デッド・コピー

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梗 概

デッド・コピー

【登場人物】
[幼馴染3人]
社長…主人公1。自動運転AIの開発会社を起業した人物
親友…社長の親友かつ運転手だが、すでに殺されている
妹…主人公2。親友の妹。ジャーナリスト。
[会社]
共同…社長の共同経営者。親友を殺した犯人

【タイトル】
「丸写し」と「死者の複製」のWミーニング。

【時系列順の物語】
①子供の頃の将来の夢を語る3人
②大学生の社長、高卒の親友は友情厚く、いつも一緒にドライブしている。親友の運転技術はすばらしい。
③社長と共同が起業。
④親友を運転手として雇い、社用なのに社長は助手席に座り公私混同と陰口を叩かれる。
⑤視線測定などで親友もデータ採取に協力。
⑥社長と共同は脳の記憶をそのままAIに取り込む研究を始める。最終目標として、親友の知識を取り込む予定。
⑦実験に成功するも、放射線が強すぎて脳を破壊するため、実験動物か死にたての人間にしか使えない。
⑧共同は親友を刺殺。動機は2つ。
・自分が社長の一番の友人でいたいが親友が邪魔
・親友の脳を取り込み究極の自動運転AIが作れる
⑨共同は発見者を装い、社長に「親友を生かす唯一の方法が」と持ち掛け親友は取り込まれる。
⑩親友の葬儀。
⑪完成したAIは商業的に大成功、沢山の車に搭載される。
⑫兄がAIとして取り込まれたことに気づいた妹が、非人道的である、即刻兄を解放せよ、しないならお前を殺すとナイフを持って社長に談判。
⑬社長は犯人を突き止めるために一時協力しよう、その後で俺を殺せと提案。
⑭共同が犯人とわかり、ナイフを持った妹&社長と対峙。
⑮社長は妹のナイフを奪って共同を刺す。
⑯共同は「お前らの絆は本当気持ち悪いよ」と言い倒れる。社長はメッタ刺しして絶命させ、かねてから計画してあったのだが海外に逃亡。
⑰妹は政治活動を始める。目的は車載の兄のAIをこの世からなくし、今度こそ兄の葬式とすること
⑱何年もかけ政治活動は身を結び、新たな開発はもとより人間コピーのAIを検出して搭載不能にする人道機構の搭載が世界中のAIに義務付けられる。
⑲法の適用がぬるい海外でも、新たな修理は不可能になり、逃亡した社長の乗る車が最後の親友のコピーとなる。
⑳「これが壊れた時がお前の死か」と言いつつ、社長はその車でドライブに出発する。

【物語の進行順序】
葬儀→将来の夢→運転手雇用→AI完成→妹談判→ドライブしてた頃→脳取り込み研究→共同を犯人と断定し対峙→共同が親友刺殺→生かす方法持ち掛け→共同刺して社長逃亡→妹政治活動→社長が海外で死を睨みドライブ

【より詳細なプロットが必要になる部分】
[いかに妹が兄がAIに取り込まれたと知るか]
社長と妹が乗車しているさなか、自動運転に急ブレーキがかかり、前を見ると猫がゆっくりと歩いてゆき、社長が「あいつの優しさだよ」と言う。妙に気味の悪い気配を感じた妹が、持ち前のジャーナリズムのスキルで、聞き込みや潜入捜査などを経て、脳丸写しデッドコピー装置の存在を知り確信を得る。

[いかに共同が犯人であるという証拠を挙げるか]
共同はもともと、プライバシーの観点から〝エピソード記憶〟〝意味記憶〟〝手続き記憶〟のうちエピソード記憶のみを消去する機構をデッドコピー装置に装備していた。しかしこれらは長期記憶に関するものであり、消去しても構わないと確証の得られていない未知の領域はそのままであった。そこは親友の死後研究を進めると短期記憶の領域であり、しかし意味付けがなされておらず曖昧模糊とした情報だった。「相手が誰ともわからない、ぼんやりとした殺害当時の映像」を親友の脳イメージから復号したが、かねてより共同を疑っていた社長は、生成AIを使ってリファインし、共同の顔が映ったと言ってカマをかけ、共同はボロを出す発言をする。

文字数:1535

内容に関するアピール

ニューロンを模した昨今のAIは、人間の脳そのものをコピーできるのは、論理的には可能だと考えます。ニューロンの関係構造データを取得さえできれば、ですが。
その取得技術自体は、できるようになった世界だよ、と飛び越えてしまって、できた先の世界の倫理上の問題がもたらすドラマツルギーを描きたいと思っています。
この物語には根っからの悪人はおらず、誰かを、何かを大好きなゆえに歪んでしまった人たちです。また根っからの善人はすでに死んだ親友くらいで、悪人にも善人にもなりきれない人たちの執着心がもたらす愛憎劇、そういうものを描きたいと思います。

文字数:264

課題提出者一覧