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完成稿

完成稿に関するアピール

ネームからの変更点は以下のとおりです。

  1. 絵柄の変更

    竹富先生より、ネームと完成稿が違いすぎると指摘をいただいたことについて、ネームの描き方を直すか、完成稿を直すか思案しておりましたが、結局、完成稿の絵柄自体を変えることにしました。
    意識したことは以下です。

    ・ハッチングはほぼ完全に封印し、どうしても必要なところだけ使用することにしました。
    少なくとも、階調の調節にハッチングは利用せず、スクリーントーンで対応するようにしました。

    ・新芸術校との合同授業において、「マンガも、正面から見られることしか想定されていない」ということをお聞きし、
    あと飲み会の際だったと思いますが、「マンガは線中心で描くべき」ということを伺ったので、できる限り輪郭線に拠った形で作画するように心がけました。

    私は頭から順に仕上げていくタイプなので、冒頭のページから終盤に行くにつれて、見やすさと、私が特質として持っている繊細性が自然に融合してきていると感じ、良くなったのではないかと感じています。

  2. ネーム上の変更

    ・主人公が「連れてって」と態度を変える理由が不明という指摘に対して、14pのセリフを変化させ、
    またそれに説得力を持たせるために、「職員室の描写」を追加し、「先生が泣いていた理由」を明示するようにしました。

    ・1p目の導入の構図は普通が良いと指摘をいただいたので、描き直しました。

    ・3p目の表情が可愛すぎる、最終pとの笑顔の対比になっていない、という指摘に対して、そのとおりの表情にしました。
    ※元々この表情だったのは、そもそも主人公が先生に対してねじれた好感を持っている、という設定からでしたが、
    この話のテーマをもう一度整理したところ、「言葉をあまり介さずに人と人とがつながる話」としたかったので、
    この部分は不要として削り、「本当に主人公は先生をあまり信用していない」として再構成しました。

    ・4p「お前らみんなを心配してんだよ」が重要なセリフのはずなのに、アピールが弱い、という指摘に対応するため、4p目を描き直しました。
    さらに、6pでダメ押しで、「俺はみんなを心配してる」というセリフを、もう一度想起させる描写を追加しました。

    ・16pの「な…」が見落とされやすい、という指摘に対して、コマを設けて強調する修正を施しました。

    ・16pの「別に話してほしくないけど」というセリフが不要という指摘を受け、削除しました。

その他、作画に関してのアピールポイント等は以下のとおりです。

  1. 完成稿のアピールポイント

    最終コマは、広さを強調するために、3点パースではなく、ある程度ルールを無視した感覚パースで描きました。
    うまいこと3点透視にはない効果が出せたのではないかと思います。
    大抵自分が絵を描く時は仕事後で、疲れて感覚的なものが死んでいる時なので、なかなかできないのですが、、、
    将来的にもっと感覚に頼った描き方に振っていきたいので、(作画前に仮眠をとるなどして)ちょくちょくこういうコマを増やしていきたいと思っています。
    今回のこの作画は、そのきっかけとして実績を残せたので、自分の印象に残すためにもアピールをしていきたいと思っています。

  2. 反省点

    スケジューリングの問題になってくると思いますが、背景や一部作画について、時間やエネルギーの問題で、作画ペースを維持するために、ごまかしのようなやり方をせざるを得なかったことが心残りです。
    意識的に抜く部分は作りたいとは思っていますが、本来もっと密度をあげなければならないところまで抜いてしまっているので、画面が貧相に見えてしまう気がしました。
    次回の作画は、もっと今の描き方に慣れていてコストが下がっているはずなので、その分を画面に反映させていけたらと思っています。

 

以上です。
今回の課題は、習作として、ネーム・作画を通して色々と試せたところが多かったので、実りは多かったように感じます。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

文字数:1609

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ネーム

ネームに関するアピール

ある日、出先に傘を放置したことを忘れたまま帰宅してしまい、翌日、大雨の中ノーガードで出勤せざるを得なくなってしまいました。

「一体自分は何のために生きているのか」「こんな思いまでして出勤するのは何故か」という哲学性の高い問いに向き合わざるを得なくなった、要するにただただ状況にイラついていたわけですが、そんな中でこの話の原案は生まれました。

 

竹富先生からいただいた課題文に加え、私は今回の課題に、独自に追加条項を設けていました。
それは「モノローグを使わない」ということと、「表現したいことをもっと整理してポイントを絞る」ということでした。

具体的には、前回までのネーム作成フローは

  • テーマ決め→プロット→キャラ設定→シナリオ→シナリオのページ分割→ネーム

という流れでしたが、ここに

  • テーマ決め→プロット→【プロット精査】→キャラ設定→シナリオ→シナリオのページ分割→【抽象化】→ネーム

という新たな段階を設けることで、これに対応しました。

ただ、プロットの精査については具体的な作業項目として設けましたが、抽象化に関しては、ネームに落としこむ段階でやればいい、ということに気づいたため、シナリオをネームにコンバートするときに、具体性が高い表現にならないように意識することで対応しました。

 

竹富先生の画面をつくる、という課題は、以下のフローで対応できるという仮設は立てていました。

  1. 一番の見せ場となる「最高の画面A」を定義
  2. 各パートの決めゴマである「B」「C」「D」…を定義
  3. A<>B、A<>C、A<>D…であるかチェックを行う

これを厳密に実行することは難しいと考えましたが、とりあえず、一番の盛り上がりである「最高の画面A」と他の決めゴマは、明確に差異化しようと思い、盛り上がり(p11〜13)だけはダイナミックに、その他のコマは常に大人しくローテンションで、ということはルールとして決め、どのようなコマを入れたとしても、少なくともp11〜13のクライマックスとは差異化される、という仕組みを構築した上でネームを作成しました。

また、最初の1ページ目は少し奇天烈なコマ配置にして興味を引き、2ページ目で平行線の大人しい小回りを使った画面に移行することで静けさを強調し、作品の印象を明確にして読者が入りやすくする工夫を行いました。

ラストは、今まで一度も笑っていない主人公に、初めて少し甘えたな、子供っぽい笑顔を浮かべさせることで、この物語がハッピーエンドであることを示し、またそのことによってそれまでのページとの差異化の仕掛けとしました。

 

読者への「おくりもの」としては、最後の主人公の笑顔でしょうか。
中学生男子の笑顔は可愛いですね。

 

以上です。
よろしくお願いいたします。

文字数:1115

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