ネーム
不動くんは、うごかない。
ネームに関するアピール
今回の作品では、課題文にならいまして1ページ目に大ゴマを用意するのと、「演出」を意識して、お話の構成をしていくことになりました。
課題1・2では、主人公が流されるままになってしまったなという個人的な課題があったので、まず、今回はその「動かないキャラクター」をモチーフに考えていきました。
これまでの課題作品では、世界観や絵の圧などで、苦手な心情表現や会話などの基本的なお話づくりを誤魔化していたのではないかと思いいたり、今作品では、登場人物がすくなく世界観や設定が複雑でない比較的シンプルなものである、○○さんものにトライしてみました。
これらの問題意識を作品の骨子に組み込むため、本作のヒロインが、主人公の気をひくために他者(お下がりの制服、先輩のそそのかし)の力を借りて「演出」をしようとするのですが、シチュエーションにとどまるだけでコミュニケーションにはいま一歩とどかない。といった筋書きに置き換えて、お話を練っていきました。
「演出」がテーマということで、演出的なものを意識した箇所は、2Pの天手古☆ビジョン(ヒロインには美化されて見えていることで、主人公に対して好意があると思わせるための演出)、7Pの偽エフェクト(冒頭のマジックとあわせて、誤魔化しの末に失敗するヒロインとその問題の設定・オチへの布石のための演出)、4Pのさらば・8Pのビターン(ギャグっぽい演出で、コミカルな読み味とキャラクターの遊びをいれて、楽しく読んでもらうため)、9Pの妄想オチ(少女漫画っぽい演出で、一方的な脳内アプローチによってヒロインが壊れていく様をえがき、11Pにつなげるための準備)、11Pのどん!(マンガ的な演出で、キャラクターの暴走をあおり、やけくそ気味になったヒロインを楽しんでもらうため)、14Pのセリフとモノローグ(言いたいことと思っていることがごっちゃになってしまい、本当ではあるが本当ではないことを言うための演出)、15Pの肉体的接触・パチパチ(「肉体的接触」とヒロインの想いがキーになって、偽エフェクト(7P)ではない本物のエフェクト(漫符?)を生み出し、それを主人公に目移りさせるための演出(余談ですが、ここの指が絡むシーンでは何故だかわかりませんが涙をにじませながら描けました))、3・16Pの動かないキャラクター(何を考えているかわからない動かないキャラクターが、ヒロインの想いが伝達したことにより、何を考えているかわからないけれど、どう動くかが想像できる(ココロが動いている)キャラクターになる演出)になります。
※模倣した演出は、11P(ONE PIECE 1巻)のどんっ!!と、14P(HUNTER×HUNTER 25巻)のモノローグとセリフの二重奏を参考にしました。
今作では、「演出」でいっぱいいっぱいになってしまい、動かないキャラクターが動くというお話にはなりませんでしたが、ヒロインの「肉体的接触」という情報がキャラクターに付与されたことで、ひと言もしゃべることなく、最初と最後ではまったく意味がちがっているように出来たと思うので、描きたいものはおおむね表現できたと思います。
「どん!」や「ざわざわ…」などの固有の演出は見いだせませんでしたが、キャラクターに欲望を持たせることによって、その欲望についての誤魔化しや、粉飾、皺寄せ、暴走などを経て、別のキャラクターに託す/託されることで、その欲望が別のカタチで駆動するのだというのを、肌感覚で実感できてよかったです。
読者には、くすりと笑えてかるく読み流せるマンガとして、なんかあったなぐらいに読んでいただけていれば幸いです!
アピール文は以上になります。
お読みいただきありがとうございました!(あさかたこれ太郎)
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