あらためて「批評」の「再生」を問う

ゲンロン批評再生塾も、ついに四期目を迎えることになった。
すでに修了生の数は百名を越えており、総代のみならず各界で書き手として活躍を始めている者も多い。
三期やってきての成果はどうかといえば、立ち上げ当初の期待と不安を思い起こせば、まずは上々と言ってよいのではないかと思う。
だが、もちろん、まだまだ足りない。
そもそもこのプログラムは、私たちが仮に「批評」と呼んでいる営みと試みを「再生」することが目的だった。
そのためにはむろん「批評」とは何であるのか、何であり得るのか、何であるべきなのかを、あらためて問い直すことが必要となる。
そのうえで、その「批評」なるものを再び生み直すことを求めてきたわけである。
それは「再生」だけでは駄目なのだ。
第一、そもそも「批評」は過去においても十分な意味と意義を持っていたことがあっただろうか?
「批評」は、存分に生きていたことがあっただろうか?
影響力のある批評家は確かに何人かいた。それらの人物たちを繋ぐ星座のような批評の世界/業界も存在していた。
しかし、そんな星座を再び描き出すこと、すなわちかつて「批評」がそうであったとされる姿に戻すことが私たちのしたいこと、するべきことなのだろうか?

それは違う。

そうではなく、私たちは今こそ「批評」を誕生させなくてはならない。
再生とは、新たなる生誕なのだ。
「批評」という行為には、まぎれもない歓びと愉しみがある。
だが、それと同じくらいの苦しみや厳しさもある。
「批評」とは、一言でいうなら「世界に臨む姿勢」のことである。
批評家は、世界に対して投げかける自らの言葉を研ぎ澄まし、磨き上げる、
それは同時に、世界に対して責任を負うことでもある。
「批評」の名のもとに、私たちが行なうのは、それぞれがごく小さなことかもしれない。
だが、それらはいつのまにか、私たちの生そのものにかかわってくる。
なぜなら、生きることは思考することであり、思考することこそ「批評」の別名であるからだ。
つまり「批評」の「再生」とは、思考の再生でもあるのだ。
何かについて考えること、それ自体に宿るポテンシャルを発見し、掴み出し、押し広げること。
それは世界を押し広げることでもある。

批評再生塾は、単なるライター講座とはまったく違う。
思考すること、考えることを、あらためて問い直すレッスンなのだ。
だからこれまで一度も批評を書いたことがない者にも、広く門戸は開かれている。
世界への好奇心、思考への欲望さえあればいい。
私たちは、あなたがたを、待っている。

ゲンロン批評再生塾主任講師
佐々木敦

プログラム

    •  

      第4期説明会ダイジェスト動画

    • 「批評再生塾」第4期(2018年度)の開講期間は、2018年6月から2019年5月までの12ヶ月間です。主任講師は批評家の佐々木敦です。開講期間途中での受講申込みや、一部講義のみの受講は受け付けておりません。
    • 「正規受講生」と「聴講生」の2種類の申込みを受け付けています。聴講生は、正規受講生とくらべ安価で受講いただくことができますが、各回の課題(最終講評会含む)を提出することはできません。
    • 本講座の講義およびワークショップは月2回、原則として第2水曜日と第4水曜日の夜に、ゲンロンカフェにて行われます。講義およびワークショップには「文学」「映画」など、3回1組でテーマが設定されています。
    • 各テーマごとに、1回目、2回目の講義ではそのジャンルに通じた批評家を、3回目の講義ではそのジャンルで実際に作品を手がけているクリエイターを、ゲスト講師としてお招きします。
    • 各回は講義とワークショップの2部構成になっています。前半の講義(19:30-21:00)はゲスト講師からのレクチャー。ゲスト講師による講演や主任講師からのインタビューで、各テーマに沿った主題で最先端の批評を書くとはどういうことか、批評をどう読むか、批評と作品の関係性はどうあるべきか、などを学びます。後半のワークショップ(21:30-23:00)は、正規受講生が事前に提出した課題批評文の優秀作を取り上げ、文章の強度を上げるため実践的な方法論やプレゼンテーション技術を習得します。講義およびワークショップは、ニコニコ生放送で中継されます(講義部分は「ゲンロン完全中継チャンネル」会員限定)。受講希望者は、ネットで氏名(ペンネームの指定は可能)や顔が中継されることを承諾したうえでお申込みください。
    • 「批評再生塾」第4期では、すべての正規受講生は、下記の<新・批評家育成サイクル Mk-Ⅱ>に基づき15回の批評文と修了論文を提出することが求められます。すべての論文は専用webサイトで公開されます。
    • 1webサイトにて課題提示

      各回講義の3週間前までに、ゲスト講師から課題が提示されます。課題は、「文学」「映画」など大きなジャンルの指定のみの場合もあれば、対象とする作品や事件、形式などが限定される場合もあります。また、実作者(クリエイター)がゲストの回には、ゲストおよびゲストの作品を題材とした批評文を執筆していただきます。

      2批評文提出

      正規受講生は、各回講義の1週間前までに、課題に沿った2000字から4000字の批評文を提出することが求められます(字数は目安です)。受講生は、所定のフォームより、論文を直接に指定のwebサイトにアップロードします。提出された論文は、受講生以外でもアクセスできる状態で公開されます。一般読者の反応は以下の選考・講評で考慮されます。

      3主任講師による上位選出

      主任講師によって、優秀な提出批評文が3つ選ばれます。優秀作はゲスト講師のもとに送られます。論文が選ばれた3人の受講生は、講義の当日に向けて、内容を口頭で説明できるように準備し、必要に応じてスライドなどを作成します。選ばれた3人はポイントを獲得します。ポイントはwebサイトで公開され、サイクルが進むごとに蓄積していきます。累積ポイントの上位3名は、最終講評会での審査対象となります(加えて修了論文の内容により選ばれた3名が、最終講評会で審査の対象になります)。

      4公開講評会

      各回の講義の後半は、上位選出者によるプレゼンテーションと講師による講評会となります。選ばれた受講生は、ゲンロンカフェのステージに登り、批評文の内容を数分でプレゼンすることが求められます。また、講評会の模様はニコニコ生放送で無料中継され、プレゼンおよび批評文の質に対して視聴者からコメントが寄せられることになります(聴講生を含むすべての受講生には、各回講義の動画アーカイブを提供します)。選ばれた受講生は、自分の論文について、講師から具体的な講評と指導を得ることができるほか、一般読者からの視線の厳しさも経験することになります。

      5チューター制度【New!】

      すべての提出課題には、批評再生塾歴代受賞者からなるチューター陣によるコメント指導が行われます。吉田雅史(第1期総代)をはじめとする実力者たちからのアドバイスを、上位に選ばれなかった作品も含めてかならず受けることができます。またこのコメントは全てウェブ上に公開されます。自分の論考への評価が公にされるというだけでなく、自分以外へのコメントから学びをえることも可能です。サンプルはこちら

 

チューター制度創設によせて(吉田雅史)

批評再生塾第3期は、結果的に大成功のうちに幕を閉じました。最終講評会の講師たちは、軒並みその課題文のレベルの高さを絶賛した。なぜでしょうか。たまたま実力のある書き手が集まったから? 確かにそれも事実でしょう。しかし僕は、原因はそれだけではないと思っています。
今年で第4期となる批評再生塾は、毎年システムを見直し、その独特の生態系を更新し続けています。もちろん、批評の再生のために。そして第3期では、卒業生たちが受講生の提出作にコメントをする「下読み」が生まれました。第4期、「下読み」は人員を拡大し、「チューター制度」として再生します。
これまで主任講師である佐々木敦やゲンロン代表の東浩紀が度々言及してきたのは、批評の再生のためには「批評の読者/観客を育てる」必要があるということでした。第3期のキャッチフレーズは「批評はひとりでやるもんじゃない」でしたし、総代に輝いた渋革まろんはいみじくも塾生たちの姿を「イナゴの群れ」に喩えました。
もちろん自分の批評文の最初の読者は自分自身です。そして、限られた時間で批評文を書き終え提出しなければならないサイクルの中で、誰よりも自らが自らの文章に厳しい眼差しを向けなければならないことは、火を見るよりも明らかです。
しかしこの場所では、塾生は決してひとりではありません。
隣に座る塾生たちと、批評対象について熱く議論し、思いのたけを語り合い、互いの批評文の読者として疑問や異論をぶつけ合うようになるまでに、それほど時間はかからないでしょう。なにしろ同じような目的を持って集い、「批評という病」に感染した似た者同士なのですから。やがてイナゴの群れによる飲み会は、夜を徹して続くでしょう。そのようにして生成された書き手と読み手が渾然一体となる場の中で、それぞれの塾生が自分にしか書けない/自分が書くべきテーマを探り当てていく様を、僕は驚きと共に目撃してきました。
そのような相互批評の場を支える柱のひとつとして、チューター制度もあります。担当するのは、僕も含めた卒業生たちです。以前は逆の立場にいたからこそ、塾生たちが過酷な状況下で、あるいは切実な思いで課題と向き合っていることを誰よりも理解できると自負しています。だからこそ、中途半端な気持ちで個々の批評文と対峙するわけにはいかない。第3期の下読みは後半になるにつれて、3人の卒業生たちが互いのコメントのクオリティや長さを意識し合い、そこでもある種の競争が生じていました。それが真剣さの証左です。
この仕組みを生かすかどうかは、塾生次第です。なぜなら、コメントに目を通さないという選択肢も、そこにはあるからです。精一杯を出し尽くした自らの文章に対する、批判的なコメントに目を伏せたくなるのは自然なことかもしれません。しかしもちろんすべての批評文はネット上に公開され、登壇すればニコ生でプレゼンが放送され、多くの人々の目に触れることになる。外の世界からのレスポンスの中には、批判的なものもあるでしょう。
だからこそ、批評の観客からの視線に自らを晒し、自らの文章を客観視する訓練のためにも、この制度を是非活用して貰いたいと思っています。第1期〜3期の総代を始めとするチューター陣が塾生たちとより積極的な関わりを持つことで、再生塾には一層多くの対話が溢れることが期待されます。
微力ながら、批評の再生とは何なのかを改めて考える場の一助となれば、この上ない喜びです。

——チューター代表、批評再生塾第1期総代 吉田雅史@nejel_mongrel

 

 

  • 以上のサイクルを15回繰り返すことで、受講生は「テーマに沿って批評を書き分ける表現力」「対談やシンポジウムで効果的に自分をアピールする対話力」「一般読者の視線を意識し文章を組み立てる説明力」「批判や誤解に耐えるタフさ」など、批評家としての基礎体力を確実に向上させることになります。
  • 16回(イントロダクション+15回)の講義を終えたのち、1ヶ月の準備期間をおいて、2019年4月に修了論文を対象とした最終講評会を行います。3月には主任講師による、論文の個別指導を実施します。また今期から、9月に実施される「中間講評会」が新たにプログラムに組み込まれました。昨年度好評だった有料オプション「最終講評会模擬試験」を無料化し、ブラッシュアップしたものです。受講生たちは修了論文の冒頭部分と目次を提出し、構想について指導を受けます。2万字の批評文のまとめ方を、実践的に学ぶことができます。【New!】
  • 最終講評会では、最優秀作を1つ、優秀作を若干選出します。提出作の中からとくにすぐれたものを、弊社刊行の雑誌『ゲンロン』に掲載する場合があります(最優秀作以外を対象とする場合もあります)。
  • なお、「批評再生塾」第1期の最優秀作は、『小説トリッパー』2016年夏号および『再起動する批評 ゲンロン批評再生塾第一期全記録』(いずれも朝日新聞出版)に、第2期の最優秀作は『ゲンロン7』(ゲンロン)に掲載されました。第3期の最優秀作は『ゲンロン9』に掲載予定です。

批評再生塾が本になりました。

再起動する批評 ゲンロン批評再生塾第一期全記録

 

批評再生塾第一期を完全書籍化。
佐々木敦、東浩紀や渡部直己、速水健朗、大澤真幸ら豪華ゲスト陣による「課題と回答」、
初代総代の新作、第一期ドキュメント、現代批評家チャート図など充実の内容。
現代批評の最前線に挑む、知の完全見取り図!

 

朝日新聞出版 2017年4月20日刊行

 

第3期最終講評会の模様

スケジュール

科目 日程 時間 種別 講師
導入導入 6月14日(木) 19:30-22:30 講義 佐々木敦
文学
文学
1st cycle 6月前半 大澤聡より課題の提示
6月25日(月) 19:30-21:00 講義 大澤聡・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
2nd cycle 6月後半 高橋源一郎についての批評文の執筆
7月11日(水) 19:30-21:00 講義 高橋源一郎・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
3rd cycle 7月前半 鴻巣友季子より課題の提示
8月1日(水) 19:30-21:00 講義 鴻巣友季子・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
ポップカルチャー
ポップカルチャー
1st cycle 7月後半 土居伸彰より課題の提示
8月9日(木) 19:30-21:00 講義 土居伸彰・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
2nd cycle 8月前半 さやわかより課題の提示
8月29日(水) 19:30-21:00 講義 さやわか・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
3rd cycle 8月後半 tofubeatsについての批評文の執筆
9月12日(水) 19:30-21:00 講義 tofubeats・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
中間講評会中間講評会 9月26日(水) 19:30-22:30 中間講評会 東浩紀・佐々木敦
空間芸術
空間芸術
1st cycle 9月後半 黒瀬陽平より課題の提示
●新芸術校とのコラボ企画を予定
10月10日(水) 19:30-21:00 講義 黒瀬陽平・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
2nd cycle 10月前半 内野儀より課題の提示
10月24日(水) 19:30-21:00 講義 内野儀・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
3rd cycle 10月後半 平田オリザについての批評文の執筆
11月6日(火) 19:30-21:00 講義 平田オリザ・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
映画
映画
1st cycle 11月前半 渡邉大輔より課題の提示
11月21日(水) 19:30-21:00 講義 渡邉大輔・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
2nd cycle 11月後半 宮台真司より課題の提示
12月19日(水) 19:30-21:00 講義 宮台真司・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
3rd cycle 12月前半 濱口竜介についての批評文の執筆
12月26日(水) 19:30-21:00 講義 濱口竜介・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
思想
思想
1st cycle 12月後半 東浩紀より課題の提示
1月9日(水) 19:30-21:00 講義 東浩紀・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
2nd cycle 1月前半 大澤真幸より課題の提示
2月6日(水) 19:30-21:00 講義 大澤真幸・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
3rd cycle 1月後半 千葉雅也についての批評文の執筆
2月15日(金) 19:30-21:00 講義 千葉雅也・佐々木敦
21:15-23:30 講評・ワークショップ
最終講評会最終講評会※3 2月27日(水) 19:30-22:30 事前指導 佐々木敦
4月12日(金)※2 19:30-22:00 最終講評会 東浩紀・佐々木敦ほか

「※」の「中間講評会」は、昨年度の「最終課題講評会模擬試験」を踏まえた新プログラムです。有料オプションだった模擬試験と異なり、無料のプログラムとなります。受講生は最終課題講評会へ向けた準備稿(目次と冒頭部分)を提出し、佐々木敦・東浩紀両名からの講評を受けます。
「※2」の日程は調整中です。講師の順序など、変更となる可能性があります。
その他、やむを得ない事情により、日程を変更する場合がございます。その際はあらかじめ、メール等でご連絡を差し上げます。
「※3」本年度の最終課題は、テーマを設けない自由論考を予定しています

講師

佐々木敦|ささき・あつし

1964年生まれ。批評家。HEADZ主宰。〈ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾〉主任講師。『即興の解体/懐胎』(青土社)、『ex-music(L)』『同(R)』(アルテス・パブリッシング)、『「4分33秒」論』(Pヴァイン)、『シチュエーションズ』(文藝春秋)、『批評時空間』(新潮社)、『未知との遭遇』(筑摩書房)、『ニッポンの思想』、『ニッポンの音楽』(講談社現代新書)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、『ゴダール原論』(新潮社)、『例外小説論』(朝日新聞出版)、『ニッポンの文学』(講談社現代新書)、など著書多数。近著に『未知との遭遇【完全版】』(星海社新書)、『筒井康隆入門』(星海社新書)、『新しい小説のために』(講談社)がある。
撮影=新津保建秀

ゲスト講師

大澤聡

大澤聡|おおさわ・さとし

1978年生まれ。批評家/メディア研究者。近畿大学文芸学部准教授。日本の思想やジャーナリズムの歴史的変遷を分析しつつ、現代社会やカルチャーに関する批評活動も広くおこなっている。著書に『批評メディア論』(岩波書店)、『教養主義のリハビリテーション』(筑摩書房)。編著に『1990年代論』(河出書房新社)、『三木清文芸批評集』ほか三部作(講談社文芸文庫)などがある。

講師からのコメント:あなたがほんとうに書きたいのは、日常のあれやこれやに気の利いた寸評を与えて溜飲をさげるようなブログやTwitterなどではないはずです。

高橋源一郎|たかはし・げんいちろう

1951年生まれ。作家・明治学院大学教授。朝日新聞に「論壇時評」連載中。近著に『デビュー作を書くための超「小説」教室』(河出書房新社)、『動物記』(河出書房新社)、『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新書)、『民主主義ってなんだ?』(SEALDsとの共著、河出書房新社)など。

鴻巣友季子|こうのす・ゆきこ

1963年東京都出身。翻訳家、文芸評論家。現代文学の紹介並びに古典文学の新訳に尽力し、原文の味わいを生かしながら読みやすい翻訳文体を確立する。訳書に、クッツェー『恥辱』『イエスの幼子時代』、アトウッド『昏き目の暗殺者』(以上、早川書房)、ブロンテ『嵐が丘』、ミッチェル『風と共に去りぬ』(以上、新潮社)、ウルフ『灯台へ』(河出書房新社)他多数。編訳書に、ポー『E・A・ポー』(集英社)等。著書に、『カーヴの隅の本棚』(文藝春秋)、『熟成する物語たち』(新潮社)、『全身翻訳家』、『翻訳ってなんだろう?』(筑摩書房)、『翻訳問答』シリーズ(左右社)他多数。『「風と共に去りぬ」の謎を解く』(新潮選書)を執筆中。毎日新聞書評委員。

講師からのコメント:翻訳とは一語一句が批評であり、批評とは一行一行が翻訳です。
テクストに他者のことばを聴き、見えない他者に向けて書いてください。

土居伸彰|どい・のぶあき

1981年東京生まれ。株式会社ニューディアー代表、新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター。ロシアの作家ユーリー・ノルシュテインを中心とした非商業・インディペンデント作家の研究を行うかたわら、AnimationsやCALFなど作家との共同での活動や、「GEORAMA」をはじめとする各種上映イベントの企画、『ユリイカ』等への執筆などを通じて、世界のアニメーション作品を広く紹介する活動にも精力的に関わる。2015年にニューディアーを立ち上げ、『父を探して』など海外作品の配給を本格的にスタート。国際アニメーション映画祭での日本アニメーション特集キュレーターや審査員としての経験も多い。著書に『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』、『21世紀のアニメーションがわかる本』(いずれもフィルムアート社)など。

講師からのコメント:僕にとって書くことは苦しみですが、最高の喜びを与えてくれるものでもあります。それは、「わたし」が「わたしたち」になる広がりの喜びであり、逆に「わたしたち」から「わたし」が掘り出されていく発見の喜びでもあります。そのあたり、一緒に突き詰めていきましょう。

さやわか|さやわか

1974年生まれ。ライター、物語評論家、マンガ原作者。〈ゲンロン ひらめき☆マンガ教室〉主任講師。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『AERA』『ダヴィンチ』他で連載中。著書に『僕たちのゲーム史』、『一〇年代文化論』(星海社新書)、『AKB商法とは何だったのか』(大洋図書)、『キャラの思考法』(青土社)など。近著に『文学の読み方』(星海社新書)、『文学としてのドラゴンクエスト』(コア新書)、『僕たちのインターネット史』(亜紀書房、ばるぼらとの共著)。マンガ原作に『キューティーミューティー』がある。

講師からのコメント:批評というのは単に文章を書くことではありません。批評再生塾は批評の本質が学べる、唯一の機会です。あなたがそれを学ぶときの、助力になりたいと思います。

tofubeats|とーふびーつ

1990年生まれ、神戸在住。音楽Producer/DJ。
2013年4月にスマッシュヒットした「水星 feat.オノマトペ大臣」を収録したアルバム「lost decade」を自主制作にて発売。同年秋には「Don’t Stop The Music」でメジャー・デビュー。以降、「First Album」「POSITIVE」と2枚のアルバムやリミックス・アルバム、EP各種をリリース。
2017年2月には約1年半ぶりとなる新曲「SHOPPINGMALL」、続く3月に新曲「BABY」を連続配信リリース。
2017年5月24日にメジャー通算3枚目となるアルバム「FANTASY CLUB」をリリースし、12月には同作品のLPもリリースしている。
2018/2/16には新曲「ふめつのこころ」をデジタルリリース。

講師からのコメント:皆様にとって自分がどのような批評の材料となるのかとても今から興味深く、楽しみにしております。

黒瀬陽平

黒瀬陽平|くろせ・ようへい

1983年生まれ。美術家、美術評論家。ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校主任講師。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。2010年から梅沢和木、藤城嘘らとともにアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を結成し、展覧会やイベントなどをキュレーションしている。主なキュレーション作品に「破滅*ラウンジ」(2010年)、「キャラクラッシュ!」(2014年)、「カオス*ラウンジ新芸術祭2015『市街劇 怒りの日』」(2015年)など。「瀬戸内国際芸術祭2016」にカオス*ラウンジとして参加。著書に『情報社会の情念』(NHK出版)。

内野儀|うちの・ただし

1957年京都生れ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(米文学)。博士(学術)。岡山大学講師、明治大学助教授、東京大学教授を経て、2017年4月より学習院女子大学教授。専門は表象文化論(日米現代演劇)。著書に『メロドラマの逆襲―〈私演劇〉の80年代』(勁草書房、1996年)、『メロドラマからパフォーマンスへ―20世紀アメリカ演劇論』(東京大学出版会、2001年)、『Crucible Bodies: Postwar Japanese Performance from Brecht to the New Millennium』 (Seagull Press, 2009年)、『「J演劇」の場所―トランスナショナルな移動性(モビリティ)へ』(東京大学出版会、2016年)ほか。公益財団法人セゾン文化財団評議員、アーツカウンシル東京ボード委員、公益財団法人神奈川芸術文化財団理事、福岡アジア文化賞選考委員(芸術・文化賞)、ZUNI Icosahedron Artistic Advisory Committee委員(香港)。

平田オリザ|ひらた・おりざ

1962年東京都生まれ。劇作家、演出家。劇団「青年団」主宰。こまばアゴラ劇場芸術総監
督、城崎国際アートセンター芸術監督。東京藝術大学COI研究推進機構 特任教授、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター客員教授、四国学院大学客員教授・学長特別補佐。平田の戯曲はフランスを中心に世界各国語に翻訳・出版されている。2002年度以降中学校の国語教科書で、2011年以降は小学校の国語教科書にも平田のワークショップの方法論に基づいた教材が採用され、多くの子どもたちが教室で演劇を創作する体験を行っている。近著に『下り坂をそろそろと下る』(講談社現代新書)がある。
撮影=青木司

渡邉大輔

渡邉大輔|わたなべ・だいすけ

1982年生まれ。映画史研究者・批評家。専攻は日本映画史・映像文化論・メディア論。現在、跡見学園女子大学文学部専任講師、日本大学藝術学部非常勤講師。2005年、東浩紀主宰のメールマガジン『波状言論』でデビュー。以後、映画評論、映像メディア論を中心に、文芸評論、ミステリ評論などの分野で批評活動を展開。著作に『イメージの進行形』(人文書院)、共著に『日本映画の誕生』(森話社)『見えない殺人カード』(講談社)『ソーシャル・ドキュメンタリー』(フィルムアート社)『アジア映画で<世界>を見る』(作品社)など多数。2016年1月より『ゲンロンβ』に「ポスト・シネマ・クリティーク」を連載中。

講師からのコメント:批評(critic)とは世界の自明性に危機(crisis) を見出し、新たな価値基準(criteria) を創出する営みです。

宮台真司|みやだい・しんじ

1959年生まれ。社会学者。首都大学東京教授。専門は社会システム論。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。著書に『権力の予期理論』(勁草書房)、『制服少女たちの選択』(朝日文庫)、『終わりなき日常を生きろ』(ちくま文庫)、『日本の難点』(幻冬舎新書)など多数。

濱口竜介|はまぐち・りゅうすけ

1978年、神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業後、助監督や経済番組のADを経て、東京藝術大学大学院映像研究科に入学。2008年、修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。その後も、『ハッピーアワー』(2015)が、ナント3大陸映画祭銀の気球賞(準グランプリ)、シンガポール国際映画祭最優秀監督賞、アジア太平洋アワード脚本賞などを受賞。2018年9月に公開予定の最新作『寝ても覚めても』でカンヌ国際映画祭正式出品するなど、国内外で活躍の場を広げている。

東浩紀

東浩紀|あずま・ひろき

1971年生まれ。東京都出身。哲学者・作家。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。株式会社ゲンロン代表、同社で批評誌『ゲンロン』を刊行。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『弱いつながり』(幻冬舎)など多数。2017年刊行の『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン)で第71回毎日出版文化賞(人文・社会部門)を受賞。

大澤真幸

大澤真幸|おおさわ・まさち

1958年、長野県松本市生まれ。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授などを歴任しながら、主体とは、近代とは、資本とは、宗教とは……と、社会学的領域のみならず哲学・文学・宗教など多様な角度から人間と社会のありようを論じ続けている。著作に、『不可能性の時代』(岩波新書)、『ふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎氏との共著/講談社現代新書)、『二千年紀の社会と思想』(見田宗介氏との共著/太田出版)、『夢よりも深い覚醒へ――3・11後の哲学』(岩波新書)、『〈世界史〉の哲学』(講談社)など多数。
撮影=尾崎誠

千葉雅也|ちば・まさや

1978年生まれ。哲学者、批評家。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース修了。形而上学の研究と並行して、様々なジャンルの批評や文芸を行っている。著書に『動きすぎてはいけない——ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社)、『別のしかたで——ツイッター哲学』(河出書房新社)、『勉強の哲学——来たるべきバカのために』(文藝春秋)、『メイキング・オブ・勉強の哲学』(文藝春秋)。共著に『ラッセンとは何だったのか?——消費とアートを越えた「先」』(フィルムアート社)など。

募集概要

※5月14日 第4期の募集を再開いたしました。新たな応募締切は5/31となります。

定員

正規受講生 35名
聴講生 15名
※通年での募集となります。
※先着順での受付となります。定員に達し次第、受付を締め切らせていただきます。

募集期間

2018年5月2日 − 2018年5月31日

正規受講料

170,000円(税別)最終講評会審査料を含む
※ゲンロン友の会第8期会員、2017年度新芸術校(第3期)受講生、批評再生塾(第3期)正規受講生・聴講生、SF創作講座(第2期)正規受講生・聴講生、ひらめき☆マンガ教室(第1期)受講生は割引が適用されます。いずれも5000円の割引となります。割引は併用できません。

聴講料

110,000円(税別)
※聴講生は、各回の講義を会場で聴講することができますが、課題を提出したり、講評を受けたりすることはできません。最終講評会についても同様です。
ゲンロン友の会第8期会員、2017年度新芸術校(第3期)受講生、批評再生塾(第3期)正規受講生・聴講生、SF創作講座(第2期)正規受講生・聴講生、ひらめき☆マンガ教室(第1期)受講生は割引が適用されます。いずれも5000円の割引となります。割引は併用できません。

お申込み

ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾の受講を希望される方は、受講規定をお読みになってから、下記リンクよりゲンロンショップの申込み商品をご購入ください。
銀行振込をご希望の方は、商品を注文後、1週間以内に受講料全額(消費税込)をご入金ください。入金が確認でき次第、手続き完了となります。振込手数料は申込み者の負担とさせていただきます。
クレジットカードでの決済を希望する方は、ゲンロンショップの指示にしたがい、手続きを終えてください。決済終了が確認でき次第、手続き完了となります。
どちらの場合も、入金が確認されない場合は、申込みはキャンセルとさせていただきます。
定員に達し次第、募集は締め切らせていただきます。

受講までの流れ

授業開始日は6月14日です。事前にメールにて初回講義のご案内を差し上げます。

受講規定

受講資格 ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾の受講資格に、年齢、性別、国籍、学歴、活動歴の制限はありません。
使用言語 授業は日本語で行われます。
授業期間 授業期間は2018年6月から2019年5月の1年間です。
受講手続き ゲンロンショップより申込みを行ったのち、受講料の納入が確認された時点で受講手続きが完了するものとします。受講手続は申込み順で行われます。また、受講の申込みをもって本受講規定に同意したとみなされるものとします。受講手続き完了時にはメールで連絡いたします。
定員 定員は正規受講生35名、聴講生15名です。ただし、応募数が最小人数に満たないときは開講しない場合があります。応募状況により、定員は若干名増えることがあります。最小人数は別途告知いたします。
スケジュール 授業日・授業時間は別途ウェブサイトに明示いたします。
撮影・放送 講義と講評会の一部はネットで中継されることがあります。受講者には、欠席時自習や復習のため、受講期間のあいだ有効な視聴権限を付与します。ゲンロンは記録および広報のため、授業風景を予告なく静止画あるいは動画で撮影することがあります。撮影を希望しない受講生はその場で必ず申し出てください。
メーリングリスト 授業についての連絡は、公式メーリングリストを用いて行います。公式メーリングリストには、特にお申し出のない限り、お申し込み時のメールアドレスを登録いたします。お申し込み時のメールアドレスとは別のアドレスの登録を希望される場合は、その旨あらかじめご連絡ください。
受講料
  • 金額
    受講料は別途ウェブサイトに明示いたします。
  • 納入方法
    受講料は、現金、銀行振込、所定のクレジットカードのいずれかにて、全額を一括でお支払いください。
  • 割引
    ゲンロン友の会第8期会員、2017年度新芸術校(第3期)受講生、批評再生塾(第3期)正規受講生・聴講生、SF創作講座(第2期)正規受講生・聴講生、ひらめき☆マンガ教室(第1期)受講生は割引が適用されます。正規受講料、聴講料ともに5000円の割引となります。割引は併用できません。
  • 返金
    納入された受講料はいかなる事情があっても返金いたしません。ただし、主催者・講師の事情で授業が中止になった場合はそのかぎりではありません。
  • 分納
    分納は受け付けておりません。ただし、クレジットカード利用の場合は、クレジット会社の規約にしたがった分割払い等が可能な場合があります。詳細はクレジット会社にお問い合わせください。
在籍証明 教程の3分の1以上を欠席した場合は、在籍したと認められない場合があります。
注意事項 自己の受講資格および在籍資格を第三者に譲ることは、いかなる場合も認められません。設備・機材を破損する、講義を妨害する、講師陣の中傷を行う、営業を妨害するなど、当社(株式会社ゲンロン)に不利を及ぼす行為をした受講生は、当社の判断により除籍・退学となる場合があります。その場合も受講料の返金は行いません。
ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾は学校教育法が定める学校や各種学校ではありません。

受講受付は終了いたしました。

お問い合わせ

ゲンロン 担当 徳久倫康・横山宏介
info[at]genron.co.jp

写真=加藤甫(トップ画像)、株式会社ゲンロン(プロフィール、トップ画像を除く写真)