七味にまつわるSF

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梗 概

七味にまつわるSF

上質な七味唐辛子はとは言い条、何をもって上質とするのかの基準は個人によってまちまちであったりもするのではあるが、ともかく辛味、香り、コク、それらのどれをおろそかにしても、満足ゆくものとはならないというのは歴然とした事実、加えて原材料各々の配合のバランスにしても味わいの大きな要因となる事からゆめゆめ軽んずる事なかれ、過ぎたるも及ばざるもまた逸品たる一品につく瑕疵、なーんかぶちこわしぃ的な結果ともなり、アバタはアバタのママのまま、画竜点睛を欠くとは言えど、それは世の常柿の種、それにつけてもおやつは柿の種、ただバリバリと食すのみ。
東で七色、西で七味、呼ばれる名前は変われども、その実、内容物の種類の数、七という文字に厳密な規定などありはせず、五であったり六であったり、はたまた八であったりもするのが実状、それでも七という名にこだわる訳が、七福神に端を発し、七夕、七草、岡田奈々、ラッキー7と例を取り、ただただ縁起を担ぐだけの理由なら片腹痛い、末広がりの八の字も古来多くの数を意味するめでたき数字、八味八色、響きも良いが、案外八味丸との混同を嫌う意味での名付け方とも思われて、一本でも人参と言うが如く、多少の融通は利かせるが吉、名前は所詮メタファーなのだと先達の言葉を範とする。
何は無くとも唐辛子、鷹の爪と申すもの、干して砕いて用いるものと、焼いて辛味を減らしつつ豊かに香りを立てるもの、それぞれ塩梅よく調えて、例えばそばには小気味好い辛さを、例えばうどんにはだしの風味を引き立てる香り豊かな味わいを、あわせるつゆの濃淡、だしの種類による相性などを考えて一本素性の良い辛さを柱とする。辛さのもとはカプサイシン、アドレナリンの分泌を促し、新陳代謝をかさ上げし、血行促進、脂肪燃焼、薄毛バイバイなど喜ばしきことばかりかのようではあるが、過剰な摂取は大脳辺縁系、偏桃体に海馬などに損傷を与えるとも言われる。昨今巷に増えた激辛ゾンビなどはまさにこれが原因。 辛味が刺激するのは味覚ではなく痛覚で、より辛く、より辛くと求める者たちの行動が、新手のリスカとなじられるのも得心する。
陳皮・柚子に大葉やら爽やかなイメージの薬味を加え、山椒に青のり白ごま黒ゴマ、風味豊かに演出し、実はここからヤバメの材が続く。みんな待ってた、芥子の実、麻の実である。

文字数:964

内容に関するアピール

こんな感じで五十枚。

書けたら自分でも驚きだ。

文字数:22

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