梗 概
判決ガチャ
近未来の日本の都市。
佐久間ハヤト(三十歳)は待ち合わせに十分遅れてきた唐沢ミオ(二十五歳)に「遅刻の罰で奢ってくれ」と笑いながら言う。
「ごめんね。それじゃあ、あれで決めよう」とミオはガチャコーナーの中にある『判決ガチャ』を指さす。ここはオープンしたばかりのショッピングモール。
ミオは吸い寄せられるようにして『判決ガチャ』に向かう。ハヤトが追いつくと「自分の名前を入れるのね」と言いながらガチャのタッチパネルを操作して、出てきたカプセルから紙を取り出す。そこには“唐沢ミオを極刑に処す!”と書かれている。
翌朝、ハヤトは「被告人唐沢ミオは死刑を宣告されました」というニュースを見る。ミオに電話すると知らない男の声が「唐沢ミオは逮捕。現在は予備拘束中。あなたは被害者の殺害された佐久間ハヤトさんですね。私は秩序管理委員会の関です」と言う。「僕は生きてます。彼女が僕を殺すわけない」とハヤトが言っても話がかみ合わない。とりあえず会社に向かうハヤト。誰かに相談しようと思いながら。
会社につくと「今日の午後、〇〇会社と打ち合わせをする報告書を見せてくれ」と上司から言われる。ハヤトは「無理ですよ、まだ打ち合わせしてないのに」と言うと「馬鹿なことを言うな。打ち合わせの前に報告書を出すのが当たり前だろ」と怒られる。
ハヤトとミオは【初めに結果があり、その結果に沿うように実行しなければならない、それが常識】という世界に迷い込んでしまった。
朝の電話の関がハヤトの前に現れて「この世界の秩序を守るために、あなたは唐沢ミオに殺されなければなりません。それを拒否すると秩序を乱した罪でこの世界から抹殺されます」と告げる。
ハヤトは関から逃げる。昨日の判決ガチャが、世界が不条理になってしまった原因なのか? ハヤトはショッピングモールへ行く。いくら探してもガチャコーナーは見つからない。案内所で訊いてもそんなコーナーは無いと言われる。
名前を呼ばれて振り替えるハヤト。ミオが立っている。隣には秩序管理委員会メンバーらしい女性。「唐沢ミオ、佐久間ハヤトさんを殺しなさい。このナイフで」「どうしてハヤトを殺さなきゃいけないの?」「殺害動機は殺してから決まります」ミオはナイフを手に取る。
気がつくと多くの人が集まっている。ハヤトがミオに殺されることは決定ずみなので、それを見学しに来た人たちだろう。ほぼ全員がスマホを持ってその時を待っている。「はやく、コロセ!」「はやく、コロセ!」「はやく、コロセ!」と群衆の大合唱が始まる。その声に操られるようにしてミオはハヤトに向かってくる。ハヤトはミオからナイフを奪い取り、ミオの手を引いて、群衆をかき分けながらその場から逃走する。元のまともな世界に帰るにはどうすればいいか必死に考えながら。
逃げる二人の前に『判決ガチャ』が現れる。ハヤトはそれを破壊する。正しい秩序の世界に戻る。
文字数:1200
内容に関するアピール
不条理な世界に入り込んでしまうストーリーを考えて書きました。梗概は段取り・変換・変転・結末を意識して書きました。けれど、ぜんぜん書けてないですね。梗概は難しいですね。
実作では、ハヤトとミオの関係性をもっと深く書いて、不条理世界の不気味さ、そこからの脱出サスペンス感、を読者に体感してもらえるように書きたいと思います。そこから秩序がどういうものなのか、が少しでも書くことができれば、と思っています。
文字数:199




