講座の初回は、僕のほうからテーマを設定することになってるんですが、SFに対する考え方や知識にもずいぶん幅があるようなので、第1回のテーマは以下のようにしたいと思います。
「これがSFだ! と、あなたが思う短編を書いてください」
SFは、一般的にはサイエンス・フィクションの略称とされていますが、かならずしも科学性が必須というわけではありません。じゃあ、いったいどこまでがSFなのか?
なにも物差しがないと途方に暮れる人もいるでしょうから、課題図書というか参考図書として、ケン・リュウの短編集『紙の動物園』(早川書房)を挙げておきます。昨年、もっとも話題になった翻訳SFであり、Twitter文学賞海外部門を受賞するなど、SF外からも注目されている1冊。又吉直樹が「アッコにおまかせ」で絶賛したことでも有名。現代SFを代表する短編集だと言ってもいいでしょう。
もっとも、表題作は、ジャンル的にはファンタジーなんですが、そういう作品が大きなSF賞をいくつも受賞していることに、SFの幅広さがあらわれています。いまSFを書くなら、このぐらいは読んでおかないと……という本ですが、「オレはそんなの読まなくても書ける」という人は無視してもかまいません。
第一段階は、梗概(あらすじ)提出なので、アイデア勝負に見えるかもしれませんが、読みたい気持ちにさせることが重要です。世間的にぜんぜんSFじゃなさそうなネタでも、”これがSFだ!”と言い張れるポイントがあればなんでもOK。ケン・リュウを倒すつもりで、ふるってチャレンジしてください。(大森望)