Eyeware

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梗 概

Eyeware

 アイウェアと呼ばれる網膜投影式のコンタクトレンズ型ウェアラブル端末が普及した世界。人々は自らの視界に拡張現実を重ね合わせており、それは【私界】と呼ばれていた。

 東京の大学に通う谷口エリカは、サークルの新歓に参加するも共有した私界内で周りを弄ってタグ付けをしたりする雰囲気に馴染めず、新歓を途中で抜け出す。すると、目隠しをされた数頭の豚が赤信号の交差点を渡ろうとして車にひかれる場面を目撃する。周囲から悲鳴が漏れるが、空中に「あなたは何も見えていない」と文字が浮かび上がり、血を流していた豚たちの姿がこつ然と消える。豚たちは元々存在せず、何者かによって人々の私界が操作されていたようだった。

 翌日、谷口がSNSで検索してみると、昨日の件は動画がアップされてアイクラック事件と呼ばれて小さなニュースとなっていた。実行した者は「パラシトイド」と名乗り、人々にアイウェアの使用を止めるように声明文を出していたが、共感を得られていなかった。ただ、谷口は興味を持ち、パラシトイドについて調べて興味本位でメッセージを送ると、「ここに来るように」と返信がきてどこかの路地を映した画像が添付されていた。場所を特定しようとするが、路地にはこれといった特徴もなく諦めかけるが、その時にパラシトイドの声明文を思い出し、試しにアイウェアを取って裸眼の状態で画像を眺めると、それまで現れなかった喫茶店の看板が出現。検索をしてみると実在の店舗であり、訪れるとその喫茶店はパラシトイドの本拠地であった。彼らは、人々は自分の見たいものしか見ずに社会の問題から目を背けてると語る。谷口が賛同すると、代表を名乗る林マサフミは谷口を歓迎してパラシトイドのメンバーに加える。

 谷口はパラシトイドとして活動を始め、林らと交流を深めていく。パラシトイドは元々林の恋人が不法在留者として入国管理局に収容され、持病が悪化して亡くなってしまい、収容者の待遇改善を求めてデモを行った事がきっかけとなって出来た組織だという。林は常日頃から他者に無関心な社会を変えたいと話していたが、活動を続けてもパラシトイドは奇怪なパフォーマンスをする変わり者集団と見られたままであり、中々成果をあげられずにいた。痺れを切らした林は、人々の目を覚まさせるために怪我人が出る恐れのある過激なアイクラックを行おうと主張する。谷口は、それではあなたが軽蔑する他者をないがしろにする人間になってしまうと反発し、別の案を提案する。

 ある日、某入国管理局の敷地内で大型犬が侵入し、職員たちが警棒を使って撃退した――その映像が何者かによってアップされると大騒ぎとなった。職員たちが実際に叩いていたのは人間であり、収容された外国人を警棒で叩いていると非難されたのだ。その炎上を肩を押さえた林が渋い顔をして眺めていると、谷口が「家畜を目覚めさせるにはシェパードが一番ですよ」と言って笑う。

文字数:1200

内容に関するアピール

 コンタクトレンズや眼鏡といったものを総称する言葉としてEyewearという言葉があるそうです。この梗概のタイトルであるEyewareは、眼鏡類(Eyewear)とソフトウェア(Software)をかけた造語となります。色眼鏡という言葉がありますが、もし皆が色眼鏡をかけていたら世界はどうなるのか。色々フィルタリングをかけて嫌なものを見ないでいられる世界は過ごしやすいと思いますが、実は足元が崖で今にも落っこちそうだったなんて事になるかもしれない――なんて真面目な事ばっかり書いてますが、好みの異性以外は通行人を全員モブ顔にするアプリとかお互いの顔にARを使ってるカップルとか、ビル群を古代の建造物に書き換えてタイムスリップ気分を味わうとか俗っぽいネタも入れていきたいと思います。

文字数:340

課題提出者一覧