1000年生きた男

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梗 概

1000年生きた男

高校生のマキは、吹奏楽部でのきびしい練習に疲れ、自暴自棄になっていた。また将来の進路が決まらず、母親と同じ作家になりたいと宣言したが、片親であるショウコにきつく止められてしまう。

そんなマキの家に、1か月前、金髪碧眼のアレックスという男が訪れていた。彼は自分が1000年生きてきた不老不死だと名乗り、作家である母のショウコに自分の自伝を書かせたいと言う。マキはうんざりして取り合おうとしない。むしろ、自分のことを気にかけてくれない母親に反発し、マキはコンビニで万引きを試みる。そこに居合わせたアレックスがマキを止める。生きる意味が見つからずに死にたいと言うマキに、アレックスは叱咤し、カッターで自分の腕を深々と切りつける。アレックスは本当に不死身の体であり、この傷も数日経てば治ってしまうという。1000年のあいだ、多くの戦争に参加し、数々の死を見てきたアレックスにとって、マキの悩みはとても小さなことに見えた。それでもマキは生きるのがつらいと言い、カッターで自分を切ろうとする。アレックスは観念し、彼女に生きるよう説得する。

アレックスに仲立ちされ、母親と和解したマキは、アレックスと生活をしながら多くの旅の話を聞く。彼はギャンブルで生計をたて、生きる術を学ぶのは得意だが、極度の機械音痴で日本語も読めていなかった。また、彼は自分の過去については話そうとはしなかった。マキが母親の書斎に置いてあった原稿を見ると、アレックスの過去について記されていた。彼は1000年前の、今のチェコがあった場所で生まれ、奥さんと子どもがいたという。40歳を過ぎたあたりで不老不死を自覚し、奥さんと別れて各地を転々とするようになった。マキはアレックスに奥さんのことを聞くが、彼は激怒する。マキは幼いころに両親の離婚を経験し、夫婦について疑問を持っていた。事情を察したアレックスは、妻との約束である「不老不死であるのは、長い長い年月、人を見守るようにするため。それが神様が与えてくれた使命」についてマキに話す。そして今回、自分の自伝が完成した暁には、自分で生を終えるつもりだという。

原稿が完成に向かうほど、アレックスの死期は近づいていく。マキははっきりとアレックスの自殺に反対するが、彼は聞き入れない。マキは「アレックスが死ぬなら自分も死ぬ」と脅すも、彼に叱咤される。逆に、アレックスはマキに「自分の死期を見届けてほしい」と頼みはじめる。アレックスは、後悔しないように生きること、満足した人生を送れば死は悪いものではないことを、マキに伝えるのが使命だと感じていた。故郷のチェコにはない海岸で、服毒自殺を図るアレックス。マキはそれを見守る。

文字数:1107

内容に関するアピール

・「驚き」は個人的なことで恐縮ですが、登場人物同士の衝突でした。いままであまり衝突が書けなかったので。

文字数:51

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