作品プラン
《私たちの世代の挑戦》ステートメント
人生に絶望して橋から身を投げようとした青年は、天使に助けられ、彼から「自分が存在しなかった場合の世界」を見せられる。そして、自分がこれまでに多くの人々を救ってきたこと、私欲を我慢し、悪徳業者と戦ったことを再確認し、自分の人生が無駄でなかったことを知る。最後は、自分が救ってきた人々に救われ、ハッピーエンドとなる。
これは1946年に公開されたフランク・キャプラ監督によるアメリカ映画「素晴らしき哉、人生!」のあらすじである。
あなたは、これを物語の中だけの出来事だと思うだろうか。
私たちは、これまでの人生で何人の人を救ってきただろうか。
自分の人生を振り返ったとき、それが無駄で無かったと自信を持って言える人はどれだけいるだろうか?
これまで、多くの勇気ある人々が世の中の苦痛に立ち向かい、恵まれない人々を救ってきた。
例えば天然痘は有史以前より数多の人命を奪ってきたが、1960年代にWHOの蟻田功らが中心となり国際的な撲滅活動が展開され、1980年5月8日、ついに撲滅が達成された。
近年では、2000年に経済学者ジェフリー・サックスらが主導となって提唱した「国連ミレニアム目標」がある。2015年7月に発刊された報告によると、1990年から2015年にかけて10億人以上の人々が極度の貧困から脱出した。また、幼児死亡数が年間1200万人だったのが年間600万人に半減している。
卓越した倫理学者のピーター・シンガーは、私たちにこう伝える。
「あなたの手元には、ペットボトルの水や炭酸飲料があるだろうか。世界には、あなたがその飲み物に払ったよりも少ない額で必死に生きている人が一億人いる。彼らの子どもたちは、下痢のような単純で容易に治療可能な病気で死ぬかもしれないのだ。あなたは彼らを助けることができ、しかも救助のために危険を冒す必要もないのである。」
私は美術家として、これを絵にしてあなたに伝えたい。 そしてあなたに、一緒に戦う仲間となってほしい。
シンガーはさらに、こうも言う。
「新たな見方から見れば、世界は異なったものとして見えてくるだろう。最も重要なことだが、あなたが生き、そして死んでいくのが意味のないことではなかったということを知るだろう。なぜならあなたは、世界をよりよい場所にしようと努力することによって、宇宙に存在する苦痛と苦しみに立ち向かった人々の偉大な伝統につらなったからである。」
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