もういちど初恋

梗 概

もういちど初恋

ここは、伊豆恋人岬。
新道くんへの告白を成功させるためには、最高のスポットだ。
わたしが新道くんの恋人として最もふさわしい人間であることは「真」である。人類をみな滅ぼし、残ったのはふたりだけなのだから。
思えば、遠回りをしたものだ。

はじまりは、高校の入学式。
新道くんを見た瞬間、雷に撃たれたかと思った。見上げても体育館の天井があるだけで、どうやらそれは恋という感情。抑えがたいこの気持ちを、告白という行動に移そうかと考えたが、踏みとどまった。
なぜならわたしは超論理的に行動する女子高生、その名も論理愛。

成功のためには、まずは分析が必要だ。
高校生になって間もない浮ついた環境と、自らの外見等の条件を鑑みて、公算は極めて高いという結論に達した。
「気持ちは嬉しいけど。おれ甲子園目指すことにしたから、恋愛とかする余裕ないんだ」
失敗だった。

それなら、次の方法。
新道くんは頑固な性格だから、正面から攻めるのは下策。わたしは、ライバルチームに戦術的アドバイスをし強化した。地方予選敗退に追い込まれた新道くんは、早めに就職の準備に入ることになった。
落ち込むかれを励まし、二度目の告白。
「実家の寿司屋を継ぐことにしたんだ。当分は修行に専念するよ」
また失敗だった。

次。
IUCNに就職したわたしは、国際PR会社を裏から操り世界中で魚介類の生食ブームを巻き起こした。マグロやウナギなどの水産資源は乱獲され、急激に減少。わたしは、次々と寿司ネタをレッドリストに登録していった。
食材を奪われた全国の寿司屋はすべて廃業となる。数年来の修行が水の泡となった新道くんを、また励ます。
そして、近所の喫茶店で告白。
「人生ってなんだろな。おれ、しばらく自分探しの旅に出ることにするよ」
プランB。
わたしは、進道くんのコーヒーに経口摂取ワクチンを入れる。

自己とは、他者との関係のなかで揺らぎ続けるパターンであり、どこを探そうが見つかるわけもない。
WHOに転職していたわたしは、保管されていた天然痘ウィルスを改悪し、世界中にばらまいた。
悲惨な経過は端折るとして、人類とは、わたしと新道くんだけを指す言葉になった。これでもう、自分を探す必要もない。

そして、伊豆恋人岬。
わたしは四度目の告白をした。
「その気持ちには応えられないよ」
なぜだ。わたしを受け入れられない理由など無い。
「理屈じゃないんだ。恋愛って、考えてするもんじゃないだろ」新道くんはそう言って、海に身を投じた。

はじめて、恋愛とは何かを理解した。わたしは完全に間違っていた。
ならば、論理的に正さねばなるまい。

残された人類はわたしだけで、他の観察者は存在しない。
外的経験と内的経験の真偽を測るものはなく、両者は等価となる。
わたしは自らの記憶に潜った。旅人となった新道くんを、寿司職人になった新道くんを思い起こし、さらに溯行してはじまりの記憶に同化する。

そして、高校の入学式。
どくり、と胸の中でなにかが動き、またわたしは恋に落ちる。
超論理的に行動するわたしは――自らの行動規範を捨て、目の前の新道くんに告白するため、その一歩を踏み出した。

文字数:1270

内容に関するアピール

◯今回はSFラブコメです。

◯あまり残酷描写を入れたくないと考えているのですが、タイムリープのギミックを成立させるための必要上、人類には滅亡していただきました。実作では、あくまでラブコメというトーンから外れないよう、ユーモアをまじえながら、それぞれのシーンをテンポよく描写していきます。

◯ラブコメかつタイプリームもの、そしてスラップスティックな笑いあり、なんていうとSF界の巨匠の名前が浮かんできましたが。どんなところにでも突っ込んでいけるのが、新人の特権ということで。

◯梗概審査で頂いた指摘をふまえて実作を書き始める予定なので、締切りまで2週間しかありません。そのため、短期間できっちり実作を仕上げることを意識し、梗概を組み立てています。がんばりますので、よろしくお願いします。(最後は精神論)

文字数:347

課題提出者一覧