初夜と純愛

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梗 概

初夜と純愛

 教室に12歳の女子児童と14歳の男子児童が集められた。生後以来、男女別に養育されてきて初めての男女顔合わせ。黒板には女性器と男性器の画像、そして断面図が映し出されている。
「女子と男子は互いに愛し合う相手をみつけたら、初夜を迎え、結婚します。大事なことなので今日そのやり方を教えます。しっかり勉強してください。」
 驚愕して騒ぐのも忘れた児童達に、教師は懇切丁寧にセックスの一部始終を指導した。
「結婚とはすなわち、一心同体になることです。一生に一度きりです。ですから、初夜の相手は真剣に選ばなければなりませんよ。」
 テウが質問した。
「もし別の相手と二回目の初夜をしたらどうなるんですか?」
「それは浮気といいます。浮気をしたらどうなるか。もちろん、その相手の二人ともども、死ぬことになります。」

 性教育の授業以来、男女共学となった学校で、18歳のテウは2つ年下のサキに恋をした。二人は将来を誓い合い、初夜をした。絶頂の後、二人は繭に包まれ、翌朝には男女の赤ん坊と、両性具有のアンドロギュノスとなって繭から出た。そしてテウ=サキと名乗り、教会と学校の仕事に就いた。性教育を行った教師もアンドロギュノスだった。赤ん坊は教会に引き取られ、大切に育てられた。

 アンドロギュノス達は日常の仕事をこなしながら、勉学と様々なスポーツに打ち込んでいく。そんな中、仕事仲間の二人が禁断の恋に落ちた。翌朝、冷たくなった二人の繭が教会の懺悔室から見つかった。

 テウ=サキは武道で際立った成績を上げ、選抜され数日間の身体検査を受けて特務機関に入った。そこでテウ=サキは優れた計算能力を持つチームメート、セイラ=ミトと運命的な恋をする。二人は死を覚悟して過ちを犯す。繭に包まれる二つの肉体と四つの魂。強烈な快感と幸福感。
 翌朝、繭を破って一人のアンドロギュノスが現れる。死亡トリガーは入隊時に解除されていた。部隊長が告げる。
「死を賭した真の愛を知る者よ。あなたにトゥーレンという真名を授けよう。戦いのときが来た。」
 トゥーレンは仲間のアンドロギュノス達、それを支えるバージン(初夜を迎えずに年を経た男女)達から成る部隊に入隊し、機甲パイロットとして敵との戦いに赴く。

 アンドロギュノスはセックスによる融合に際して、互いの獲得形質を受け継ぐ。トゥーレンは高度な軌道計算能力と身体能力を兼ね備えた投げ槍(レールガン)の戦士として数多の敵を屠る。激戦のさなか、近接戦闘(レーザーサーベル)を得意とする仲間が倒れる。
「私はもう持たない。トゥーレン、私と浮気してくれるか。」
「何を言う。これは過ちではない。仲間を思う純愛だ。」
 陥落前夜の夜、激しい愛を交わす二人。繭の形成と同時に仲間の命は尽きるが、トゥーレンとの融合は間に合った。翌朝、槍の遠投と近接戦の両方をよくする最強の戦士アースラが生まれ、部隊は劣勢を挽回する。

 彼らの乗る恒星間移民船は敵の攻撃をかいくぐり、新天地の星へと到着した。人口調整と兵士の促成のために改変された遺伝子は復元され、かつて人類を守り育てたアンドロギュノスの存在は神話となった。

文字数:1284

内容に関するアピール

グレッグ・イーガンの『祈りの海』における性の扱いに衝撃を受け、取り返しのつかないものとしてのセックスというコンセプトに魅入られました。そこからマジンガーZの阿修羅男爵につながり、セックスによって阿修羅になってしまうというアイデアを昨年メモし、本作のように展開しました。アンドロギュノスの性交では、かつて合体した4つあるいは8つの魂が感応して凄まじい絶頂が訪れます。

かつて人類は両性具有であったという神話は世界各地にあります。また阿修羅(アースラ)は天界の神、戦いの神です。本作によってその起源を明かしたいと思います。

死を賭した愛による奇跡、がテーマです。

文字数:277

課題提出者一覧