梗 概
熱帯特有の病に。
1.
婚約したばかりのトシユキとエミが引っ越したアパートの隣家には、大家の老夫婦が住んでおり、
挨拶に行くと「新婚旅行はまだなの?」と夫人に尋ねられる。
「パプアニューギニアがとても良い」と強くオススメされ、自然好きな2人はそこへ行くことにした。
大家には「熱帯特有の病気の予防薬」を渡される。「毎晩飲まないと、逆に良くない」と助言も。
旅行中、トシユキは薬を毎晩飲み続けたが、エミは時々飲むのを忘れた。
2人はパプアニューギニアの奥地にある湖でスキューバダイビングをするなど、旅行を満喫した。
滞在中、トシユキは自分がアリに食い尽くされる夢を見る。
食い尽くされたと思った次の瞬間、別人へと生まれ変わる。
鏡に写っているはずの自分が、大家の息子ヒロトになっているのだ。
目が覚めると、隣で心配しているエミの顔に、アリがついている。
トシユキはアリに気づいたが、エミはアリに気づいていないようだった。
2.
帰国して数週間後、エミが妊娠した。
同じころ、「パプアニューギニアで新種の虫が発見された」ことがニュースになった。
その虫は森の奥の湖で発見された。
飛行機で見たアリにそっくりだとトシユキは思った。
トシユキは旅行から帰ってきて以来、ずっと不眠に悩まされていたが、大家夫妻に相談すると、
「原住民の呪いかもしれない」と言われ、お祓いをしてあげるからと晩ご飯に誘われる。
「ただし奥さんを連れてきてはいけない」と忠告される。
エミは不気味がっていたが、トシユキが元気に帰ってきたので安心する。
トシユキはそれから頻繁に大家の家に出入りするようになる。
だが、大家宅から帰ってくるときは元気なのに、それ以外の時間はぼーっとしている。
仕事も休みがちになり、それでもなお大家の家には食事に行ったりするので、エミは「自分も行きたい」と言う。
トシユキは「絶対にダメだ」と、そのときは明確に拒絶するのだった。
3.
エミはある日、トシユキが大家宅に行ったとき、大家の家の窓をのぞいてみることにした。
すると、トシユキは食卓でうなだれている。気絶しているようだ。
大家がトシユキの頭を思いっきり叩くと、トシユキの口から虫が大量に出てくる。
それを、ヒロトが食べている…。
驚くエミは、ちょうどそのとき、子どもが生まれそうだと気づく。
トシユキを呼ぶために大家の家の玄関のチャイムを鳴らすエミ。
大家の夫人が玄関口にやってきて、エミに急いで帰るよう告げる。
「子どもが生まれそうなんです」と粘っていると、
トシユキがやってきて、「帰れと言っているのがわからないのか?」と怒鳴られてしまう。
トシユキの口からは大量の虫が出てくるが、
大家が必死に彼の口を抑え、「わかったわね?」と言われて玄関は閉められる。
エミは自力で病院に向かう。
出産は無事に終わった。
エミはこれからの旦那との生活に不安を感じながら赤ん坊を抱き寄せる。
そして赤ん坊の顔に、奇妙な虫がついているのを見つける。
文字数:1197
内容に関するアピール
冒頭での驚きは<1.>の終わり頃、トシユキの夢〜アリが機内にいる、あたりを想定しています。
基本的な展開はホラーで、大家夫妻はもう何かに取り付かれたような雰囲気で描きたいと考えています。
トシユキの病いについては、原因についていろいろな解釈を中盤で盛り込む予定ですが、
大家の狙いどおりなのかどうかは明らかにしないままエンディングを迎えます。
梗概ではトシユキが病院へ行ったりすることは書いていませんが、こちらも中盤で描写する予定です。
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