《解体されたセンシング》ステートメント

作品プラン

《解体されたセンシング》ステートメント

森林の計測・解析手法の一つとして、リモートセンシングというものがある。

これは人工衛星等を用いて離れた対象物に直接触れることなく、対象物の形状や性質を調べる手法である。

リモートセンシングは抽出の手法でもある。例えば森林の被覆率等を判読するNDVI解析では、植物の葉に含まれるクロロフィルが可視域の赤の波長帯を強く吸収し、葉の細胞構造が近赤外の波長帯を強く反射する特性を利用し、2つの波長データを抽出して植生指数を演算する。

解析により演算されたデータは強い意味を持つ。しかしその演算根拠を示さなければそれはただの画像である。

根拠を無視した演算データと、今見えている森林の姿を素材とし、意図しなかった意味を見出すために、根拠のない解体と再構成を試行する。

この行為をドローイングと定義し、まだ形のないものへのアクセスを試みる。

はたして、無意味なものが生産されたに過ぎなかったのか、何かが構成されたのかは結局わからない。しかし試行の中で、解析の過負荷によるPCの排熱ではない熱が、確かにあった。

 

 

05_伊藤允彦_解体されたセンシング

文字数:442

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