完成稿
親殺しの館
完成稿に関するアピール
1.作品のテーマ
この作品のテーマは、「環境への怒りという感情の未熟性」です。
とりわけ人生の中で新しい段階に進もうと思った時、許容し難い環境への不満というものは、一度受け入れた上で行動する必要があると思っています。
そしてそれができるようになった瞬間、人はひとつ大人になり、成長するのだと考えています。
この抽象的な概念を表現するために、以下のモチーフを採用しました。
・「親」…おそらくほとんどの人間が最初に直面する「環境」
・「面接試験」…「人間性」というものが初めて直接的に試される(人が多いと思われる)ステージ
・「環境への不満」…「親を殺す小説を連載する」という行為
・「同じ執着に囚われている存在」…上記小説のファン(キラル)
主人公は自身の不遇の原因を「親」という存在に求め、激しい怒りを抱くことで、一種の現実逃避を行っています。
しかし、ある出来事によって、同じような執着に囚われていた人物を目の当たりにし、
自分の生き方を見直すことになる、というお話です。
昔から、テレビやワイドショーに代表される広告媒体は、政治家やタレントの不祥事を放映するなど、
世界の悲観的な面をクローズアップし、「怒り」の感情を煽ることで視聴率を稼いできた面があると思っています。
昨今は、twitterなどネットでも怒りの声を吐き出し合う風潮が高まっていると感じます。
この作品を発表することで、読者には今一度、「環境に対して怒りを向けること」について、
未熟性の観点から捉え直すきっかけを持ってもらいたい、という思いがあります。
2.想定媒体
想定媒体は、モーニングです。
また、ちばてつや賞への応募を考えています。
理由は、この作品は上記のとおり社会性の強い話題を扱っており、
そういった話題と親和性の高い媒体として、まずモーニングを。
ちばてつや賞に応募するのは、現在モーニングが開催している2つの新人賞
「月齢賞」「ちばてつや賞」の2賞の過去の受賞作を調査したところ、
「月齢賞」の受賞作はどちらかというとエンタメ色が強く、
「ちばてつや賞」の受賞作はある特定の人物の「生き様」を通して社会的なテーマを
訴えている作品が多く、よりこの作品との親和性が高いと感じたからです。
3.アピールしたい場所
アピールしたいのは以下3点です。
A.抽象的な題材を、1.に示したような、具体性のあるモチーフに落とし込んで、エンタメとして整理し切ったこと
B.可読性を突き詰めたコマ割
C.扉絵
A.については既に説明済みなので省きます。
B.については、
全ページ、自分が構築した視線誘導のロジックに基づいて設計を行ったこと、
ほぼ全ページ、次のページへの誘導を何らかの方法で行っていること
から、かなり読みやすく、ページをめくりやすい漫画になっているのではないかと思います。
「可読性」を、自分の漫画で特に技術的に強い部分としてアピールしたいです。
C.については、
まず、この絵一枚で
・小説を書いて人を殺していること
・それをすることで主人公は甚大なダメージを受けているが、それに無自覚(もしくは気づこうとしていない)であること。
・窓等がはめ殺されて誰も入ってこれないはずの「館」に、来訪者(キラル)が入り、物語の開始が予見されること。
この3点を説明しています。
キラルについては、シルエットで正体を隠しました。
また、視線誘導によって、最後にキラルのシルエットが見えるように設計されているので、
通常のページと同じように、次のページに流れていきやすい構造になっています。
(最後にキラルのシルエット上を視線が通過し、そのまま次のページに視線が流れやすいように設計されている)
以上の理由から、この扉絵は2ページ目に配置される扉絵として、完成度の高さをアピールしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
文字数:1555
ネーム
僕は親が嫌いだ
ネームに関するアピール
想定掲載先はモーニングです。
完成させた原稿を、モーニングの月例賞に応募するつもりでいます。
内容的にはスピリッツ寄りかなと思いましたが、持ち込みでモーニングさんには大変お世話になったので、
まずはモーニングの賞に投稿したいと考えています。
想定読者は20代の若者で、いわゆる「毒親」に苦しんでいる人が対象です。
ネームを作成する際の自分用の手順が大分洗練されてきており、今回は今までで最長の33pにもかかわらず、
着想から完成まで、修正作業含めて4日で仕上げることができました。
内容についても、必要な事項のみを整理してネームに入れられている実感があるので、
この1年の集大成に相応しい作品にできたのではないかと思っています。
これで何かしらの結果につながれば最高なのですが。
ぜひそうなればいいなと思っております。
よろしくお願いいたします。
文字数:362