ひとつテーマを決めて、それに最後まで理屈を通す梗概の作り方をしてください。
たんに空想の世界を描く純文学と、SFと呼ばれる小説との違いは、SFが自身のテーマにどこまでも合理的に向き合うことだと思っています。
テーマは必ずしも科学的である必要もなく、たとえば「愛は時を越える」というシンプルなものでも、それを10年、100年、1億年…と突き詰めていくことでSFの問いになりえます。古典中の古典とされるハインライン『夏への扉』も、タイムマシンというガジェットを使った「愛は時を越える」話ですね。読者の頭に浮かぶのが真理……といった逃げ方をせず、登場人物が状況と向き合い続ける姿勢が、SFの面白さである気がします。
むしろ今回の場合、テーマはシンプルであるほどよく、「差別はよくない」「人を殺すのはよくない」といった当然とされることも、ぎりぎりのところまで疑えるのがSFの強みです。一言で言えるようなテーマを、徹底的に理屈で追究してみてください。
(参考文献)
梶尾真治「美亜へ贈る真珠」(『美亜へ贈る真珠』)
星野之宣「愛に時間を」(『2001夜物語』第18夜)