ラスボスは最終回で死ぬ

印刷

ネーム

ラスボスは最終回で死ぬ

ネームに関するアピール

今回の課題である「うれしさ」と「さびしさ」を同時に感じるシーンということで、思い浮かんだのが、「物語の最終回」です。

毎週日曜朝に放送している、スーパー戦隊シリーズのパロディを悪役目線で描きました。スーパー戦隊モノではありますが、主人公はラスボスの魔王です。

毎週律儀に新しい敵が登場し、30分で倒される。それを1年、4クールも続けるのだから、ずーっと戦っている悪役もヒーローも、この戦いに対する愛着のようなものが湧くのではないか。戦いの決着がつくことの嬉しさと、この物語自体が終わってしまうことの寂しさのようなものを描ければと考えました。

そんな当初の狙いとは裏腹に、どんなに登場人物が自由に行動しようとしても、「ラスボスが倒され、世界に平和が訪れる」というヒーローモノのお決まりの結末に、強制的に誘導しようとする存在、テレビディレクターの脇田氏の行動が酷すぎて、全体的に理不尽な印象を受けてしまう話になってしまったな、という反省があります。

魔王は、脇田氏に自分の勇姿をみせられるところを心待ちにしていて、弟たちが安心して暮らせる世界を作りたいと思っています。この物語では後者は叶いましたが、前者は叶いませんでした。そもそも、脇田氏はヒーローが活躍するシーンを撮りたがっているのです。とことん寂しい話なので、「どこにうれしさがあるのか…」と読まれている方は思うかもしれません。しかし、自分の望む形ではないにしろ、弟たちの幸せそうな姿に、魔王も少しは「うれしさ」を感じてくれたのではないかと思います。

文字数:647

課題提出者一覧