初めての方も、面識ある方(再受講の方とか、こないだのハニワットイベントに来て下さった方とか)も、どうぞよろしくお願い致します。
「画面を作る」 この題からどういうことをイメージされたでしょうか?
(実際考えてみてください)。

…たぶん、それで一面はばっちり正解だと思います。
その「最高の画面」を楽しませてください。

…「見せてください」ではなく、「楽しませてください」と言いました。
漫画のしちめんどくさいところは、「最高の画面を作る」、そこから先で…。
いろいろなこととの「兼ね合い」をクリアさせないといい作品になりませんし、その「最高の画面」は光りません。
つまり、「画面を作るぞ!」と意気込んで、素敵な1ページを渾身で作ったとしても、その意気込み単体では、うまくそれが機能しないのです。

マンガ入門書に必ず書いてあるようなことですが、まずは、

*1ページに、決めゴマを一つ作りましょう。

こういったことは、意識すべきです。
しかし、同じような演出で決めゴマを作ったページが、見開きに二つ並んでいたら、それは効果的でしょうか?
それが16ページ続いていたら…。

決めゴマを作るにしても、あの手この手で演出して、ページごとの差異を作ることが必要です。
それも、単に差異を作るだけでなく、その差異がうまく組み合わさって、総合的な仕掛けとして活きていないと読者はうまく乗れないのです。

16ページくらいの作品を作るのでしたら、例えばですが、4ページくらいのブロックごとに、画面としても物語としても小山を作って、徐々にクライマックス(一番の大山)に向けて演出していく、という意識があるとうまく行きやすいです。もちろん経験者の方はそういった基礎を、うまく崩してアレンジしてください。
書籍、雑誌の世界で勝負したい人は、見開きの効果、めくりの効果も意識してみて下さい。右ページ、左ページの構成に気を配るということですね。
1ページ単位で考えた場合でも、「動線(視線誘導)」の問題は考えてみて下さい。吹き出しの位置、ここは右向きの顔がいいのか、左向きの顔がいいのか、などの問題ですね。自然に流れるには左向きの顔、印象強く視線を止めるには右向きの顔がいいなどと言われています。決めゴマで、この人物に右向きでこのセリフを言わせたい、ということがあれば、それに合うように、そこにつながるシーンの人物関係の配置を、前もって調整する必要も出てきたりします。
冒頭と、エンディングの画面作りの演出は、大山、小山と同じくらいに、ほんとうに大切にしてください。決してなおざりにしないでください。

演出というのは、技巧を凝らすこと、才気をブチ放つことのように思われがちですが、車の運転と同じように、それらに対して、アクセル、ブレーキ、ハンドルを使いこなすということまで含めたものが演出です。
時には技巧を抑えたり(ブレーキ)、手癖でつい自動的に入れがちな演出をある個所ではあえて一ひねりしてみたり(ハンドリング)、アクセルに関しては、同乗者(読者)が目的地(クライマックス)まで快適に乗れるように繊細にコントロールしたり、時には同乗者が怒ってキレる寸前くらいまで、一気にふかして、スリルや爽快感を楽しませてみたり、いろいろとやり方があると思います。
そういうことを、それこそ車を運転するのが大好きな人が実地の運転でめちゃ楽しみながら覚えていくように、漫画を描く際にも、めちゃ楽しみながら、かつ毛が抜けるほど全身全霊で鋭敏になりながら、打ち込んでみてください。

と、軽々しく書きましたが、まだ講座が始まって2~3か月の初期ですから、なかなかうまくはいかないと思います。秋の終わりくらいまでには、そういう境地が時々味わえるくらいになるぞ、というくらいの気持ちで、ついのめり込みすぎて暴走したり、つまって何も進まなくなったり七転八倒しながら、なんとか気分をコントロールして、とにかくネームを完成させてみて下さい。

タイムコントロールも重大です。
締切り前に追い込んだ方がうまくいくのだ、という経験を確実に持っている人、自分に対する信用がある人は、それをやってもいいでしょう。でもそれがないのであれば、本当の締切りまでの3分の2くらいまでの間を自分の締切りに設定して、それまでの間になんとか山場の「この画面を見てくれ!!そのために描いた!!」というシーンくらいまでは描き終えて、残りの期間で、じっくりと、エンディングの素敵な画面に読者を導いて最高の気分で着地してもらえるよう、ゆったりした気持ちで仕上げていく、というのがいいんじゃないでしょうか。

あと、ひらマンのネームは、初回にさやわかさんも課題文に書かれていましたが、自分の作品を初めて読む人に「鑑賞」してもらうためのものですので、ある程度は情報(表情、絵柄など)を描き込まねばなりません。しかし、必要なところですら、一コマ一コマ描き込みながら描き進める必要はなくて、まずはざっくりと、自分だけに分かる情報量でラフに仕上げてしまってから、あとで【描き足す】こともできるのだということは忘れないでください。
ネーム完成後に通して読んでみた後、しっくりこない部分は、差し替える必要も出てきます。
描き込んだ後だと、差し替えるのがもったいないとか、時間がないとか、いろいろ邪念や言いわけも発生しますしね。そういう意味でも、まずラフに仕上げてみるというのはお勧めです。

それと、ひらマンのネームは、読む方は、パソコンの画面等で読みます。
鉛筆の濃さ、吹き出しのセリフの文字の大きさなど、パソコンの画面で、拡大したりしなくても十分にするする読めるように、最終的には仕上げて下さい。スキャンやアップの際にも、あわてずに、かすれたりして台無しにしないよう、気遣いや工夫を苦痛なしに出来るように、そういった「仕上げ」作業の余力を残しつつ、全力で「最高の画面」を、そして「読者が最高に楽しめる」ネームを作っていってください。

ありがたいことに、先月の、おかざき真理さんの課題の意図は、僕の意図とたぶんほぼ同じです。
ですから、今月の課題は前月の課題の続編ということになりますね。
先月の経験を活かして、クライマックスを活かすことのできる、メリハリのある曲の設計図を作るつもりでネームを切ってください(笑)。
それが【最高の画面を作り、それを最高に楽しんでもらえる】ことに直結します。

あ、あと、出来れば、授業の日までにではなく、課題ネームに取りかかる前に、『マンガ家になる!』の僕のところ(特に講評部分)は是非読み直してみて下さい。いろいろヒントがあると思います。あとで言われるより、先に知れることは知っておいた方がいいでしょう(笑)

今期も、実力があるのに滞っている人、経験さえ積めば確実に光りそうな人など、一年後には大化けしそうな受講生が揃っていて、授業がとても楽しみです。
よろしくお願い致します。

(武富健治)

課題提出者一覧