やがて荒野はそこに

印刷

梗 概

やがて荒野はそこに

主人公のユウキが妻を殺害した直後に「時間跳躍症」に罹ってしまい、意識だけが時間を超えて行き来してしまう状況で犯罪を隠蔽しようとする一日を描く。時間が前後しますが、主人公視点では連続した出来事です。

七時ごろ。会社員のユウキには雨子という妻がいる。雨子はかつてカルト組織に所属していた。現在は抜けて治療を受けながらユウキと生活していたが、雨子がかつてのメンバーと連絡をとっていたことが発覚。ユウキが問い詰めたところ口論になったはずみで雨子が死亡してしまう。今日は半年ぶりに二人の娘のシェリが家に来て誕生会を行う予定だった。雨子の殺害が発覚したらシェリが取り戻しかけていた日常が失われる。それを守るために死体の隠滅を決意する。怪しまれないように午前中で処理する計画を立てる。

十五時ごろ。ユウキが気がつくと午後になっていて車を運転している。端末に「時間跳躍症」だと言われる。ユウキは症状に焦り、事前の計画が何かで狂ったことを不審に思うが、死体の遺棄を完了する。

十三時ごろ。ユウキは気がつくと職場にいる。普段は全く意見の言えない上司を、貯めてきたハラスメントの証拠で脅して隙をつくり死体遺棄に向かう。

十九時ごろ。ユウキは気がつくと家にいる。念の為殺害の痕跡が家に残ってないことを確認。その後シェリが一緒に暮らしている祖父母と共にやってきて誕生会を行う。幸せな時間を過ごし、焦って死体を隠したがシェリのために本当に正しかったのか疑問を持つ。誕生会の終わりに雨子の友人が訪ねてきてその行方を問い詰められる。雨子の書斎に踏み入られてしまうが、そこから雨子の身の回り品などが消えていて、雨子は自発的に家を出たのだと友人を説得して帰すことに成功する。

九時ごろ。ユウキは気がつくと死体が片付け終わった直後の家にいる。雨子が自ら家を出たことを偽装するために雨子の荷物を物色していたユウキは雨子の書斎で日記を見つける。雨子がシェリをカルトに連れ込む計画を立てていたことが判明する。シェリを守るためにカルトを探る決意をするユウキ。書斎に残された資料の調査で午前中の時間を使ってしまう。

十七時ごろ。ユウキは気がつくと死体遺棄直後の森。雨子の日記にあったカルトの拠点に忍び込む。そこでメンバーたちが「最上の生贄」としてシェリを狙っており、その調達担当が雨子と誕生会に現れた男だと知る。ユウキは日記で知った情報を使って男を呼び出す。

二十四時ごろ。ユウキは気がつくと再び森。待っているとカルトの男がやってくる。その不意をついて尋問したユウキは男たちが実際にシェリを狙っていて諦める気がないこと知るが、男にも自らの雨子殺害を知られてしまう。ユウキは男を殺害する。

明け方。二つ目の死体を埋めているユウキ。シェリを守るために、自首をしたり元の生活に戻ることなく、カルトのメンバーを狩る決意をする。

文字数:1177

内容に関するアピール

場面がどんどん動くような状況を設定してみました。
この段取りを骨として、登場人物たちの心の部分と時間を越えることが人にもたらす影響をしっかり肉付けしたいです。また、跳躍が起こる時間間隔については一旦、二時間ほどで設定してみましたが、行動可能範囲やアクション数に合わせて実作の中で調整する予定です。主人公が未来の自分向けに的確な指示がだせない事情も深掘りしてより複雑な構成に仕上げます。

文字数:191

課題提出者一覧