ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校 2016
「危機」の時代の現代美術
新芸術校は、「危機」の意識から誕生したものだった。
現代美術の危機、美術批評の危機、美術教育の危機…… 数え上げればきりがないほど、この国の美術には未精算の危機たちが山積している。そのような危機を認識すること、そして、その危機のただなかから新しい芸術を立ち上げることを目的として、新芸術校は生まれたのだった。
しかし、2年目を目前にした現在、危機に陥っているのは新芸術校そのものである。
前身である「ポスト・スーパーフラット・アートスクール」には、ゲリラ的な緊張感と謎の熱狂があった。新芸術校立ち上げの時には、フレッシュな才能たちが次々と現れた。しかし、たった1年で驚くほど状況が変わり、はやくも存続が危ぶまれるほどに人々の関心を集めなくなってしまった。
もちろん、これは運営側であるわれわれの責任であり、失敗である。
なにせ、芸術の危機を訴えていたわたしたち自身が、自分たちの失敗によって、存続の危機に立たされてしまっているのだ。この滑稽な失敗を、なによりわたしたち自身が深く受け止めなければならない。
しかし、しかしである。
この2重の危機は、わたしたちに、再び原点に回帰せよと警告しているのではないか。
この国の現代美術は、いままでも、いまも、ずっと危機に立たされているのだ。新芸術校の危機とはすなわち、閉鎖的な共同体のなかでのサイクルに没頭することによって、この国の現代美術の危機そのものから距離を取ってしまったせいではないのか。つまり、「外部」を見失ってしまったせいではないのか。
新芸術校は、ユートピアでもアジールでもない。わたしたちの外側と内側、どちらにも存在する危機と向き合う場所である。それは精神論ではない。第2期からは、そのような場所であるための以下のシステムを導入する。
- 「真・美術家育成サイクル」によるオープン化と、明確な競争原理の導入
- 最終的にもっとも高い評価を獲得した受講生の個展デビュー
どちらも、ゲンロンやカオス*ラウンジの「外部」へアプローチし、真価を問うためのシステムである。
わたしたちは、自分たちの力で、危機の時代の現代美術を立ち上げなければならない。新芸術校は、そのような認識を共有する人たちにこそ、来てほしい。
黒瀬陽平
プログラム
標準コース会場・ゲンロンカフェ
現代美術の理論を学び、
問いかけ、実践する。
- 標準コースの授業期間は1年間(2016年4月から2017年3月まで)で、春学期(4月−9月)と秋学期(10月−3月)に分かれます。主任講師は、カオス*ラウンジ代表の黒瀬陽平です。
- 標準コースは、通年で受講をすることを想定し設計されています。春学期か秋学期どちらかを単独で受講することは可能です。ただし秋学期は定員に空きのあった場合のみの募集となります。
- 標準コースのプログラムは、「スタディ」、「ワークショップ」、「ツアー」を「1クール」として、月ごとに繰り返すように組まれています。各学期の最初と最後には「セオリー」の授業を設け、現代美術の基礎的な理論を学びます。前期のプログラムは4クールと2セオリー、後期のプログラムは3クール、2セオリーと2017年2月の最終講評会より成っています。その全体が、最終講評会への作品の出品を目標として、理論と制作を総合的に学んでゆくものになっています。
- 最先端の美術理論に触れる座学(セオリー)、実践的な講義と結びついた演習(スタディ)、集団制作と集中的なディスカッション(ワークショップ)、展覧会やギャラリーのフィールドワーク(ツアー)を組み合わせ、1年間繰り返す標準コースのプログラムは、美術教育や制作経験の有無にかかわらず、「アーティストとしての総合力」を身につけたいと望むあらゆる人々に開かれています。
セオリー
美術理論や美術史の講義を中心とするプログラムです。毎回異なるテーマについて、黒瀬陽平単独、またはゲスト講師と黒瀬の対談形式で、制作の支えとなる実践的な理論を学習します。ミニ課題を出したり、質問などを受け付けることで、教師との対話の時間も作ります。
スタディ
ゲスト講師と黒瀬による対談形式の講義(1コマ)と、課題作品の発表およびミニ講評会(2コマ)を組み合わせたプログラムです。課題作品については、事前にゲスト講師から講義題目と関わりのある課題が提示されます。受講生は、課題内容に沿った作品を事前に制作して持ち寄り、当日はプレゼンテーションをしてゲスト講師の講評を受けることになります。
※セオリーおよびスタディの講義の一部は、ゲンロン運営の「ゲンロン完全中継チャンネル」で期間限定で有料中継されます。受講者には、欠席時の自習や復習のため、受講期間のあいだ有効な視聴権限を付与します。
ワークショップ
ゲスト講師と黒瀬による対談形式の講義(1コマ)のあと、ゲスト講師とともに作品制作(2コマ)を行うプログラムです。作品制作については、事前にゲスト講師から講義題目と関わりのある課題が提示されます。当日は生徒が複数のグループにわかれ、授業時間内でディスカッションを行い、グループワークによって作品あるいは作品プランを制作し、講評を受けます。
ツアー
現代美術の現場を見学し、作品や展示について理解を深めるプログラムです。注目の展覧会や見るべきイベントなどをピックアップし、黒瀬陽平あるいはカオス*ラウンジのメンバーとともに現地に行き、講義を受けます。本プログラムは、上級コース「現場に行く」との合同授業となり、上級コースの受講生とのディスカッションも行われます。展覧会チケット、展覧会場への交通費などは各自負担となります。
最終講評会
秋学期の最後に、プログラムの締めくくりとして、ゲンロンカフェおよび五反田アトリエで作品を展示し、美術界を代表する第一線の審査員による講評会を行います。講評会では最優秀賞および審査員賞を選出します。講評会の様子はネットでも中継されるほか、講評会後は展示会場は一般来場者に公開されます。春学期の最後には、同じ会場を使って展示演習の機会を持ちます。
特別セミナー(追加プログラム)
春学期と秋学期のあいだの9月に、富山県の利賀芸術公園にて、ゲンロンスクール全体での合同合宿(2泊3日)を開催します。磯崎新設計の施設や鈴木忠志による演劇メソッドの見学、ほか講演やワークショップを予定しています。プログラム、申し込み方法などは5月発表を予定しています。参加は任意で、別途参加費がかかりますが、本コースの受講生は参加費が大幅に割り引かれます。
上級コース会場・五反田アトリエ
まったく新しい展覧会を作るための
まったく新しいプログラム
- ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校は、2016年度から「上級コース」を新設します。
- 上級コースの授業期間は1年間(2016年4月から2017年3月まで)で、通年での申し込みとなります。主任講師は、カオス*ラウンジ代表の黒瀬陽平です。
- 上級コースは、「まったく新しい展覧会を作るためのまったく新しいプログラム」というコンセプトを掲げ、隔週で授業を行います。プログラムの最後には黒瀬陽平のキュレーションにより、受講生たちの成果展を開催し、一般来場者に公開します。
- 上級コースのプログラムは、「原理を学ぶ」、「展覧会を作る」、「専門家と語る」と「現場に行く」の4種類の授業および最終成果展「まったく新しい展覧会」で構成されています。標準コースが「アーティストとしての総合力」を身につけるためのプログラムだとしたら、上級コースは、そこから一歩踏み込み、「総合力を使っていかに新しいアートを切り開くか」を学ぶための実践的なプログラムです。受講生には、ひとりのアーティストとして作品を制作しながら、キュレーターとしてどのような展覧会を作るべきかをも考えるという、高いハードルが課せられます。
- 徹底した文献の読み込み(原理を学ぶ)とディスカッション(専門家と語る)、新しい展覧会へむけての制作指導およびキュレーション(展覧会を作る)、実践的なフィールドワーク(現場に行く)のすべてが連動した本コースは、いままでの美大やアートスクールに前例のない挑戦的なプログラムです。標準コースあるいはそれに相当する他校のプログラムの修了、作品制作や美術研究のあるていどの経験をもつ人々を歓迎します。
原理を学ぶ
オルタナティブ・アートの観点から、美術理論と美術史を再構築します。毎回、課題図書を1冊定め、担当者がレジュメを作成し、主任講師とともに精読していく読書会スタイルのプログラムです。
展覧会を作る
オルタナティブ・アートの観点から、展覧会の歴史を再解読します。毎回、注目すべき過去の展覧会を1つ取りあげ、図録などを参考文献としながら徹底的に分析を加えていきます。同時に、主任講師の指導のもと、成果展の制作およびキュレーションについてアイデアを出し合い、受講生全員でディスカッションを行います。理論、制作指導、キュレーション指導が組み合わされた、新しいプログラムです。
専門家と語る
「原理を学ぶ」と「展覧会を作る」で取り上げた本や展覧会に関係するゲスト講師を招き、文献を参照しながらディスカッションを行います。美術理論の最先端を体感するプログラムです。
現場に行く
現代美術の現場を見学し、作品や展示について理解を深めるプログラムです。注目の展覧会や見るべきイベントなどをピックアップし、黒瀬陽平あるいはカオス*ラウンジのメンバーとともに現地に行き、講義を受けます。本プログラムは、標準コース「ツアー」との合同授業となり、標準コースの受講生とのディスカッションも行われます。展覧会チケット、展覧会場への交通費などは各自負担となります。
「まったく新しい展覧会」
1年の最後に、プログラムの締めくくりとして、ゲンロンカフェおよび五反田アトリエで成果展「まったく新しい展覧会」を開催します。成果展のメインキュレーターは黒瀬陽平自身であり、カオス*ラウンジのプロジェクトと連動した本格的な現代美術展が目指されます。受講生は作品の出品だけでなく、黒瀬の指導のもと、キュレーションにも参加します。
特別セミナー(追加プログラム)
春学期と秋学期のあいだの9月に、富山県の利賀芸術公園にて、ゲンロンスクール全体での合同合宿(2泊3日)を開催します。磯崎新設計の施設や鈴木忠志による演劇メソッドの見学、ほか講演やワークショップを予定しています。プログラム、申し込み方法などは5月発表を予定しています。参加は任意で、別途参加費がかかりますが、本コースの受講生は参加費が大幅に割り引かれます。
スケジュール
- 標準コース
- 上級コース
日程 | 区分 | テーマ | 時間 | 科目 | 講師 |
---|---|---|---|---|---|
2016 | |||||
4月16日(土) | 上級1 | 展覧会を作る1 市街劇『ノック』(1975)を分析する |
14:00-15:30 | 導入 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 講義 | ||||
17:30-19:00 | 討論 | ||||
4月24日(日) | 上級2 | 現場に行く1 アートの現場を見る1 |
13:00-17:30 | 黒瀬陽平・カオス*ラウンジ | |
5月14日(土) | 上級3 | 原理を学ぶ1 岡倉天心『東洋の理想』(1903)を読む |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 輪読指導1 | ||||
17:30-19:00 | 輪読指導2 | ||||
5月22日(日) | 上級4 | 現場に行く2 アートの現場を見る2 |
13:00-17:30 | 黒瀬陽平・カオス*ラウンジ | |
5月28日(土) | 上級5 | 専門家と語る1 北澤憲昭と『眼の神殿』(1989)を語る |
14:00-15:30 | 講義1 | 北澤憲昭・ 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 講義2 | ||||
17:30-19:00 | 討論 | ||||
6月11日(土) | 上級6 | 展覧会を作る2 展覧会『美術館の夢』(2002)を分析する |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 制作指導1 | ||||
17:30-19:00 | 制作指導2 | ||||
6月19日(日) | 上級7 | 現場に行く3 アートの現場を見る3 |
13:00-17:30 | 黒瀬陽平・カオス*ラウンジ | |
6月25日(土) | 上級8 | 原理を学ぶ2 小林秀雄『近代絵画』(1958)を読む |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 輪読指導1 | ||||
17:30-19:00 | 輪読指導2 | ||||
7月9日(土) | 上級9 | 展覧会を作る3 岡本太郎と「大阪万博」(1970)を分析する |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 制作指導1 | ||||
17:30-19:00 | 制作指導2 | ||||
7月23日(土) | 上級10 | 原理を学ぶ3 中沢新一『リアルであること』(1994)を読む |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 輪読指導1 | ||||
17:30-19:00 | 輪読指導2 | ||||
7月24日(日) | 上級11 | 現場に行く4 アートの現場を見る4 |
13:00-17:30 | 黒瀬陽平・カオス*ラウンジ | |
8月13日(土) | 上級12 | 展覧会を作る4 展覧会『SUPER FLAT』(2000)を分析する |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 制作指導1 | ||||
17:30-19:00 | 制作指導2 | ||||
10月8日(土) | 上級13 | 専門家と語る2 加治屋健司と戦後アメリカ美術評論史を語る |
14:00-15:30 | 講義1 | 加治屋健司・黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 講義2 | ||||
17:30-19:00 | 討論 | ||||
10月22日(土) | 上級14 | 原理を学ぶ4 ロザリンド・クラウス 『オリジナリティと反復』(1985)を読む |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 輪読指導1 | ||||
17:30-19:00 | 輪読指導2 | ||||
10月30日(日) | 上級15 | 現場に行く5 アートの現場を見る5 |
13:00-17:30 | 黒瀬陽平・カオス*ラウンジ | |
11月12日(土) | 上級16 | 展覧会を作る5 展覧会 『大地の魔術師たち』(1989)を分析する |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 制作指導1 | ||||
17:30-19:00 | 制作指導2 | ||||
11月20日(日) | 上級17 | 現場に行く6 アートの現場を見る6 |
13:00-17:30 | 黒瀬陽平・カオス*ラウンジ | |
11月26日(土) | 上級18 | 原理を学ぶ5 ジョナサン・クレーリー 『観察者の系譜』(1990)を読む |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 輪読指導1 | ||||
17:30-19:00 | 輪読指導2 | ||||
12月10日(土) | 上級19 | 展覧会を作る6 展覧会 『海市』(1997)を分析する |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 制作指導1 | ||||
17:30-19:00 | 制作指導2 | ||||
12月24日(土) | 上級20 | 原理を学ぶ6 ハンス・ベルティング 『イメージ人類学』(2001)を読む |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 輪読指導1 | ||||
17:30-19:00 | 輪読指導2 | ||||
12月25日(日) | 上級21 | 現場に行く7 アートの現場を見る7 |
13:00-17:30 | 黒瀬陽平・カオス*ラウンジ | |
2017年 | |||||
1月14日(土) | 上級22 | 専門家と語る3 新藤淳と「まったく新しい展覧会」の可能性を語る |
14:00-15:30 | 講義 | 新藤淳・黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 講義 | ||||
17:30-19:00 | 討論 | ||||
1月28日(土) | 上級23 | 展覧会を作る7 「まったく新しい展覧会」を構想する |
14:00-15:30 | 講義 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 制作指導1 | ||||
17:30-19:00 | 制作指導2 | ||||
2月18日(土) | 上級24 | 展覧会を作る8 「まったく新しい展覧会」を設計する |
14:00-15:30 | 制作指導1 | 黒瀬陽平 |
15:45-17:15 | 制作指導2 | ||||
17:30-19:00 | 制作指導3 | ||||
2月25日(土) | 上級25 | 成果展設営 | |||
2月26日(日) | 上級26 | 成果展「まったく新しい展覧会」 |
講師
黒瀬陽平|くろせ・ようへい
1983年生まれ。美術家、美術評論家。ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校主任講師。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。2010年から梅沢和木、藤城嘘らとともにアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を結成し、展覧会やイベントなどをキュレーションしている。主なキュレーション作品に「破滅*ラウンジ」(2010年)、「キャラクラッシュ!」(2014年)、「カオス*ラウンジ新芸術祭2015『市街劇 怒りの日』」(2015年)など。著書に『情報社会の情念』(NHK出版)。
標準コース講師
会田誠|あいだ・まこと
1965年新潟県生まれ。美術家。1991年東京藝術大学大学院美術研究科修了。
絵画、写真、映像、立体、パフォーマンス、インスタレーション、小説、漫画など表現領域は国内外多岐にわたる。
小説『青春と変態』(ABC出版/筑摩書房)、漫画『ミュータント花子』(ABC出版/ミヅマアートギャラリー)、エッセイ集『カリコリせんとや生まれけむ』(幻冬舎)、『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』(幻冬舎)など著作多数。
近年の主な個展に「天才でごめんなさい」(森美術館、東京、2012-13年)、「考えない人」(ブルターニュ公爵城、ナント、フランス、2014年)、「世界遺産への道!!~会いにいけるアーティストAMK48歳」(霧島アートの森、鹿児島、2014年)、「ま、Still Aliveってこーゆーこと」(新潟県立近代美術館、2015年)など。
撮影:松蔭浩之 Courtesy Mizuma Art Gallery
土屋誠一|つちや・せいいち
1975年生まれ。美術批評家。沖縄県立芸術大学准教授。著書(共著)に『実験場 1950s』(東京国立近代美術館)、『現代アートの巨匠』(美術出版社)、『現代アートの本当の見方』(フィルムアート社)など。
堀浩哉|ほり・こうさい
1947年富山県生まれ。美術家。多摩美術大学美術学部絵画学科教授(2014年度まで)。1969年に「美共闘」(美術家共闘会議)を結成、議長を務める。2010年、東京・秋葉原のアーツ千代田3331内に多摩美術大学運営のオルタナティブ・スペース「アキバタマビ21」を開設し、プロデューサーを務める(2012年まで)。
第41回ヴェネツィア・ビエンナーレ、「ユーロパリア・ジャパン’89」(ゲント現代美術館)、「今日の日本」(ルイジアナ近代美術館、デンマーク他巡回)、釜山国際アートフェスティバル、「センチュリー・シティー」(テート・モダン)、越後妻有アートトリエンナーレなど、国内外の展覧会に多数参加。近年の展覧会に「堀浩哉展─起源」(多摩美術大学美術館)、「ミニマル/ポストミニマル」(宇都宮美術館)など。
三瀬夏之介|みせ・なつのすけ
奈良県生まれ。美術家。1999年に京都市立芸術大学大学院を修了。2006年に五島記念文化賞美術新人賞を受賞し、2007~08年には五島記念文化財団の研修員としてフィレンツェに滞在。2009年にVOCA賞、同年京都市芸術新人賞、2012年に第5回東山魁夷記念日経日本画大賞展選考委員特別賞を受賞した。2009年からは東北芸術工科大学芸術学部教授として、同大のある山形を拠点に制作を続けている。近年は「東北画は可能か?」という表現活動において東北地域における美術の可能性を探っている。
ヤノベケンジ|やのべ・けんじ
1965年大阪生まれ。現代美術作家/京都造形芸術大学教授兼ウルトラファクトリー・ディレクター。
1991年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。1990年初頭より「現代社会におけるサヴァイヴァル」をテーマに実機能のある機械彫刻を制作。幼少期に大阪万博跡地(未来の廃墟)を遊び場にしたことが創作の原点。ユーモラスな形態に社会的メッセージを込めた作品群は国内外で評価が高い。1997年より放射線感知服「アトムスーツ」を身にまといチェルノブイリなどを訪れる「アトムスーツ・プロジェクト」を敢行。21世紀の幕開けと共に、制作テーマを「リヴァイヴァル」へと移行。腹話術人形作品「トらやん」を元にした巨大ロボットや、「第五福竜丸」をモチーフにした航行可能な「ラッキードラゴン」を制作。火や水を用いた壮大なパフォーマンスやジャンルを超えた活動を展開する。2011年、東日本大震災後、希望のモニュメント「サン・チャイルド」を国内外で巡回。2014年、阪神大震災20年に合わせて、「サン・シスター」が神戸に常設設置される。
椹木野衣|さわらぎ・のい
1962年埼玉県秩父市生まれ。1990年代初頭から東京を拠点に批評活動を始める。最初の評論集『シミュレーショニズム』(増補版、ちくま学芸文庫)は、90年代の文化動向を導くものとして広く論議を呼ぶ。また「アノーマリー」展(村上隆、ヤノベケンジほか参加、1992年、レントゲン藝術研究所)、「日本ゼロ年」展(岡本太郎、成田亨、横尾忠則ほか参加、水戸芸術館)ではゲスト・キュレーターを務めた。主著となる『日本・現代・美術』(新潮社)では日本の戦後を「悪い場所」と呼び、わが国の美術史・美術批評を根本から問い直してみせた。ほかに著書多数。2015年刊行の最新刊に『後美術論』(第25回吉田秀和賞、美術出版社)、『アウトサイダー・アート入門』(幻冬舎新書)、『戦争画とニッポン』(会田誠との共著、講談社)、『日本美術全集 第19巻 拡張する戦後美術』(責任編集、小学館)、『Don’t Follow the Wind 公式カタログ2015』(Chim↑Pomとの共著、河出書房新社)がある。また2014年に演出家の飴屋法水と「グランギニョル未来」を結成、日航機123便事故、東京電力福島第一原発事故を主題とする活動も行っている。
高山明|たかやま・あきら
1969年生まれ。演出家。演劇ユニットPort B(ポルト・ビー)主宰。『サンシャイン62』、『東京/オリンピック』(はとバスツアー)、『個室都市』シリーズ、『完全避難マニュアル』、『国民投票プロジェクト』、『光のないⅡ(福島-エピローグ?)』、『東京ヘテロトピア』、『横浜コミューン』など、ツアー・パフォーマンスや社会実験的なプロジェクトを現実の都市空間で展開している。2013年9月に「一般社団法人Port(ポルト)観光リサーチセンター」を設立し、観光事業にもその活動を広げつつある。対談集に『はじまりの対話– Port B国民投票プロジェクト』(現代詩手帖特集版/思潮社)がある。
宇川直宏|うかわ・なおひろ
DOMMUNE/現在美術家。1968年生まれ。香川県/高松市出身。京都造形芸術大学情報デザイン学科教授。映像作家/グラフィックデザイナー/VJ/文筆家/そして現“在”美術家など、幅広く極めて多岐に渡る活動を行う全方位的アーティスト。既成のファインアートと大衆文化の枠組みを抹消し、現在の日本にあって最も自由な表現活動を行っている”MEDIA THERAPIST”。日本に於けるVJのオリジネイター。2001年のニューヨークPS1 MOMA「BUZZ CLUB」、ロンドン・バービカン・アートギャラリーでの「JAM展」での展示から、国内外の数多くの展覧会で作品を発表。2013~2015年度文化庁メディア芸術祭審査委員。2015年度アルスエレクトロニカ(リンツ・オーストリア)審査委員。また、1980年代末「ヤバイ」という日本語スラングを初めて肯定的な意味に変転させて使用し、著述を通じて世間一般にまで広めた人物でもある。また90年代初頭より文中においてエクスクラメーションマークの連打「!!!!!!!」を多用し、現代の日本語における「感嘆」や「強調」の表現を、SNS以前から独自的に拡張した。010年3月、突如個人で立ち上げたライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」は、開局と同時に記録的なビューアー数を叩き出し、国内外で話題を呼び続けている。現在、宇川の職業欄は「DOMMUNE」。著書として「@DOMMUNE-FINAL MEDIAが伝授するライブストリーミングの超魔術!!!!!!!!」(河出書房新社)他。DVDに「MAD HAT LAUGHS!!!!!」(Ki/oon / SONY)他。ミュージシャンとしてはUKAWANIMATION! 名義で「ZOUNDTRACK」(avex trax)他。今年は国内外の現代美術の展覧会で精力的に作品を発表している。高松メディアアート祭では、ディレクター/キュレーター/審査委員長のなんと三役を担当。www.dommune.com/
岡田利規|おかだ・としき
1973年横浜生まれ、熊本在住。演劇作家/小説家/チェルフィッチュ主宰。活動は従来の演劇の概念を覆すとみなされ国内外で注目される。05年『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞。同年7月『クーラー』で「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2005~次代を担う振付家の発掘~」最終選考会に出場。07年デビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を新潮社より発表し、翌年第二回大江健三郎賞受賞 。12年より、岸田國士戯曲賞の審査員を務める。13年には初の演劇論集『遡行 変形していくための演劇論』、14年には戯曲集『現在地』を河出書房新社より刊行。16年よりドイツ有数の公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレのレパートリー作品の演出を3シーズンにわたって務めることが決定している。
夏野剛|なつの・たけし
1988年早稲田大学卒。95年ペンシルベニア大学経営大学院(ウォートンスクール)卒。ベンチャー企業副社長を経て、97年NTTドコモへ入社。99年に「iモード」、その後「おサイフケータイ」などの多くのサービスを立ち上げた。2005年執行役員、08年にドコモ退社。現在は慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、グリー、DLEなど複数の取締役を兼任。著書に『ケータイの未来』(ダイヤモンド社)『夏野流 脱ガラパゴスの思考法』(ソフトバンククリエイティブ)『なぜ大企業が突然つぶれるのか』(PHPビジネス新書)『ビジョンがあればプランはいらない』(中経出版)『「当たり前」の戦略思考』(扶桑社)等多数。
twitter.com/tnatsu
増田セバスチャン|ますだ・せばすちゃん
1970年生まれ。演劇・現代美術の世界で活動した後、1995年にショップ「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン。
2011年きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」MV美術で世界的に注目され、2015年夏にコンセプト・美術・演出など全てをプロデュースした都内最大級面積のカフェ「KAWAII MONSTER CAFE」が原宿にオープン。
2014 年からニューヨークを拠点にアーティストとして活動を開始し、初個展「Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-」はマイアミ、ミラノに巡回。現在2020年に向けたアートプロジェクト「TIME AFTER TIME CAPSULE」を展開中。
宮台真司|みやだい・しんじ
1959年生まれ。社会学者。首都大学東京教授。専門は社会システム論。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。著書に『権力の予期理論』(勁草書房)、『制服少女たちの選択』(朝日文庫)、『終わりなき日常を生きろ』(ちくま文庫)、『日本の難点』(幻冬舎新書)など多数。
東浩紀|あずま・ひろき
1971年生まれ。東京都出身。哲学者・作家。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。株式会社ゲンロン代表、同社で『ゲンロン』を刊行。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『弱いつながり』(幻冬舎)など。
標準コース審査員
岩渕貞哉|いわぶち・ていや
1975年生まれ。『美術手帖』編集長。美術出版社取締役編集部長。慶応義塾大学経済学部卒業。2002年から『美術手帖』編集部に在籍、2008年より編集長を務める。
和多利浩一|わたり・こういち
1960年生まれ。ワタリウム美術館キュレーター、オーナーの1人。早稲田大学卒業。大学1年生の時、姉・恵津子と共にミュージアムショップ「オン・サンデーズ」を創立。83年美術関係書籍・ビデオの出版社「イッシプレス」の代表取締役。90年「ワタリウム美術館」の取締役として参加。現代美術を中心に、建築、写真、彫刻と幅広い展示活動を行う。同時に教育プログラムを積極的に開催。また、92年国際展ドクメンタ9で初の日本人スタッフとして働く。95年第1回ヨハネスブルグ・ビエンナーレの日本代表コミッショナー。
岡本太郎現代芸術大賞の審査委員を1997年から現在まで継続。2013年村上隆主催の第18回GEISAI審査員。共著書に、『夢みる美術館計画』(日東書院)。
ワタリウム美術館 http://www.watarium.co.jp/
上級コース講師
北澤憲昭|きたざわ・のりあき
1951年東京都生まれ。美術史家、美術評論家。専門は日本近現代美術史。女子美術大学教授。
単著に『眼の神殿』(美術出版社、ブリュッケ)、『岸田劉生と大正アヴァンギャルド』(岩波書店)、『境界の美術史』(ブリュッケ)『アヴァンギャルド以後の工芸』(美学出版)、『「日本画」の転位』(ブリュッケ)、『〈列島〉の絵画』(ブリュッケ)など。共編著に『人の「かたち」人の「からだ」』(平凡社)、『講座 日本美術史』第6巻「美術を支えるもの」(東京大学出版会)、『フィールド・キャラバン計画へ』(水声社)、『近代美術の名作150』(美術出版社)、『ラッセンとは何だったのか?』(フィルムアート社)、『美術の日本近現代史』(東京美術)、『日本美術全集』第17巻「前衛とモダン」(小学館)。
加治屋健司|かじや・けんじ
1971年生まれ。美術史家、京都市立芸術大学准教授。ニューヨーク大学大学院美術研究所博士課程修了。PhD(美術史)。共編著にFrom Postwar to Postmodern, Art in Japan 1945-1989: Primary Documents (New York: Museum of Modern Art)、『中原佑介美術批評選集』全12巻(現代企画室+BankART出版)。
新藤淳|しんふじ・あつし
1982年生まれ。美術史。国立西洋美術館研究員。2007年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程芸術学専攻修了(西洋美術史)。同年より現職。共著に『版画の写像学』(ありな書房)、『キュレーションの現在』(フィルムアート社)など。展覧会企画に「かたちは、うつる」(2009年)、「フェルディナント・ホドラー展」(2014-15年)、「No Museum, No Life?-これからの美術館事典」(2015年)など(共同キュレーションを含む)。
会場
標準コース
ゲンロンカフェ
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-11-9 司ビル6F
上級コース
ゲンロン カオス*ラウンジ五反田アトリエ オープン
2015年9月、ゲンロンとカオス*ラウンジは、共同で運営するアトリエをオープンしました。
JR五反田駅、そしてゲンロンカフェからもほど近い「五反田アトリエ」は、日頃は事務所兼制作スタジオとして運用していますが、新芸術校のサテライト教室としても使用してゆきます。主に、少人数制の「上級コース」の教室として、年度末の最終講評会・成果展の第2会場として使用する予定です。
募集概要
定員
標準コース
第2期生秋学期追加募集15名
※標準コース春学期、上級コースの募集は終了いたしました。
募集期間
2016年7月22日[金]− 2016年9月15日[木]
受講料
秋学期受講料 | 228,000円(税別)展覧会出展料・審査料含む |
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※ゲンロン友の会第7期会員および2016年度新芸術校(標準コース第2期、上級コース第1期)受講生あるいは2016年度批評再生塾(第2期)、2016年度SF創作講座受講生は5,000円の割引が適用されます。会員割引と受講生割引は併用することができません。
お申込み
ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校の受講を希望される方は、受講規定をお読みになってから、下記フォームに必要事項を入力し送信してください。
銀行振込をご希望の方は、フォームを送信し、下記振込口座のいずれかに5営業日以内に受講料全額(消費税込)をご入金ください。入金が確認でき次第、手続き完了となります。振込手数料は申込者の負担とさせていただきます。
クレジットカードでの決済を希望する方は、フォーム送信後に現れる決済画面(EC-CUBE)の指示にしたがい、手続きを終えてください。決済終了が確認でき次第、手続き完了となります。どちらの場合も、入金が確認されない場合は、申込みはキャンセルとさせていただきます。
定員に達し次第、募集は締め切らせていただきます。
振込先
- 三菱東京UFJ銀行 中目黒支店 普通口座 0062050 カ)ゲンロン
- ゆうちょ銀行 〇一八店 普通口座 8907479 (記号番号:10190-89074791) カ)ゲンロン
受講までの流れ
授業開始日は10月9日[日]です。9月中にメールにて初回授業のご案内を差し上げます。
受講規定
受講資格 | ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校の受講資格に、年齢、性別、国籍、学歴、活動歴の制限はありません。 |
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使用言語 | 授業は日本語で行われます。 |
授業期間 | 標準コース 春学期は4月から9月、秋学期は10月から3月です。
カリキュラムは春学期と秋学期の2学期からなる年間プログラムとして構成されています。各学期のみの受講も可能ですが、通年での受講が望まれます。 上級コース |
受講手続 | 所定の受講申込みフォームからの申込みと学費の納入が確認された時点で受講手続が完了するものとします。受講手続は申込み順で行われます。また、受講の申込みをもって本受講規定に同意したとみなされるものとします。受講手続完了時にはメールで連絡いたします。 |
定員 | 標準コース各学期の定員は30名、上級コースの定員は20名です。ただし、応募数が最小人数に満たないときは開講しない場合があります。最小人数は別途告知いたします。 |
標準コース 秋学期の募集 |
標準コース秋学期の単独での受講は、年度初の通年枠の募集が終わった時点で定員に空きがあった場合のみ、募集いたします。その場合の募集開始時期は7月の予定です(変更になる場合もございます)。 |
スケジュール | 授業日・授業時間はプログラムに明示いたします。プログラムは別途各学期開始前に公開いたします。 |
受講料 |
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在籍証明 | 教程の3分の1以上を欠席した場合は、在籍したと認められない場合があります。 |
注意事項 | 自己の入学資格および在籍資格を第三者に譲ることは、いかなる場合も認められません。設備・機材を破損する、授業を妨害する、講師陣の中傷を行う、営業を妨害するなど、当社に不利を及ぼす行為をした生徒は、当社の判断により除籍・退学となる場合があります。その場合も受講料の返金は行いません。 |
申し込みフォーム
お問い合わせ
ゲンロン 担当 上田洋子
info[at]genron.co.jp