ネーム
寝そべり族
ネームに関するアピール
■はじめに
「寝そべり族」とは、中国において、競争が激しくなった事を背景に、過酷な競争社会を忌避して、頑張らず、消費を抑えて暮らす事を目指すという、近年、中国の若者に広がっている思想の事です。
■課題文の理解
今回、モデルとした人は、寝そべり族を目指していると語っていたので、この作品を作りました。
物語が上手く作れないので、ベタなプロットを考えた結果、映画『猫の恩返し』を下敷きとして、作品を作っていきました。
モデルの人を漫画のキャラクターにする際は、猫っぽい人型のキャラクターにする以外に思い付かなかったので、こういったキャラデザインになっています。
■あらすじ
この作品は、忙しい会社員風の女性が、帰宅後、ベッドに入らずに入眠し、朝起きれずに夢を見て遅刻をしたので、ズル休みをする、というモノです。
そして、夢の中で、寝そべっている飼い猫をモデルとしたキャラクターが出て来て、何かを語りかけてくる、という感じになっています。
■作品の作り
この作品は、最初に、なんとなくのキャラクターの性格と、なんとなくのシナリオの全体像を想定して、それを、ラフネームとして描いて動かしてみて、その後に調整して出来た、という感じの作品です。
この作品は、『猫の恩返し』のように、別の世界に行くことで、自分が飼っていた猫が喋る、という事を想定していて作っていました。
しかし、その「別世界」を「夢」という設定にしてしまった事で、あんまりご都合な事は言わせられないな、と思って、そこまで積極的に、自身の思想をアピールしない、現行の感じになっています。
物語論で言えば、「寝そべり族」のAと、「非寝そべり族」のBがいて、最終的に、「B」が「A」化するのが素直な作りだとは思いますが、寝そべり族のキャラクターは、そんなに強い主張はしない気はするので、こんな感じのノリでもいいのかもしれない、とも思っています。
■作品の要点
ラストは、人の住む建物が見えるように、画面が引いていく事で、人も檻の中にいるよね、的な事を表そうとした表現なのですが、たぶん微妙に伝わらない気がします。
そこから、頑張ろうが、頑張らなかろうが、人は檻の中にいるので、好きに生きたらいいんじゃないか、的な内容を伝えることを、一つの目標としています。
この作品のノリで、ラストの一つの回答として用意していた思想が、より伝わるようになる方法が分からないなぁ、と思っている部分はあります。
しかし、現行の状態を変えるのも難しそうな気がするし、ゆるい感じの、現行の状態でも良いような気もします。
■作品の工夫
この作品は、いわゆる「夢オチ」です。
自分は、「夢オチ」の問題点は、今まで読者が読み進めてきた事が、意味を為さなくなる事が問題だと思っています。
この作品の場合、そもそもとして、夢の世界であるという事の表現のために、冒頭部分はわざと、場所を曖昧にしています。
このように、最初から、夢である事を作中で主張しておく事で、興ざめするという夢オチの問題に対応しています。
夢っぽさの表現のために、意図的に作った場面を、例として、いくつか挙げておきます。
・主人公が、いきなり謎の、お城がある空間に出る。
・飼い猫が人の姿になっている。
・飼い猫(人型)の言っていることがおかしい。
・檻の中にいたはずの主人公が、特に説明もなく、次の場面では、檻の外にいる。
・兵士が、主人公を捕まえてきたのに、最終的に、出て行けと言って、押し出してくる。
また、主人公が檻に入れられた際に、主人公が驚くことで、これは急展開である、という認識を、作中の人物と、読者との間で共有できるようにして、作中における「通常」の感覚とは何か、という事が分かる作りにしています。
■細かい設定
ルキウスは、皇帝ネロの、生まれたときの名前が由来です。
ネロが由来なのは、寝ろ、から来た言葉遊びです。
ルキウスという個人名は、古代ローマではポピュラーな名前であるそうなので、由来は、別に気付かれなくてもいいと思っています。
リョーコは、とりあえず女性名だと分かればいいので、それに従って、適当に付けました。
■その他
毎回、このアピール文を書くのに、すごく時間がかかってしまう。
文字数:1710