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梗 概

惑星タワーリーフでは自転と公転がほぼ同期してたが一回公転するごとにその惑星の面は恒星に対して2π/365ラジアンだけずれていく。公転周期が24時間だからその星では24時間の間に季節が巡り、365日かけて朝と夜を行き来していた。その星の優占種はセトラスとノマデスである、彼らは生物的には同じ種類ではあるがセトラスは定住することを選んだ集団で、ノマデスは時間が経つごとに移動し、同じ面に居続けることを選んだ集団である。
ノマデスの少年アマルは昼下がりの季節という面に住み羊のような生き物を飼って生活をしている、羊毛や乳製品は商品価値が高くノマデスやセトラスと交易を行い様々な生活必需品を手に入れている。アマルは交易の際に他のノマデスやセトラスからそれぞれの話を聞くのが好きであった、とりわけ星の話を気に入っていた。アマルの一族が干し肉、毛皮を売っているセトラスの集団に少年と同い年くらいの少女ネリがいた。年も近いこともあって、すぐに仲良くなった。ネリはよく星の話をした、真っ暗の空に一面光の粒が出ていて雨みたいに降ってくるようにみえる、それを見ていると空腹も寒さも少しは紛わされると。アマルもネリに自分の家畜たちを見せたくさんの話をした、家畜のこと、交易の話、家族のこと…。セトラスの街が昼下がりの季節から出て行く時、白い肌の少女が自分と同じように少し日焼けしているのに少年は満足感を覚えていた。
アマルが青年期に差し掛かるころにそのセトラスの街が来た時、街は土の壁で囲まれていて、住民以外はその街に入れなくなった。交易も街の外でやりとりするだけで、ネリに会うこともできなくなった。それから数年たちまたその街が昼下がりの季節に来たころ、アマルが羊を放牧させていると塀の近くでネリにあった。再会の喜びを伝え、なぜ塀の外に出ているのか、なぜ街が外部との交流を絶ったのかを聞こうとしたがネリは逃げようとし、アマルは捕まえる。塀の外にいるのが見つかると良くないのでどうしても聞きたかったら街の中に入って話すと言う。
アマルはネリに連れられ隠れて街に入る。
街は数年前に燃える石を街外れの土地で発見し、生活は飛躍的に向上した。しかし、石の存在が外に漏れると、ノマデスや他のセトラスが街を襲い、自分たちの土地が奪われることを人々は恐れ、外部との交流を絶ったとネリは言った。その後、ネリがアマルを街から出そうとするところでアマルは住人に見つかる。町長のもとへと連れて行かれ、石のことを知ったなら街から出すことはできず、どうしても出たいなら生きてはだせないと言われる。アマルは街の住人になることを決める。
アマルは街での一年で夜の季節を知る、寒さ、減っていく食料は体験したことのないストレスだった。しかし、幼いころネリから聞かされた星は美しかった。アマルは保存食の料理の仕方を人々に伝えたり、牧畜の経験を生かして夜の季節に入るあたりに生息する大型動物の家畜化に成功するなどして住人の信頼を得ていく。
アマルが村に入って十数年がたった、ある夜の季節、燃える石が枯渇し、貯蔵量のみだと2年ももたないと報告された。アマルは外部との交流を再開し、石の存在を公表し、世界中で石を掘り出し交易品とするべきだと主張する。街の人々も同意し、アマルをリーダーとし鉱物研究者、採掘技術者などが含まれたチームが結成された。アマルは夜明けを待ち望んでいた。

文字数:1400

内容に関するアピール

私が設定した変な世界は自転と公転が地球と逆になった世界です。一年掛けて一日が過ぎ、一日で季節が一巡りします。昼が180日続き、夜も180日続きます。世界は恒星からの光のあたる位置によって朝の季節の面、昼の季節の面、夜の季節の面…とわかれています。また一日も春の時間、夏の時間、秋の時間、冬の時間と別れていて夏の時間はスコールが降りやすかったりします。
そこにはノマデスとセトラスという遊牧民族と定住民族をモデルとしたキャラクタを登場させました。180日も続く夜の面に住むよりは移動しながら昼の面に住み続けるというのは自然ではないでしょうか?ちなみに定住した人々は良い気候の位置の獲得競争に負けた民族なのではないかと考えています。

シミュレーション小説として書いてみました、是非読んでみてください。

文字数:346

課題提出者一覧