梗 概
SDGs殺人事件
◆舞台
2030年鹿島工業地帯の海岸沿いの重力蓄電所。
重力蓄電は、大型クレーンでコンクリートブロックを上下させて位置エネルギーを蓄える発電方式。電気料金が安い時間帯に貯め、高い時間帯に売る。
◆登場人物
主人公:電力保安監督官。電力網に接続する民間の発電所に立ち入り調査をする権限を持つ
彩音先輩:上司。ポンコツ
[被害者]大田老人:重力蓄電所のオーナー
[真犯人]佐々木:プログラマー。重力蓄電所の制御システムを作った
その他、犯人っぽい人たち
◆シナリオ
導入
ある台風の夜、主人公と彩音は、この重力蓄電所が法令に反して暴風の日も稼働しているという噂を確かめるべく張り込みをする。
彩音先輩がどんくさかったためにバレる。夜勤の作業員たちと一緒に過ごすことに。
事件発生
高潮で敷地に海水が侵入し全員高台に避難。
佐々木は防潮扉を閉めに行き行方不明になる。
なぜかクレーンが動き出した。
上方のブロックAが降下し、続いてAの直下にあったブロックBも降下。
なんと、ブロックBの上には大田の傷一つない死体が横たわっていた。今までAとBに挟まれてたはずなのに。不可能犯罪だと騒ぎに。
台風が収まり佐々木を探しに行く。佐々木は防潮扉の近くで気を失っていた。転んで頭を打ったという。
警察がやってくる。
捜査
佐々木について分かる。
彼は自分の山林にソーラーパネルを設置した。それで周辺住民の反感を買い子供が虐められた。また太陽光ブームで買取価格が暴落し多額の借金を抱え、一家は貧困に陥る。
手を差し伸べたのが大田老人。大田は佐々木家が発電した電気を、一定の高値で買い取ると約束した。
しかし冷徹な性格をした大田の娘がそれを知れば、すぐに契約を破棄するだろう。
しかも大田老人は重い病で、いつ亡くなってもおかしくなかった。
犯行の手口も見えてきた。
佐々木は防潮堤に行っていたため現場には近づけないというアリバイがある。
ところが彩音先輩は、ブロックをとある順序で動かせば、佐々木も現場に到達できると指摘した(詳細は略)。
しかし必要なエネルギーを計算すると途中で不足するので、外から電気を取り込まなければ成り立たない。電力保安監督官の権限で該当時間帯の電力の「入・出」を確認したところどちらもゼロ。つまりこの施設のブロックの上げ下ろしだけでエネルギー収支が完結してる。
解決
その試算は、海水の浮力を計算に入れていなかった。実は電力は足りていた。
佐々木の目的は、大田を失踪させることだった。
失踪なら7年間娘に相続されないので、佐々木はちょうど子どもが高校を卒業するまで家計を支えられる。
そこで高潮の日に防潮扉を壊して海水を入れ、潰した死体を海に流す計画だった。
ブロックAの上で殺し、Bで潰す予定だったが、AとBの高さがそろった瞬間、突風でクレーンがわずかに傾き、死体がブロックAからBへ転がった。
遺体は潰れずにそのまま発見され、不可能犯っぽくなってしまったのだった。
文字数:1200
内容に関するアピール
アホな先輩とヤレヤレ男の子のバディものにしようと思ってます。
主人公は大人しくしているのに、じっとしてられない先輩が図々しく調査をして真相に近づいていく展開にしたいです。
先輩が無茶な推理を披露し、後輩が突っ込みながら推理を磨いていく流れもやります。
重力蓄電というアイディアは実在し、今実験中だそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=J2bkZbKeUmQ
これでルービックキューブ的ミステリを作りたいなと思ってこれを書きました。
最後の『風で煽られて転がって〜』のところはもう少しまともにしようと思っていますが、梗概の提出時間が来てしまったので一旦これで出します。
本番までには仕上げておきます。
各コンクリートブロックがSDGsの17色で塗られている、という設定も思いついたのですが、うまくシナリオに組み込めなかったので、今のところ不採用にしています。
文字数:389