梗 概
珠湧く丘に
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文字数:1389
内容に関するアピール
レイカーツワイルのポストヒューマン誕生に、下のような記述があります。
岩は、(中略)もしも、素粒子をより意図的に構成させたなら、熱を出さず、エネルギー消費がゼロで、10^27ビットのメモリをもち、毎秒10^42回の演算を行うコンピュータになるだろう。
ようは石ころが脳みそよりもはるか優秀な計算機になりうる、ということだそうです。
SFにはしばしば、意識を持つ宝石(鉱物)が登場します。
にわかながらにこの一年で読んだ作品を思い返すと、エンパイア・スター、僕になることを、エンジン・サマー。漫画だと宝石の国(自分の中ではSF)。などなど。
しかしそのしくみに関する説明はなく、宝石の美しさ、その神秘性に託されてれている感があります。
そこで今作では、カーツワイルにならって宝石を極限に集積した機械ととらえ、そのメカニズムをすこし踏み込んで描写します。
そうすると宝石は、2つの側面を持つことになります。
1つは宝石の持つ寓意的な面。人間の強さ、美しさや、脆さ。あるいは「永遠の輝き」で表される無時間性。
もう1つは宝石=機械としての、サイバーパンク的要素。テクノロジーが人間を変えるのかということ。
この2つの側面から描き出したいのは、<このわたし>が存在することの奇跡性、それと物語ることそれ自体との関係です。
漠とした感覚なんですが、<わたし>が存在するのは、誰かと対話するために、相手をイメージし自分をイメージし、世界をイメージしている。
そんな感覚を宝石を通して表現できればと思います。
文字数:660