作品プラン
《性行為禁止令発布》ステートメント
この社会はとにかく禁止が多い。あらゆるものを禁止にして一体どんな利益があるのかと考えてみるがあまり思い浮かばない(秩序はあるかもしれないが)。「迷惑」や「不利益」の立ち位置からしか禁止令を出していないのではないかと考えてしまうほどである。
河川敷でのバーベキューや花火禁止、公園でのボールを使った遊び禁止(もちろん花火禁止。スケボー、ラジコン禁止等、公園には様々な禁止がある)、路上でのライブ等パフォーマンス禁止(許可制のところ有)、路上販売禁止(許可制)、青少年の夜間外出禁止(23時から)。
外はもう移動くらいしかできることがないかもしれない、と思ってしまった。また、公の権利は、個の権利よりも強い。
大阪市や渋谷区でのホームレスの小屋強制撤去、東九州自動車道開通のため福岡県のミカン畑強制収用。
得体の知れない怖さを感じた。そこでこのような社会の先には何があるのか考えてみた。
(以下の内容はSF的発想であり、僕の個人的な妄想である)
デモみたいな反権力行為はとにかく都合が悪い。市民を動揺させ秩序を乱しかねない。だから国民の安心安全な生活を守るという名目で国家反逆罪の適用範囲を拡大し、反権力に関する細かな法律を作る。デモや新規の結党の禁止。しかし市民は法律の隙間をくぐる。そこで反権力の原因を排除すべきと考え思想の規制が始まる。出版物の規制は次第に書籍の禁止へと移行、また反権力的な音楽、映画、サブカルチャーの禁止。そして文化全般へ拡大。それでも思春期の子供に見られるように反抗は人間の本能でもある。勢力は縮小するものの一部の市民の反抗は止まない。市民の監視・管理の強化。「家族」は監視・管理の妨げになるとし市民をバラバラに解体するため、人工授精による人口政策を開始。性行為禁止令発布。(映画「リベリオン」「華氏451」参照)
このような未来は大袈裟かもしれない。しかし自由な営みが少しずつ狭められている気がしてならないのだ。それは特定の何かのせいではないかもしれない。何を禁止して、何を禁止しないのかを判断する「軸」、社会的な了解がないからではないかと考えている。しかしそうは言うものの、その「軸」を僕も持っているわけではない。だからその軸を考えなければならないのだが、まずはこの課題に答えるべく、アダルトビデオに映る女優さんの顔を写生したものに「性行為禁止令発布」という題名を付してみた。
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