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梗 概

太古の伝説によれば、人類の先祖たちが箱船に乗って大洪水に襲われた世界で彷徨った時、空から銀色の巨人が飛来し、神より授かれた光の力で人類を脅かす獣たちを駆除し、平和をもたらした。以降、巨人が人類と混じり合い、世代が下るに連れて光の力が薄くなった。とはいえ、巨人の血を引いた人間はやはり特別視され、彼らが世界中で宗教関係の仕事に付くことが多い。

主人公の女性は巨人の血を受け継ぐ首都に位置する神社の娘である。彼女の左目は一瞬物質を通過する光線を放すことで物事を見透かす能力の持ち主である。ある日、神社に参拝してくる氏子の女性に息子の未来を見てほしいと頼まれ、仕方なくその願いに応じて能力を使ったのだが、見た光景を理解できず適当な言葉で濁した。その後、女性と息子は町から出て行方不明となったことを聞いた主人公は父親と勝手に能力を使ったことを打ち明けたら、ものすごく怒られて神社の仕事から退けられた。人間はすでに科学の力で光の原理を研究し見解を深めている世俗化の時代だった。科学の知識がなくただ本能に近い能力を持ってるだけで裕福な一生を送ることができる光の巨人の末裔たちは胡散臭いインチキ者と疑われて久しい。主人公の行為は民衆の信頼をなくすことにつながるのである意味当然と言える。

神職を追われ、慎ましく暮らそうとする主人公の元に同世代の男女ふたりがやってきた。彼らが国の情報機関に所属しており、主人公と同じく巨人の末裔で、主人公と別タイプの光を操作する能力の持ち主である。二人が来たのは、主人公をスカウトするためである。首都の郊外にある古代の巨人関係遺跡がたくさんあって、その多くは石造建築でどれも敷地が大きく、かつ用途不明なものが多い。近頃そこに全国から集まる多数の不審者が出入りしている姿が目撃されている。噂によれば、ある研究所を退職した科学者が新興宗教を起こして、遺跡で集会を開いているらしいが詳細は不明。ただし、科学者も光の巨人の末裔であることが確かである。なので、調査任務にも同じく巨人の末裔、かつ歴史との繋がりが薄い若い人が積極的に起用されたいという国の方針で主人公に調査の依頼がきたわけである。

宗教よりももっと役に立ちたいをやろうとする主人公は二人の依頼を快諾した。三人はコンビを組んで郊外に向かった。一連の冒険を経験した後に真相にたどり着いた。教授は独自研究で、巨人の血を引く人がいるという事実から、人間はみな巨人になれるという理論と称して、光のエネルギーを融合する装置で人体実験を繰り返していた。三人は教授と激戦してやっと成功をおさめようとしたところ、応援部隊がやってきたのだが、どうやらその銃口は三人にも向けている…

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内容に関するアピール

日本SFの金字塔であるウルトラマンの物語を独自の角度で攻めてみたいです。

もし怪獣がない世界で人間の保護者が人間とどうやって共存するのか。まさに科学と人間の関係そのもので、ウルトラマンシリーズの魅力でもある。

一年間ありがとうございました。自分と同じく物語を書きたい人がこんなにいることを身近で触れ合うことができたことが何よりもの幸せです。

文字数:168

課題提出者一覧