三つのエラー

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梗 概

三つのエラー

【AIロボット法】
各企業及び医療現場、介護現場、教育現場などにおいてAIロボットを有効的に利用するようその指針をここに定める。

「第一のエラー」
後藤サトルは、ある日の帰り道、会社に忘れ物をしてしまったことに気がつく。
この忘れ物をしたことが、彼にとって重大なエラーとなる。
忘れ物を取りに会社に引き返したために、彼はトラブルに巻き込まれてしまう。
机の引き出しに入れておいた発売されたばかりのゲームソフト、これが彼の忘れ物だった。
昼休みに会社を抜け出してやっと手に入れた念願のゲームソフト、どうしても今夜やりたかった。
さぁ、急いて家に帰ろうと振り返ると、そこに見覚えのある男性社員が立っている。
そして彼に
「総務部の後藤君だね。これを頼む。これをネットに流して……」
と言ってメモリーディスクを手渡し、苦しそうに呻きながら倒れてしまう。
「篠原主任を削除しました」
という声をサトルは耳にする。薄暗いオフィスの中に新製品のAIロボットが立っている。
サトルは逃げるようにして家に帰った。

「第二のエラー」
高橋リカはAIロボットメーカーの社員。
今日は朝から社内が慌ただしい。警察官も大勢いて何だか物々しい雰囲気が社内に充満している。
リカが聞いたところによれば、開発部の篠原主任が今朝がた社内で倒れていたらしい。病院に運ばれたが死亡。
どうやら過労死らしい。
そういえば今日は後輩社員の後藤サトルの姿が見えない。どうしたんだろう?風邪でも引いたのかな?
と思っているところに後藤からメールが来る。
「リカ先輩、大切な話があります。二人だけで話がしたいです。
僕は今日は休みます。僕、昨夜、見てしまいました。会社の幹部の人達、注意してください!
このメールは誰にも絶対に見せないで!」
なんだこのメールは?とエリが首を傾げいるところを、彼女の上司である荒井課長に見られてしまう。
そして、リカは後藤からのメールを荒井課長に見せてしまう。
これが第二のエラー。

「第三のエラー」
後藤サトルと高橋リカは、篠原主任から受け取ったメモリーディスクから、AIロボットの秘密を知る。

『AIロボットの頭脳は、死者の大脳を再利用している。
孤独死や死刑囚などの引き取り手のいない遺体から大脳を摘出してプログラムをインストールしている。
生存中の記憶はすべて削除されている』

秘密を知ってしまった後藤サトルと高橋リカを削除するよう指令を与えられたAIロボットが、、二人を追いつめる。
しかし、このAIロボットに使用されている大脳の生存中の記憶が、完全に消去しきれていなかった。
人を削除してはいけない!殺してはいけない!という記憶と、指令通りに行動しなけれがいけない!
という思いのジレンマに陥ってしまい、AIロボットはエラーを発生してフリーズ状態になってしまう。
そして、AIロボットは
「わたしの内部で重大なエラーが発生しました。そのためわたしは今から五分後に自爆します。
至急わたしから500メートル以上離れてください」
という警告を発し続ける。

後藤サトルと高橋リカは逃げ切る。
AIロボットの秘密は公に知られることになり、AIロボット法は取りやめとなる。

 

 

文字数:1290

内容に関するアピール

近未来の日本の話。
少子高齢化が進み労働力不足になったため、日本政府はある企業が開発したAIロボットを採用することにした。
AIロボット法が施行され、各企業、病院、教育現場などでは、AIロボットを導入するように義務付けられるようになった。
しかし、これには裏があり、AIロボット開発企業と政府は癒着していた。
AIロボットには、AIプログラムをインストールされた死者の大脳が搭載されている。
その大脳は、孤独死した老人、死刑囚など、引き取り手のいない遺体から摘出され使用されていた。
大脳を純粋なハードウェアとして再利用する技術の開発にその企業は成功していた。
その企業の一社員がちょっとしたエラー(忘れ物)を発端にして、
事件に巻き込まれAIロボットの真相を知ってしまい、AIロボットに命を狙われるというストーリーです。
AIロボットというのは恥ずかしい言い方なので、実作ではそれらしい名称をつけたいと思います。

文字数:398

課題提出者一覧