恋愛ストライキ

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梗 概

恋愛ストライキ

宗教法人恋愛教の影響により、世界は恋愛至上主義社会へと変わってしまった。もはや恋人のいない若者はマイノリティとなり、社会の多数派である恋愛プレイヤーたちから差別や迫害を受ける日々を過ごしていた。非モテ界の若きプリンスを名乗る主人公(孤浪嬰児)は、そんな社会に一人恋愛ストライキを貫いていた。

この世界では恋愛指導委員会の元、中学・高校課程において「恋愛」の授業が設けられている。座学では公式に定められた恋愛マニュアルが紹介され、実技ではパートナーと共に様々なテクニックを学び合うのだ。主人公はそんな学校生活に絶望し、《遠恋措置》を利用して早退を繰り返していた。しかしある日、教師にそれが嘘だとバレて、補習授業を受けることになってしまう。

そこへ現れたのは、かつて主人公を三度も失恋させた幼馴染の美少女(色峰恋果)だった。彼女はその後、高校生兼指導教官でもある《恋愛エージェント》として恋愛教で働いており、主人公の更生係として派遣されてきたのだ。

主人公は留年を回避するために彼女と模擬デートをすることになる。彼は百戦錬磨の清純派美少女のアプローチに心が折れかかるも、過去の失恋体験を思い出しながら、童貞力を全開にして誘惑を断ち切る。なかなか素直にならない主人公に対して、彼女は《プリンセスキス》を繰り出し、彼を恋愛至上主義へと洗脳する。主人公は為す術もなく彼女の命令に従いながら、溜まりに溜まった《ラブポイント》を貢ぎ、一文無しになった挙句、解放される。

正気に戻った主人公は、彼女からの手紙を読んで状況を把握。彼女への呪詛を並べ立てながら、射精した。

文字数:676

内容に関するアピール

ロボットや異星人が出てこなくてもSFは成立するとの指摘を受け、このような物語を考えました。着想を得た本は、小谷野敦さんの『もてない男』、本田透さんの『電波男』『萌える男』です。《恋愛教》《恋愛ストライキ》というキーワードを引用しました。以下、世界設定の補足です。

〈恋愛教の成立過程〉
◇とあるキャバクラの宗教法人化が発端
*税金対策で興した団体が、予想もつかない発展をした
*《恋愛党》として政界進出し、与党第一党となる
*恋愛教が日本の国教として制定される
◇現在、世界第一位の信者数を誇る(REN-AI-KYO)
*細かい戒律も無く、他宗教の信者も抱き込む懐の深さが影響
*抵抗する人物や組織は、特殊部隊プリンセスの力で封殺した
◇なぜ日本発祥なのか?
*無宗教が多数派でありつつも、漠然とした宗教意識はあったため

〈恋愛教の影響〉
◇大企業が恋愛教を支援した
*恋愛資本主義の発展
◇表現の自由が規制された
*漫画・アニメ・ゲームなどは重点的に検閲された
◇アイドル文化の変容
*ファンがアイドルに恋することは法律で禁止された

文字数:452

課題提出者一覧