ムーンデュー

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梗 概

ムーンデュー

月で生まれた双子の兄と妹。彼らは火星に引っ越すことに決めた。火星ではテラフォーミングが済んで生き残った大半の人々が暮らしていて、以前の地球と同じくらい活気に溢れている。地球では核戦争後の浄化装置の働きにより、地上全ては緑化地帯となり、空中観察都市が浮いてる位の寂しい限りだ。月の地下深くで見つかった資源、月の滴(moon dew)は研究に研究を重ねられ異星人のオーパーツではないか、大量に眠っているそれで人類は星の海を渡れるのではないか。
まだ太陽系の外に出たことのない人類に希望を持たせるには十分だった。
だがそのためには月を切り裂き、壊してしまう必要があった。規模は質量の1/3にも達し、衛星として成り立たないことは明白だった。
対し、月の住民は反発するが経済力も持たず、ただ住んでいるだけといった彼らには声を上げるしかない。
人類すべての主導権は今や火星にあり、彼らは勝手に『人工の月』レイヤー版を作り上げてしまった。
月の住民、ルナリアンたちが出ていけば、その肉付きを始めるだろう。
「お兄ちゃん、わたし宇宙人に会いたい」
妹の言葉に、窓に浮かんでいる『人工の月』を見ながら考える。
このままここで死ぬまで粘るか、それとも…。
地球を見学に行った時、ある観察者の言葉を思い出す…。
「宇宙人ってどんな格好してるんだろうか」
頭でっかちで顔が真っ白、目だけクリッと大きく、手足が細長いとか。
妹は可笑しそうに笑う、それじゃあ古典的すぎるよ。

妹の願いを叶えたい、そう考えた僕たちは新天地を目指すことを決めたのだった。

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