アステロイド・ハウス

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梗 概

アステロイド・ハウス

 青年が見知らぬ部屋で目を覚ます。体を起こそうとすると、全身が痛む。なぜここにいるのか、記憶は全く無い。六人の見知らぬ男女が入ってきて事情を説明してくれる。青年はこの家の前で倒れていたという。名前とどこから来たのかを聞かれるが、青年は何も思い出せない。記憶喪失になってしまっているようだ。六人の好意で、青年は記憶が戻るまでこの家に泊めてもらうことになった。

 エリカという女性が青年を一番気にかけていて、青年の記憶を取り戻そうと、いつも話し相手になっている。そのうち、エリカと青年は惹かれ合っていく。青年が来て一週間経つと、彼は体を動かすことができるようになった。

 その晩、ユカリという別の女性が青年をこっそり家から連れ出し、家からかなり離れた一面なにもない荒原にまでやってきた。ユカリは青年に頼みがあるという。そしてユカリは自分たち六人とこの場所についての説明をする。

 実はユカリたち六人はロボットで、ここは六人のロボットが素敵な家で共同生活を、そして恋愛を楽しむ様子を放送する番組のためのセットで、ある小惑星の上に作られているのだ。ロボットたちは番組がワンクール終わったら記憶を消去され、パーツごとに分解されて新しいキャラクターとして再構成され、また新しい共同生活をする。これを百万回以上繰り返しているうちに、いつのまにか現ユカリの人工知能の回路に故障が生じ、記憶が消去されなくなってしまったのだ。空虚な恋愛生活を何万回も繰り返すなかで、現ユカリの人工知能にだけ記憶が蓄積され、いつしか彼女はここから抜け出したいと思うようになった。そんななか、外の世界からこの青年がやってきたのだ。

 青年はユカリの言うことをよく理解できなかったが、彼女にこの小惑星から抜け出す協力を頼まれていることだけ分かった。ここから抜け出すためには彼が乗ってきたはずの宇宙船を探すことと、その操縦方法を思い出すことが必要だ。ただし、あの家にいる限りカメラがつきまとうので、恋愛ドラマを演じなければならない。さらに、一週間後には今のシーズンが終わり、小惑星全体のリフォームが始まってしまう。宇宙船がリフォームに巻き込まれたら壊されてしまう可能性が高いので、この一週間のうちに宇宙船を発見しないといけない。

 エリカとの恋愛に付き合いつつも、ユカリと青年は一週間ギリギリで宇宙船を発見した。町のセットのリフォームが始まる直前になんとか宇宙船を発進させ、小惑星からの脱出に成功する。操縦は身体が覚えていた。ユカリの要望でこのまま地球へ向かうことに。青年は地球という惑星の記憶がなかったが、ナビゲーションシステムに従って地球に向かう。

 地球に到着したが、もうすでに人類は滅んでいて、人間は誰も住んでいなかった。宇宙船に通信が入る。聞こえてきたのはユカリには聞いたこともない言語だった。

文字数:1174

内容に関するアピール

 「小さな世界」で真っ先に思いついたのが「テラスハウス」でした。見ず知らずの男女六人が素敵な家で台本なしのリアルな共同生活をする模様を送る番組です。カメラが六人の生活を二十四時間密着するわけですから、六人は自分のプライベートを全世界の人たちに見られてしまうわけです。外出しているときもカメラはついてくるので、気の休まる時間が無く、かなり辛い仕事だと思います。実際彼らも辛いと思います。
 ある考えが浮かんできました。
「じつは彼らは全員ロボットなのではないか」
出演者は全員ロボットだからカメラが常にいたとしても全く気にならない。これだったら誰一人傷つきません。いっそのこと家と町もセットにして、撮影・制作スタッフもロボットにしてしまいましょう。
 番組制作が自動化された世界。外部から遮断された「小さな世界」が完成します。たとえ人類が滅んだとしても、この世界は続いていくことでしょう。

 後半ごちゃっとしてしまいオチもベタですが、アクションシーンに力を入れたいと思います。

文字数:432

課題提出者一覧