梗 概
はんぶんカフェ(SF)
2019年某日 JR小岩駅ちかくにおやこ兼SFカフェが開店した。2年限定の出店だという。
「大人と久しぶりに話せた」
開店一時間後である11時、赤ん坊を抱きながら雑談した直後、ほろりと涙を流すお母さんにそっと
SFの短編集の棚をさしだしてみるのは、この店のSF担当員しらすである。
同時に、おもむろに壁に大きく貼られたポスターを指差す。
「カフェ内でSF小説を読まれる方、1ドリンクでお子さんを30分お預かりいたします」
子育て中の母親にSFが最適かと言われればそれは人によるかとは思いますが…
チャートをとりだし、母親の好みをしぼっていくカフェのSF担当員。
「読まれますか?」の担当員の問いに、うなづく母親。
「なんにせよ、本を、しかも子育て本ではなく小説を読むなんて…」
「もちろん、子育て本もたくさん置いてありますよ。」
親子カフェは体験や人生を扱う場所である。
SFは、人類の世界観や宇宙、未来を扱うジャンルである。
このふたつの相違の波長をどこかでつなげる場所はないか…。と考えた挙句、
ないのならつくってしまおう、と店長が計画実行したのが、この親子SFカフェであった。
普通のカフェと大きく違うところは、子どものためのスペースが広くとってあるところと、
書架のほとんどが育児書かSF・科学ノンフィクションであるところである。
絵本・ドラえもん・レゴブロック・LaQ・かるた(地形・歴史人物・書体・筋肉)など子どものための知育玩具も揃い、カフェにやってきた子ども達は上達度の違う子から見真似で遊び方を学んでいく。
12時〜おやこランチメニュー
未就園児(0〜3歳)を遊ばせるお母さんたちが食事をしながら日頃の悩みを分かち合う。
15時〜おやつメニュー
未就園児をつれていたり、お迎え帰りの幼稚園のお兄ちゃんを連れたママたちが談笑する。
17時〜夕食メニュー
家に両親が留守の小学生がカウンターにすわる、宿題のため鉛筆を走らせた後、
ちょうど出来上がった夕食を平らげる。18:30〜19時にはお迎えが来る。
19時〜夕食・カフェメニュー
書架のSFを囲んで読んだり。たまに輪読がある。
Twitterを見た人やお店のHPにて「原稿かけますチャート」の配信を希望した仕事帰りの
原稿書きさんが寄ったりする(勉強用個別スペースの参考など店主と相談する)
お店は21時の閉店後するため、その後の帰宅が惜しい方には小岩の漫画喫茶も紹介します。
☆土日に読書会やビブリオバトルの練習会が行われることがある。
☆ゲンロンイベントなどの紹介
「通って2日めであの短編を読んだけれど、本当におもしろかった!」
「今度は長編に挑戦できるかな。」
「1日30分っていうのがいいんだよね。作品とゆっくり出会えるの♪」
「旦那は赤ちゃんと寝てから帰ってくるものね」
「ここで話すとほっとできるよね」
カフェは期間限定2年間でお店を借りてやっているが、それを更新できるような時期が来る。子供達はどんどん大きくなり、2019年、2020年と新しいお子さんたちがこのカフェでご飯を食べ、成長していく。このままお店を続けていけるのか。人との関係の問題、資金繰りの問題なども起きるが、2020年の終わりには、もっと続けて欲しいというお母さんたちの声も聞こえてくる。
「子育て中にはとくに、SFって私とは関係のないジャンルの本だと思っていたんですけれど…
読んでいるうちに頭の中が別世界へと飛んでいき、いつのまにやら子育て中のモヤモヤが
リセットされていました。
子どもと新しい気持ちで向き合えそうです。」
カフェの財務状況のみなおし。カフェに商品陳列ようのレンタルボックスを設置し、作家を募るとともにオリジナルSFグッズおよびSFかるたの出版社への立案デモ製作もおこなう。
兎型のキャラクターとして配信されるようお客さんがバーチャルユーチューバーになる仕組みをつくると、それをめぐって子どもたちやお母さんたちが時間とルールを決めてお店からの配信体験に並ぶ。
子どもが返信する様子をスマホで撮るなど、ネットとのつながりでも話題にあがります。
「様々な作品がありますが、SFは、今このカフェで初めて立つ赤ちゃんの将来をはじめ、たくさんの可
能性と未来をつなぐ思考の架け橋でもあるのだと、わたしはそう信じるのです。」
文字数:1747
内容に関するアピール
このカフェにはなぜか、訪れた人が必ずそのカフェのために自分な得意なことで関わる。という法則が設定されています。関わらなくては、彼ら一人一人が、そのカフェから離れられないのです。
その設定によって、物語が進んだり、小説の世界の中に新しいことが起きたりします。
小説『半分世界』では、女の子が遊ぶ人形の家を観察するように外側から中が見える家で生活する人々とそれを観察するファン、フジワラーや両者の関わりを書いていました。このおやこカフェ/SFカフェでは、一つの場所を時系列で棲みわけ、10時から18時までは基本的に幼稚園お子さんを連れたおやこのカフェ。18時30以降21時までは小学生やおとなのためのカフェとして営業します。
このカフェができるまでと、そこで催されていく数々の試みを人間の試行錯誤とドラマとして小説にしたいと思います。
読み終わった人が、自分だったら、このカフェで何をしているかな?と思わず考えてしまうような楽しいおやこ/SFカフェのお話を書きたいです。
文字数:429