完成稿
あの子の痕跡
完成稿に関するアピール
前回の講義でご指摘いただ点について改善しようと取り組みました。
「冒頭始まり方が普通。ヒロインが居なくなるまでの展開は冒頭と呼ぶには長い」
→冒頭を序盤の数ページだと捉えてしまっていましたが、「漫画は1ページめが命」と学びました。完成稿1ページ目で疲れた主人公のシーンを何か起こりそうな陰鬱とした雰囲気で描き、読者の興味を持ってもらえるようにしました。さらに2ページ目でヒロインが明るく登場することで、1ページ目とのギャップで面白そうな漫画だと感じてもらえることを目指しました。
「回想シーンは段の途中で入れない方がいい」
→コマ割りを改変しようと試みましたが、エピソードがページ内に収まらず”めくり”のタイミングがずれてしまい、やはり段の途中で回想シーンを入れることにしました。段の途中でもパッと見て分かるように、コマ枠を雲形にしています。一旦はコマの外を黒く塗る表現を試しましたが、暗すぎる感じになりこの作品には合わないと感じたので、試行錯誤の結果です。違和感なく回想シーンに見えるか、ご意見を伺いたいです。
前々回の講義で学んだ「回想前には目のアップ」を実践し、主人公の脳内に入り込むイメージになるよう描いています。読み手にひと呼吸置いてもらうリズムも意識しました。
「コマが細かい」
→私の漫画は小ネタを盛り込むのでコマが細かくなりがちです。今作は特に小エピソードの連続なので…。前回講義ではオリジナリティでもあると言っていただいたので、まずは読みやすさを目指し、上下のコマ枠の幅を大きく取って読みやすいようにしました。
「シンプルな絵柄だからこそ洗練が必要」
→今回の線画は映画『となりの山田くん』をイメージしています。抜けのある線で背景は描き込まないというスタイルが、儚い思い出を描くのに適していると思ったこと、また、限られた時間と今の画力の範囲内で実現できそうな”洗練”を目指そうという意図で参考にしました。
今までは描き味が心地良いのでA4用紙にミリペンで描いた線をスキャンしてクリスタに取り込んでいましたが、時間の兼ね合いで今回は初フルクリスタです。クリスタはスケールバランスを取りにくかったり、修正が手軽にできる分何度も描き直してしまうので、ペン入れで使うのをやめていたのですが、下書きを紙にしておくことで、安心してクリスタペン入れできました。やりやすい手法を開拓したいと思います。
今回は”痕跡というものの興味深さ”を際立たせたいと考えた結果、ヒロインが死んでしまう展開にしましたが、描きながら悲しくて何度も泣いていました。自分が泣けるということは、リアリティのあるものが描けたのかなと思っています。
文字数:1100
ネーム
あの子の痕跡
ネームに関するアピール
魅力のあるヒロインを作ろうと考えたとき、魅力とはなんだろうと考えたとき、
色っぽい、可愛い、神秘的…など、浮かびましたが、描き切れる自信がなく煮詰まってしまいました。
更に考えた結果、自分がリアリティを持って描けるのは「スキのある人物である」とたどり着きました。
どんなに完璧な人でも隙が見えると、急に人間味を感じ、気になってしまいます。
今回のヒロインは、10割がたが隙の、隙だらけの人物ですが…。
お話は、私の夫が、私が散らかした部屋を観察するのが「人が居た」という痕跡が色濃く残っていて
面白いと言っていたことからヒント得て、
ヒロインを直接描くのではなく、痕跡をたどることで人物像を浮かび上がらせようとし、
散らかった部屋さえも、愛おしくなるような物語を目指しました。
冒頭は大騒ぎするヒロインが居たかと思えば、デートの約束の夜にいなくなってしまう…テンションの浮き沈みが激しい展開で、読み始めのつかみになるように考えました。
エッセイマンガばかり描いているので、今回はフィクションに挑戦できた点で手応えを感じています。
文字数:454