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「〝謎〟を解こうとする物語の作成」

  • 大森望
  • 課題提示:法月綸太郎
  • 梗概講評:新井素子
  • 梗概講評:鈴木一人(光文社)
  • 実作講評:円城塔
  • 梗概講評、実作講評:大森望

梗概提出締切| 2016年10月13日(木)

梗概講評会| 2016年10月20日(木)

実作提出締切| 2016年11月10日(木)

実作講評会| 2016年11月17日(木)

物語の原点には、「象の鼻はなぜ長いか」「なぜ世界があるのか」といった、物事の起源に遡る「なぜ」という疑問詞の働きがあります。SFミステリでは「どのように」が問われるハウダニットが多いですが、今回の課題では「なぜ」を問うホワイダニットを、作品の第一手として設定してみてください。ただしあくまで謎を「解こうとする」物語なので、その結果としては必ずしも答えが与えられる必要はありません。スタニスワフ・レム『ソラリス』のように、問うこと自体が人間の限界を映し出す場合もあるでしょう。答は決して一様ではありませんが、出発点が「なぜ」で始まる、謎に立ち向かう物語を作成してほしいと思います。

AlphaGoにプロの棋士が「なぜこんな手を打ったかわからない」と言うように、テクノロジーはいずれ人間に理解できないほどに進歩を遂げることでしょう。しかし逆に言えば、人間だけが「なぜ」を問うことができます。そこから何か物語を引き出せれば、シンギュラリティの向こう側をヒューマン・ランゲージに翻訳し、いまの時代に求められている答えを提示できるのではないか。そう考えて、このような課題を考えてきました。(法月綸太郎)

(大森主任講師からの補足)
SFの場合は対象が世界そのものの謎になるので、「なぜ主人公にその謎がとけるのか」にもしっかりした理由がほしい。これまでの人類が一人も解けなかった謎を、どうして主人公だけが解けてしまうのか。SFとして成立させるには、その点をしっかりと描くことが重要。

(参考文献)
スタニスワフ・レム『ソラリス』
バリントン・J・ベイリー『時間衝突【新版】』
フレドリック・ブラウン「ミミズ天使」(『天使と宇宙船』より)
グレッグ・イーガン「ルミナス」(『ひとりっ子』より)

課題提出者一覧