梗 概
ぼくたちがパチンコに行く理由
フリーターをしている「ぼく」がジャグラーを打っていると隣の男がボーナスを揃えられずにいた、あまりに手間取っていたので代わりに揃えてあげた。男は谷口と名乗りそれ以来よく話すようになった。「ぼく」がパチンコ屋に行くと彼はいつも箱を積んでいた、「ぼく」は谷口のことをサクラかと疑い、おすすめの台を聞いてみた。谷口は自分はサクラではないが、出る台はわかると言った、「ぼく」にボーナスを揃えてもらったことがあるからとその日はハーデスの島の通路から二番目の台を打てば良いと教えた、その通り打つとその日は一万二千枚出た。「ぼく」は次会ったらお礼と何故わかるのかを絶対に聞き出そうと決めた。
その後しばらく谷口と会うことがなかったが、ある夜「ぼく」がキャッチのバイトをしていると谷口がパチンコ屋から出てきたのを見つけた。いつもと違う店であったがその日も大勝ちしているようだった。先日台を教えて貰ったお礼にと「ぼく」はバイトを放り出して谷口を飲みに誘った、酔わせて当たる台がわかる理由を聞きだそうと考えた。
谷口は機嫌こそよくなったが本題についてははぐらかすだけであった、しばらくして谷口は酔いつぶれてしまう、そして家が近いというので「ぼく」は送ることにした。谷口の家は小綺麗なワンルームで几帳面に畳まれた布団と段ボールがあるだけだった。段ボールを覗くと大量の千円札と万札が無造作に入っていた。段ボールの中を見ている「ぼく」に気づいた谷口は「ぼく」に仲間かどうか聞いた、「ぼく」は意味がわからないと答えると、谷口は酔っ払った様子で自分は宇宙人で未来を少し覗くことができる種族であり恒星間旅行の際に手違いで地球に落ちてしまった、地球には自分と同じ種族が少数であるが地球人に溶け込んで過ごしているから、自分の能力を人前で使い仲間に気づいて貰おうとしている、そのためにパチンコ屋やは都合が良いと言った。「ぼく」は谷口が宇宙人だということは信じなかったが彼を使うと大金が稼げると思った、そしてパチンコ屋で打っているだけでは仲間に気づいて貰うには効率が悪い、「ぼく」も協力するからもっと大きく稼いで目立とうと言った。谷口も協力を喜んだ、そして翌日パチンコ屋で落ち合うことを約束し、その日は別れる、「ぼく」は自分の生活を変えてくれるかもしれない出来事に心を躍らせた。しかし、翌朝約束の時間になっても谷口は現れず「ぼく」は谷口の家に向かう、呼び鈴をならしても谷口は出なかったので中に入ると、谷口の布団の中に昨晩谷口が着ていた服とどろっとした大量の液体があった。それを見て「ぼく」はその液体が谷口だと思い、谷口が宇宙人ということを初めて信じた、そして昨晩アルコールを初めて飲んだと言っていたことも思い出し、宇宙人にアルコールはダメだったんだと冷静に思った。そして部屋の隅にあった段ボールの蓋をしっかりと閉じ、「ぼく」はそれを持って部屋から出て行った。
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内容に関するアピール
パチンコやスロットをやったことがありますか? 私はたまに行くのですがギャンブルというのは心が大きく動くのを簡単に体験できます。数万円単位で勝ったり負けたりするのは勝てば嬉しいですし、負けると非常にいらつきますが単調な生活を送っているとどちらの刺激も悪くなく感じます。
梗概中のフリーターの「ぼく」は夜の仕事が多く、夜勤明けにパチンコ屋に並んで何時間か打って帰って寝るという生活を毎日送っています。
この物語では謎を3つ設定しました。谷口の正体、谷口の打つ台がいつも当たる理由、「ぼく」が勝てるわけでもないのにパチンコ屋に行く理由です、前二つはSF的に、最後の一つは物語を通しての「ぼく」の内面描写で回答を与えようと考えています。
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