完成稿
【成人向け】ボクと姉ちゃんのだらしない日
完成稿に関するアピール
まず修正の計画として、色々と修正をしたいことが多く、といっても時間的な問題があったので、この修正で最大の経験値を得られるにはどうしたらよいか、という観点から、修正方針を絞ることにしました。
その結果、修正のキモとして、以下の2点に絞りました。
- コマ割り
- 線質
1.のコマ割りについては、もちろんコマ割りとストーリーは密接に結びついた部分だと思うので、ここでコマ割りだけ修正したところで、不自然な部分はどうしても生まれるだろう、ということは想定しましたが、そこはもうトレーニングだと割り切り、そのページにあらかじめ振り分けられたシナリオ部分を画面上で整理する修正のみに終始しようと思いました。
2.の線質についてですが、そもそも自分は線が苦手で、イラストを描くときも多分9割5分以上は厚塗りで描いてしまいます。時代を超えて絵の基礎といわれるデッサンでも、線で描くな、というのはまず初心者に対して言われることだと思います。しかし、マンガ・イラストに限らず、絵のクオリティを上げるためには、なんだかんだ線というものは大切で、もっと言えば、線を否定するのが基本言説のデッサンでさえ、線のクオリティは非常に大切で、線に対する苦手意識は解消しておかないとこの先に行けないだろうということは、少し前から薄々感じてはいました。
そんな中で、普通のマンガよりももっと絵を凝視しやすいエロ漫画の作画のミッションがあったので、これはもうここでやるしかないということで、作画の際の意識はほとんど、「線に色々な情報を盛り込んでいくこと」に割き、そのためなら全体的なクオリティは少しくらい下がっても良いだろうくらいの意識配分にしました。
1.のコマ割りについては、全年齢部分とエロ部分で少しだけ考え方を変えました。
まず、全年齢部分については、マンガにおける情報の優先度の認識を変えました。
今までなんとなく、マンガは絵を見せるメディアだという認識を持っていましたが、ネーム模写をしていく中で、マンガというものはどちらかというと絵よりも小説に近いものだという感想を持ちました。
今までの自分の認識では、マンガにおける要素の優先度は、
- 絵
- セリフ
- コマ割り
- 書き文字(効果音など)
だと思っていましたが、それを明確に
- コマ割り
- セリフ
- 書き文字(効果音など)
- 絵
という形に変えました。
こうした理由は、一般的に「ネーム力が高い」と言われているマンガのネームを模写したときに、ほとんどのページがこのような階層構造で(人によって無意識か意識的かはなんとなく別れていることを感じたが。作品によっては、「この人は自分がネームのセンスがないことを本当に自覚していそうだ」くらいの意思を紙面から感じた。そういう作品は、そこでのコマ割りの使われ方がいわば安定の基本であることがわかりやすかったので、安心して参考にすることができた。おそらくプロの世界でも、うまいコマ割りを感覚的にスマートに行える人間と、いわゆる基本と計算に基づいて理知的に組んでいく、2種類の人間がいるんだと思った)構成されていることをなんとなく、感覚的に感じ取ったからです。
恐らくこういう階層構造をとることでの一番のメリットは、読みやすさ以外に、時間の概念を表現しやすいことなんだろうと思いました。恐らく絵の優先順位が高い考え方で画面を区切っているなと思われるプロの画面は、正直絵を描いている人間からしたら、ネームがうまいとされているマンガ家の画面よりもよほど楽しくて味わいが深い。しかし、唯一時間の概念だけは混濁しており、中には間をその中で表現されようとしているものも感じ取れましたが、やはり画面に埋もれてしまっている印象を受けました。「良いとされるマンガ」のベクトルに、「時間の概念が明確であること」という要素が含まれているとしたら、また今回そういう講評を受けたりしたので、その上でも、コマ割りを今回自分の中で注力して考えたことは、良かったなと思いました。
2.の線については、特に肉感などの、重さの情報を特に線に込めたい(できれば他の情報も!)と思って作業しました。
というのも、今回師走の翁先生が「一般マンガとエロ漫画では文法が違う」と仰っていたことを考えていたのですが、エロ漫画の文法上は、例外的に上で上げた優先度が適応されていないということに気づきました。
そしてこれは仮設なのですが、エロ漫画の画面というのは、「前後のコマやセリフなどで補足説明が追加されたエロイラスト」なのではないかと考えました。
よって、エロシーンのコマ割りについては、「魅せるエロいコマ1つ」+「その前後説明のための小さいコマ」という位置づけですべて作業したのですが、そう考えるとやはり魅せゴマでは絵のクオリティでどうしても勝負しなければならず、またマンガは表現するための絵の要素が非常に少ないと感じたので、「肉感」「エロス」を表現しようと思ったときに、どうしても線の中にその要素を入れなければならない、ここから逃げることはできない、と考えていました。そしてその「肉感」「エロス」を表現するのに自分に最も足りないのは、「重さの情報」だと思ったのです。
最初は迷走していましたが、8ページくらいで少しコツを掴んだのを覚えています。1〜2ページとは明らかに線質が異なっているわけですが、見返してみると「よりマンガっぽくなったな〜」と感じたので、これについてもまあ成功と言ってもいいのかな、と思いました(伸び率の問題はあるのかもしれませんが)。
正直今回の作画は途中で完全に嫌になってしまい、自分の中でこの作品は完全に「RPGのレベリング作業」になってしまいました。まあまず自分はエロではない、ということが再確認できたことと、自分の良さが出る作品の(方向性の)条件だったり、自分がどういう感覚になる作品を作ればおのずと自分の中にある、表面的でないものが出てくるのかということが何となくわかった気がしたので、これを活かして今後の課題も取り組んでいけたらと思っています。
引き続き、よろしくお願い致します。
文字数:2476
ネーム
ボクと姉ちゃんのだらしない日
ネームに関するアピール
32歳、童貞です。
類似する実体験が人生において全く無い身ではありますが、今回、いわゆるエロ漫画にチャレンジしてみました。
まずは、この果敢な挑戦を行ったという積極性を評価していただけましたら幸いに思います。
成人向け漫画に挑戦した理由としては、まずはひらめき漫画教室にいるうちに、多くのジャンル・方向性の漫画を描いておきたいということ、
また、いわゆるエロコンテンツは存在意義も、また購入する層の購買理由も極めてシンプルかつ単純(抜きたいときに買って抜きたいときに読む)なので、新芸術校との合同授業や、これまでの漫画教室での講義で習った「受け手を想定して描く」ということについての、最も明確なトライになるのではと思ったからです。
(読者が求めていることの精査や、伝えたいテーマの掘り下げをある程度省略でき、いきなり実践練習から入れると思ったからです)
新芸術校との合同授業は、私にとって大きな転機でした。
あの講義で教えていただいたことは色々と印象に残っていますが、少なくとも自分が今まで絵を描く際にとってきた、「自分の描きたいものを」「自分の好きな絵柄で描きました」というスタンスが、表現者としていかに幼稚だったかを痛感しました。
まずは、何を描くにしろ、受け手を想定して描くことは必ず必要な作業で、今後漫画をどのようなスタンスで描いていくにしても、自分が必ずクリアしなければならない問題だと考えました。
まず、自分がエロ漫画を購入するときに、どのような意思決定をしているか整理し直しました。
その結果、エロ漫画には、「ジャンル買い」と「作家買い」があるなと思いました。
そのように購入する理由は、まず買って損をしたくない、という心理があると思います。
エロ漫画は抜くために買うので、抜けなかったら終わりであり、よって、購入する際は、「この作品ならきっと安定して抜けるだろう」と思う作品を買うだろうと思いました。
そして、安定して購入してくれるファンを獲得するには、「作家買い」の対象にならなければならないと考えました。
「作家買い」の定義としては、「この人が描いたものであれば、きっと高い確率で抜けるだろう、と思ってもらえていること」です。
次に、「作家買い」の対象になるためにどうしたらいいか考えました。
結果、「作家買い」をしてもらうためには、「前作を何回も「使う」ことができたのでお得だった」という体験が前提になると考えました。
そして、より広い読者から「作家買い」の対象になるためには、「強烈に印象に残ってその1シーンで何回もシコれる作品」を目指すよりも、1話でいわゆる「抜きどころ」を何個かつくり、「1冊のうちで確実に1つは抜きどころを用意してくれているだろう安心感のある作品」を目指したほうが、「抜き」の対象になる「及第点」を多くの読者から取りやすく、ファンを得られる確率が高いだろうと考えました。
また、複数ある抜きどころの1つで一度抜いてもられば、そのキャラの「別の顔」が見たくなり、別シーンを使用してもらえ、その結果、当初の目標である「1つの話で複数回抜いてもらう」という目標を、偶発的に達成できる確率も高まるのではないかと考えました。
そのための具体的な方策として、以下のことを意識しました。
1.「抜きどころ」は必ず3回入れる
2.「オーガスムへのクライマックス」「オーガスム」「余韻」を、全て同じ見開きに入れる
なぜオナニーを、漫画やビデオを見ながらするのかを考えました。
その結果、「漫画やビデオのどこかの立場と心の中で一体化することでイメージ力を高め、より良い射精体験を得るため」という仮設を立てました。
その前提で考えると、「局部への刺激」「コンテンツを目視」「イメージへの集中」以外の要素はできる限り排除しなければならないと考えました。
表題2.に上げた3点を、「イメージの集中」に必要な条件なのでは、とまず定義しました。
よって、これらの3点の要素をひと目で見渡すことができ、かつ局部を刺激する方と逆の手の仕事を減らし、読者にイメージに存分に集中してもらうためには、これら3点は必ず同じ見開きに入れられなければならないと考え、そのように組みました。
また、この3点は自分が思う射精の気持ちよさを整理した結果とそれぞれ対応しています。
射精とは一体何が良いのか?を考えた際、
- イキそうなとき →「オーガスムへのクライマックス」に対応
- 実際にイッたとき →「オーガスム」に対応
- イッた直後の脱力感 →「余韻」に対応
これら全ての要素に対してイメージを同化する対象を描くことで、読者に良い自慰体験をもたらすことができるだろうと考えました。
またその他、気をつけたことは以下です。
3.姉のエロさを強調するために、冒頭の部分を使って「普段は理性的だが、エロモードに入ると関係なくなる」という対比の構造を作りました。
- 事前にさやわか先生にチェックをいただいた際、ここは不要では?(3ページも使って場面展開するのはリスクが大きいのでは?)という指摘をいただきましたが、まず前述の見開きの関係で、ページ数をいじれなくなってしまったこと、
また、その後いくつかの商業誌をチェックしましたが、そこでは大抵、
1.オープニング(登場人物や設定の説明。日常でエロい要素は(ある場合もあるが)ない場合もある)
2.エロい事態になる「何か」が起こる
3.エロシーン
4.エロを受けてエピローグ(登場人物の関係性が変化していたりなど。大抵、今後もセックスした男女などで性的な関係が続くことを示唆する描写が多い)
となっており、今回の私の1〜3ページは上記の1.〜2.に該当する役割を担っていると感じ、これは恐らく必要性が全く無いわけではないだろう、と判断し、そのまま載せることにしました。
4.竹富先生の講義の際、「ネームでキャラに名前を描くのではなく、ある程度わかるような特徴付をしたほうがいい」というお話があったので、名前を描かなくてもわかるように、姉弟で明確な特徴づけ(色白・金髪)(日焼け・黒髪)を行い、ネーム内でキャラが誰かを文字によって表すことをしないようにしました。
5.モノローグを最初と最後だけに絞りました。
作画についてですが、恐らくエロ漫画は肌の質感なども重要だと思うので、肌に乗せるトーンのエッジ部分を柔らかくするなどして、一般向けと少し違うテイストにしようと考えています。
また、私はあまり女性キャラクターに性的なパーツを載せるのが好きではないので意図的に削っていましたが、今回だけは需要を考えて、できる限り肉感的に描こうと思っています。
その際は、人体の勉強だと思い、丁寧に調べながら作画したいなと思っています。
成人向け漫画は、構図が直立不動なことが少ないので、長方形のスペースに収めることにとても苦労しました。
また、人体に関する知識(特に腰から股関節周り)が一気にアップデートされました。
チャレンジしてよかったと思います。
反省点としては、「この漫画の目的」をひとつに絞れなかったこと(私はエロ漫画のジャンルはふたなりとショタが好きで、大抵これに該当するジャンルしか買いませんが、特にそこは熟考することなく2つを安易に同時に出してしまったため、フォーカスがバラバラになってしまった印象があります)です。
私は好きなものを安易に組み合わせてしまう性質があるようで、ここは今後気をつけていこうと思いました。
次回以降の課題は、今回学んだ考え方などを、自分が描きたいテーマに落とし込んでいけたらと思っています。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
文字数:3095