるから争いがおこり平和に暮らすことができなくなる、とAIは判断した。AIは目標を達成するための最適な手段をとる。全人類の脳にICチップを埋め込み意識の中の欲望データだけを取り除いた。人類は、欲望を何も持たない、ただ生きているだけの腑抜け人間になってしまう。人間たちはAIに抗うことはできなかった。
村野コトミの心の中には幻獣が棲んでいる。コトミも欲望は取り除かれているけれど、無意識のうちにAIに対する反抗心を幻獣という形に変換して心の奥深くに隠している。
AIは取り除いた欲望データを保管し、ある一定量になると宇宙空間に廃棄している。大量の欲望データを搭載した無人の宇宙船は宇宙空間を彷徨っているうちに、時空のひずみに迷い込んでしまい過去に向かって進む。そして宇宙船がたどり着いたのは21世紀初頭の地球だった。コントロールを失った宇宙船は地球の大気圏に突入して燃え尽きる。しかし、大量の欲望データは地上に降りそそぎ、空気中に溶け込んで、大気中を飛び交う電磁波に運ばれ、行き着く先は携帯電話だった。携帯電話で会話をする人々の脳内に、欲望から成長した悪意を注ぎ込む。
沖ハヤテは商社の営業マン。仕事には必需品の携帯電話が突然故障してしまう。携帯ショップにいき修理を依頼する。ショップでは故障原因がわからないのでメーカーに出すしかない、と言われ、携帯電話がないと仕事にならないから、買い替えるしかないか、とハヤテが思ったとき、周りが騒然としてくる。いたるところで人々が争いまくっている。携帯電話から不協和音のような悪意の囁き声を聴いた人々は、脳波を狂わせられ悪意まみれの心になり、手当たり次第近くの人たちと争い街は壊滅状態になる。
ハヤテは命からがら自宅アパートに帰り着く。これからどうすればいいかと悩んでいると、壊れているはずの携帯電話が着信音を鳴らす。ハヤテは電話に出るのが怖い。しかし着信音はいつまでもなり続ける。恐る恐る電話に出ると、初めて聞く声で、村野コトミです、と言う。
話を聞くと、どうやらコトミは未来の地球の日本人らしい。未来の人々は平和に暮らしているけれど満足はしていない。たまった欲求不満の思いが悪意となり過去の地球で暴れまわってるらしい、とコトミは言う。そんな話は全く信じられないハヤテだったけれど、現実に起こっていることなので信じることにする。コトミは、私の心の中にいる幻獣をそっちに送り届けます。私の幻獣がきっと悪意を退治してくれると思います、と言う。そんな話も全然信じられないハヤテだけれど、他に対策方法はないようなので信じることにする。
翌朝、空からコトミの幻獣が舞い降りてくる。
文字数:1200
内容に関するアピール
イメージだけで書いた煮詰まっていない生煮え状態の梗概になってしまいました。まぁ、それはいつものことなんですけど。。。不明点、疑問点、その他いろいろあるかと思います。最後なので今度こそグツグツ煮詰めてSFホラーの味が出るような実作に仕上げたいと思います。
文字数:126