ニューアキタ流離譚

印刷

梗 概

ニューアキタ流離譚

HDE213478星系にて人間に酷似した姿を持つ生命が発見された。彼らは捕らえられ様々な遺伝子操作を施され、カゲロウの翅を持ち成長しても容姿が10歳の人間の子供程度で止まるようにゲノム編集された。人類の新しいペット、家族として受け入れられることが期待されたが、成長すると翅はあるが飛べなくなる、成体となっても知能がネコよりも低くしつけがしにくい、何よりペットとするにはあまりに生々しすぎるなどの理由で流行ることはなかった。一度飼われた個体も逃されるなどし、野生個体が生まれた、彼らは妖精と呼ばれた。

ニューアキタに住むバンドマンのモヘイは母親と二人で暮らしていた。母親が畑仕事をしているとよく寄ってくる妖精が居た、母親はそれにフキと名をつけて可愛がっていた。ある日、母親が刈り払い機で草刈りをしていると妖精に背後からイタズラをされ回転刃で大怪我を負ってしまう、数時間後ライブ帰りのモヘイに発見され病院に連れて行かれたがそのまま死んでしまった。モヘイは死に際に母からフキに驚かされ怪我をしたことを告げられる。フキはその後も近くの山で暮らしていたが、成長し飛べなくなった頃、密猟者に捕まり、花街ニューカワバタに売られ男性の相手をさせられることとなった。フキは美しく人気の高い個体だったため、より様々なことをさせるために知能を上げる薬を飲まされた。すると過去の記憶を振り返ることができるようになった、自分がモヘイの母親に優しくしてもらったこと、その人にしてしまったことを思い出しそのことを非常に悔やむようになった。そうして償いのため店長から貰ったお菓子や、客から貰った装飾品などをモヘイの家に届けるようになった。モヘイは家に届く品々を不審に思いドラムのカスケに相談した、するとおっかけができたのだろうと言われ、住所バレ対策などのアドバイスを貰った。モヘイは自分の人気が出てきたことを喜び、送り主に思いを馳せた。ある春の日モヘイがカブを植えるためうねを作ろうとスコップで畑を掘り返しているとフキが家に近づくのを見た。また何かされるのではないかという思いと母を殺された怒りから、背後に近づき頭にスコップを打ち付けた。フキは頭が割れ即死し、その手からチョコレートやネックレスがこぼれた。モヘイはフキが届けていたことを悟り、スコップを取り落とした。

文字数:966

内容に関するアピール

誰もが知っている物語として新美南吉のごんぎつねを選びました、ごんぎつねのキモはかわいい生き物のけな気な贖罪と人間の身勝手さだと思います。SF的に再構築することでこの要素をより強調できたらと思います。

また原作の舞台は愛知県半田市ですが、この梗概では未来の秋田市を舞台としました。ニューカワバタというのは秋田駅にほど近い歓楽街、川反をモデルとしています、花街としては半世紀ほど前まで栄えていたようです。フキという名前は秋田の県花フキノトウからとりました。

文字数:225

課題提出者一覧